貞彦297話 『甘栗と羊羹』

 

 

パートへ行くと、たま

たま先輩たちとシフトの

時間が重なるタイミングで、
気にかけてもらう。

リーダー以外は母子
家庭ということもあり、
私の悩みが見透かされて
いるかのように教えて
もらったアドバイスは、
生活費が困るよう
なら社長にいって
仕事をさせてもらえば
いいとのことだった。

近くに冷凍食品の倉庫が
あり、そこはいつも

人手不足だから、みんな

も子供の入学にお金が
かかったりした時に
お願いして、仕事を
させてもらうという。

そんな会話をしている
すぐ横で、隊長(元自衛官)
はパイプ椅子に座り
微動だにせず
じっと休憩をしている。

そして、先輩たちが先に
休憩室をでると、私と
2人きりになった隊長が
首をサッと横にいる
私にむけて

「食べなさい!これ
 おしいから」

といい、どら焼きを
をくれた。
 

私はてっきり、病気
なんて気合で治すんだ!
っていわれるのかな
なんて思ったけど
優しかった。

隊長は甘栗と羊羹も
くれて、そのまま
休憩室を出て行った。

これは隊長からぷう助
への気持ちだと思い、
食事制限もないから
病棟へ持って行って
あげたいところだけど、
ぷう助は和菓子や栗を
食べないから、私が
ありがたく頂く。

そしてパートを終えて
そのまま病院へ戻ると、
ベッドの上で暇そうに
しているぷう助が
待ち構えていた。

その顔を見た時、
少し涙がでそうに
なってしまう。

疲れていて情緒が
不安定なせいかも
しれないけど、
ぷう助は入院をして
いながらも暇になれ

るだけの余裕があって、
しっかりとした声で
『お母さん』
といってくれるのは、

とても幸せだと思った。

その後はずっとぷう助と

遊び、消灯時間間際に

なって帰り支度をしていると、
ぷう助は帰ってほしくない
といい愚図り始める。

けれど、そこへ50代
くらいの白衣をきた
女性が来て、あいさつを
してくれた。

その女性は、消灯後に
明け方まで各病室を
まわりながら、淋しく
なってしまう子供の
面倒をみてくれる
保育士さんのよう
な人だった。

ぷう助はその人に
抱っこしてもらい、
私は荷物をもって
「明日、始発で来るからね」
というと泣きそうな
顔をしていたけど、
ぎりぎり泣かずに
お別れをする。

ぷう助のそんな顔を
見るのは心が痛む
し、24時間ずっと
付き添っていても
いいのだから
一緒にいたいけど、
パートの夜勤も入れて
退院時の支払いと

生活に備えなくては

いけない。

お金がないと色々な

ことに困るのは解って

いるけど、大切な人と

一緒にいられる時間
も少なくなってしまう
んだなと思ったら、
どうすることもでき
ない現実に悔しい
ような諦めもたっぷり
混じった気持ちになった。

そして、迫って来る
調停の準備も始める。

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

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最後の最後までお読み頂き

ありがとうございます。

 

週末、理不尽な夫の対応や

子育てに頑張っている主婦が

体調を崩しませんように。