貞彦296話 『回復していく』

 

 

朝、ぷう助が目を
覚ますと、すっきり
とした顔になっていた。

大部屋だけど、同じ
部屋には2歳くらいの
女の子だけで部屋は
広々している。

朝食は可愛い食器に
おいしそうな献立で、
それを見てよかった
と思う。

入院している間だけ
でも、ぷう助は食べる
ものに困らないだけ
ではなく、栄養のある
ものを3食ちゃんと食べ
ることができる。

そんな気持ちで、
うちよりもはるかに
豪華な朝食を目の前に
したぷう助を見ていたら、
まだ食欲は戻らない
ようで、ご飯をひと口
食べただけだった。

でも苦しそうな様子は
なく、酸素と点滴は
しているけどトミカの
バスをベッドに並べて
遊んでいたら、二宮
先生が診察にきて


「おはよう~。
 どう?苦しいのは
 よくなったかな~?」

「うん」

「バス好きなんだ!
 この2台だけこっちに
 並べているのは何で?」

「バスの結婚式するの。
 この2台が結婚式して
 こっちのバスたちと
 パーティーしたら、
 2台は新しいお家で
 くらすの」

「あははははは、ぷう助くん
 女子力たかいなぁ!」

「幸せに暮らすんだ。
 飛行機に乗って自由の
 女神のところにもいくの」

「えっ、自由の女神知って
 るんだ、すごいな」

「自由の女神に、なんで
 アイスクリーム
 をもって上に持ち
 上げているのか
 聞いてみたいんだよ」

「あははははは先生も
 聞いてみたいっ!」


そんな話で盛り上がり、
診察が終わると先生は
私のほうを見て


「ここまで僕と会話
 していても大きく
 息切れする様子が
 ないのは、いい
 状態だと思います。

 もう少しゆっくり
 よくなっていくかと
 思いましたが、明け
 方からの処置で
 ここまで元に戻れる
 のなら、引き続き
 酸素をしながらやって
 いこうと思います」

「どのくらいの入院に
 なりそうですか?」

「う~ん、はっきりとは
 まだいえないのですが、
 この感じで順調に回復
 してくれれば1ヶ月も
 入院なんてことは
 まず無いと思います」


悪い病気の可能性が薄れて
ほっとする。

だけど、このままパート
を休んでいるわけにも
いかないから、初めて
の入院でぷう助には
辛い思いをさせてしまう
けど、病院からパートへ

行くことにした。

ぷう助からは何度も
「走って戻ってきてよ」
「早く戻ってきてよ」
「夕食の前に来てよ」
と、淋しそうにいわれなが

ら部屋を出る。

そしてナースステーション
で夕方戻ることを伝えると、

受付で面会の手続きを

してほしいということで、

受付に行き私と両親以外の
面会や問い合わせは、
すべて拒否して頂く
ようにしてもらった。

病院の出入り口に

向かい歩いていると、あらた
めて大学病院の大きさ
に驚く。

豪華な院内で立派な

絵画がたくさん飾られて

いる。

そんな美術館のような
絵をみながら、なんとか
これ以上悪い事が
起こらないよう願い、
頭痛薬を飲んで外へでる。
 

 

 

☆昨日の投稿に、たくさんの

 コメントを頂きありがとう

 ございます。

 すべて大切に読まさせて

 いただきました。

 

当時、ぷう助の入院を

きっかけに、医療だって

人のやることなのだから

100%はなくて、それなら

どんな医師に大事な子供を

お願いすればいいのだ

ろうかと考えさせられました。

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

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最後の最後まで読んで頂き

ありがとうございます。

 

闘病している子供たちが

笑顔になれる明日が

きますように。

 

家族関係で辛い思い

をしている人に救いが

訪れますように。