貞彦167話 【へそくりの隠し場所】

 

 

お財布に入っていたお金は
すべて貞彦さんに持っていかれて
しまったけど、通帳には先月分の
内職代が2万円振り込まれている
はずだと思い、銀行へ行きすぐに
おろす。

現金は何かあった時に使えるよう
手元に置いておきたいけど、この前の
ように隠しているのがバレたら
取られてしまうと思い、冷蔵庫の中や
おもちゃ箱の近くなど、家中をうろうろ
して隠し場所を探したけど、どこに
隠しても、ばれてしまうような気がして
決められなかった。

母に、どこへ隠しているのか
聞いてみようかと思ったけど、
昔から父は母の事を全面的に
信用しているから、母もお金を隠す
必要がなくヘソクリなんて無縁で、
他に家族の顔を思い浮かべた時、
腹巻にお金を隠していた祖父の
顔が浮かぶ。

優しかった祖父は、
生前、家族に最後までばれることなく
腹巻に50万円を隠していた。

夏でもステテコにらくだ色の
腹巻をまいて、焼酎とウィスキーの
ロックを豪快に飲む祖父は
外出先で倒れ、私たち家族が
病院へかけつけた時には、すでに息を
引き取っていた。

一通り説明を聞いた後に、

看護師長さんが誘導してくれ

眠っている祖父の元へ案内して

頂いているとばかり思っていたら

受付に着く。

そのときは家族全員が心の中で
(先に清算を済ませなくちゃ
 祖父に会わせてもらえない
 ってこと!?)
 と思い目を合わせていると、
受付の方が奥に置いてある金庫から
透明のケースにはいった古い
お札をカウンターに持ってきてくれ、
師長さんが事情を説明してくれた。

古いお金は50万円分あり、治療の
ために祖父の腹巻を切ったところ
中からこのお金がでてきたという。
 
師長さんには、腹巻を切断して
しまったことを謝られ、私達も口には
出さなかったけど疑ってしまったことを
申し訳なく思いながらお礼をいい、
その後は腹巻も受け取って、母が
綺麗に縫い直し棺に入れた。


それを思い出して、妊娠中に使って

いた腹巻を古いダンボール箱から

取り出し、伸びてしまった部分をつめて
簡易的に縫う。

そして、さっそく腹巻をして中に
2万円を入れてみると、違和感もなく
うまくいった。

これから調停に向けて探していく
証拠物のコピーも、腹巻に隠しながら
実家へ送ることにする。

 

次は、無料相談に行く日までに
出来るだけ証拠を持っていけるよう、
貞彦さんの部屋へ探しに行く。

掃除と洗濯物の片付け以外
ほとんど触れたことのない
貞彦さんの部屋。

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

 

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パン屋さんをやっている
からすの夫婦に、可愛い4羽の
赤ちゃんが産まれたという
ところからパン屋さんと家族の
お話が始まります。

育児に大忙しでいると、パンを
買いに来てくれるお客さんは
減ってしまい、売れ残った
パンは子供たちのおやつに
なり、それがきっかけで色々な
パンが焼けていきます。

主役である、からすの家族以外にも
たくさんのからすが登場して、
それぞれの表情や年齢を想像
することができます。

各ページに書いてある文の長さは
絵本を聴くことに慣れていない
子には長く感じるかなと思います。

けれど最初からすべての文章を
読んであげなくても、
長い文章の本は、聴いていられる
くらいの長さに調整して
読むこともできます。

このカラスのパンやさんも、2歳の
ぷう助に読んでいたころは、
『森にカラスのパンやさんがありました』
(次のページ)
『カラスの赤ちゃんがうまれました』
(次のページ)
『お父さんとお母さんはおおいそがしです』
こんな感じでそのページの要点を
短い言葉で読んであげ、成長と共に
文章を増やしていきました。


ぜひ、どのパンがいいかな、
何個買おうかなと想像して楽しんで
みてください。

〈余談です〉

 

 

この絵本の作者かこさとしさんは
生前、子供への深い思いを
色々な記事やインタビューなどで
お話されています。

かこさとしさんは家が貧乏で
軍人を目指したけど、病気がわかり
死なずにすんだというお話を
されています。

けれどそんなご自身の事を、
判断力がなく世の中を知らなかった
から軍人を目指すという戦争に
加担する行為をしたといい、
戦争で死に損ねた惨敗者の自分は、
未来を生きる子供たちへ罪滅ぼしを
したいという思いであると話されて

いました。

子供たちが自分のような過ちを
おかさないよう、己の頭で考え
大人がなにをいっても、おかしいと
思う事には、おかしいというように
なってほしいとも書かれています。

そんな、かこさとしさんの思いを
知りながら絵本を読んでいると、
さらに絵本の良さをしることが
できるかもしれません。

 

 

 

↑おすすめの絵本をのせています。

良かったらご覧ください。

 

 

最後の最後までお読み頂き

ありがとうございます。

寒さ対策を万全に、幸運な事や

嬉しい事がいっぱい起こる

明日になりますように。