怪物(ネタバレ)~かいぶつだーれだ~ | 映画でもどうどす?

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映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

  ■あらすじ

 

 

●麦野早織…シンママ

●麦野湊…沙織の息子

●星川依里…湊のクラスメイト

●保利…湊と依里の担任教師

 

地方都市。

夜空を紅に染める火事が発生する。

 

 

早織のターン(早織目線)



女手ひとつで息子を育てているシンママの早織。

 

最近息子の様子がおかしい。

誰かにいじめられているのかと問うが、

そんなことはないという。

 

 

だが髪の毛を自分で切ったり、

走行中の車から飛び降りたり、

どうも精神的に不安定ガーン

 

 

問い詰めたら担任教師から理不尽な扱いを受けているって言うじゃない。

 

 

早織は学校に出向き「どういうことなんか?」と聞くが、

教師たちの返事はどこか上の空。

校長は先日孫を事故で亡くしたらしく、

ちょっとあっちの世界に行ってるんじゃないかと思うほど。

 

 

担任は表面的にしか謝らず、

周囲の教師も穏便に済まそうとしているのが見え見え。

剩っ冴え、湊がクラスメイトの依里をいじめているとまで言い出す始末。

 

 

早織は「人として話し合ってるのに、あんたらの態度は何やねんむかつき」と怒りをぶつけ、

弁護士を介入させ、保利を解雇するように要求。

 

 

ことは学校全体を巻き込んだ大ごとになっていくのだった。

 

 

保利のターン(保利目線)

 

 

クラスでいじめられているような依里。

生徒思いの保利は、

何とかクラスをまとめようとする。

 

 

湊がクラスで暴れ出し、それを止めようとしたら鼻に手が当たって鼻血が出てしまった。

 

 

保利は、湊に謝罪する。

 

 

だから湊の母親が学校に乗り込んできた時も、

なぜ自分がしてもいない体罰を疑われなあかんねんと言う気持ちばかりが先行。

当然謝罪も既定の文言を言うだけのものに。

それすらも保利には「なんでやねん」なのだが…。

 

 

シンママは息子を溺愛するものだから…、保利はそう思っていた。

 

 

事件が大事になっていき、どんどん孤立無援になっていく保利。

マスコミにまであることないこと書かれ、

職を失い彼女も失い。

 

 

全てを投げ捨てようと屋上に上り、

飛び降りようとした保利の耳に、

へたくそな楽器の音が聴こえる。

 

 

その音は保利のあちらに踏み出そうとする一歩を押しとどめてくれた。

 

 

依里の書いた作文の秘密に気付いた保利。

嵐の中、湊の家に謝罪に行くが、

既に湊は行方不明となっていた。

 

 

早織と一緒に湊と依里を捜す保利。

ふたりの行った先は土砂崩れになり、

彼らが遊んでいたらしい廃線の朽ちた列車の中には、

ふたりの姿はすでになく…。

 

 

湊のターン(湊目線)

 

 

湊は、いじめの標的にされている依里と実は仲がいい。

だが、そのことを知られると自分も標的になるし、

何より「ちょっと変わってる」依里と仲がいいと思われるのは何となくイヤ。

 

 

でも、親もクラスメイトも担任も知らないところでは

ふたりは仲良し。

 

 

湊は依里と仲良くしてることや、いろんなことを知られたくなくて、

保利が体罰をしたという嘘をついていた。

 

 

そのことで母親の早織がキーキー!になり、

保利が追い詰められていくことにも心を痛め。

依里への、なんだかわからない気持ちにも心を痛め。

 

 

母親は、湊に普通の生活をしてほしいと思っているが、

依里に仄かな想いを抱いてしまった湊にとってそれはなかなかに厳しい期待。

 

 

依里は依里で、

父親から男らしくない、普通になってないと激しい虐待を受けていた。

 

 

大人たちの騒ぎ立てている事象に追い込まれながらも、

依里を守りたいと思う湊。

 

 

嵐の日、湊は虐待を受け浴室に放置されていた依里を救い出し、

自分たちの聖域である列車の中に逃げ込む。

 

 

土砂崩れが

起きた。

 

 

湊と依里は列車から脱出し、

光の差す野っぱらを走っていく。

 

 

屈託なく笑いあう歌里。

明るくて眩しくて…

そして二人は

光に包まれて…。

 

 

■おしまい 

 

 

 

  ■感想

 

 

出典: (C)2023「怪物」製作委員会

 

 

子供思いのシンママ早織。

生徒思いの担任教師保利。

心優しいけど不器用な湊。

 

 

それぞれの視点で描かれる物語。

真実は人の数だけある。

 

 

主人公の目線に共感すると「それが正しいこと」に見えるけど、

別の視点から見ると「また違う姿を見せてくる」のです。

最後の湊のターンで、

「あ、そういうことやったんか」

って言うのがわかる。

 

 

初っ端にぶっこんできた早織ターン。

「わかるわかる」しまくり。

な~の~に~、

保利先生ターンで、いいひとやんきのどくやん、ってなるねんで。

 
 
湊のターンで、
早織、けっこう無理して頑張ってはったんや、
子供にばれてるけどな←亡くなった父親の死の真相。
 

 

非常に面白くて良く出来た作品。

是枝さん、説教臭くてたまに「アー、ハイハイ」ってなるんだけど、

これは良かったなー。

 

 

早織も保利も湊も、それぞれの思いがズシィンときて、

唯一共感できなかったんが依里の父親っていうのがね~。

 

 

さて、

この映画でむっちゃキーパーソンは、校長先生だと思うんですよ。

 

 

つい先日孫を亡くした。

校長の旦那さんの不注意で孫を車ではねてしまった…ってことになってるけど、実は殺したん校長ちゃうん?

立場的なものとかあるから旦那に罪を擦り付け、

旦那も甘んじて受けたんちゃうん?

なんてうわさも流れてます。

 

 

マダム思うに、犯人は校長。

湊が「嘘をついてた」と告白したときに、なんとなく許容して共犯者のような雰囲気を醸し出してたから。

 

 

早織の眼に見えているのは、腑抜けてクソの役にも立たないお飾り校長。

保利の眼に見えているのは、学校を守ることしか考えてないし、そのためなら何でもするちょっと怖い校長。

湊の眼に見えているのは、「誰かにしか手に入らないものを幸せとは言わない。誰にでも手に入るものを幸せと言うの」と言う言葉をかけてくれた大人。これ名言やんか。

 

 

スーパーで騒ぎまくる子供に足をかけて転ばせる校長。

早織に見られたことに気付いて、

ふっと顔を緩める校長。

田中裕子様の演技力よ!

 

 

ラスト、湊と依里は、何処に行ったのだろう。

光に包まれたあの世界は、

光の国?ジョワッ!

 

 

じゃなくて、

あの世?

 

 

助かってほしいような気もする。

 

 

是非観てくれたまえ、

きっと地上波でも放送するだろうからさ。

そして彼らがどうなったのか、語りあおうではないか。

 

 

怪物は誰なのか。

誰とかじゃなく、

人間なんてみんな怪物ですわよ。

上矢印

これ!

 

 

半袖半ズボンでそんなとこ走り回ってたら、

マダニに嚙まれるぜよ。

気ぃ付けなよ~。

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