■あらすじ
●石川一登…父親、一級建築士
●石川喜代美…母、家で仕事をしている
●石川規士…高校生の息子、行方不明
●石川雅…妹、高校受験を控えている
一級建築士の石川は自宅横に事務所を構えている。
自宅はモデルルームのようなもの。
常に住まいの参観日。
気が休まらねぇ
息子の規士は元サッカー部だったが怪我で今は部活も引退。
裕福で幸せな家族だった。
あの日までは。
ある日、規士が夜が更けても帰宅せず喜代美は心配でたまらない。
何度もLINEを送ったりするもそっけない返事が少しあっただけ。
不安に苛まれる喜代美は規士の部屋からナイフのパッケージを見つけ出した。
まさか…?
夜遅く、高校生とみられる少年が遺体で発見されたとの報道が流れる。
そして規士は帰ってこない。
石川は警察に連絡を入れる。
翌日被害者の身元が判明。
懇意にしている工務店さんの友人のお孫さんやった。
そして規士の友人。
警察がやって来て、根掘り葉掘り聞かれた石川家。
喜代美は「警察が息子を犯人扱いしてる」と憤慨。
喜代美はジャーナリスト内藤から「行方不明になっている子が3人いる」と教えられる。
規士の行方はわからないまま。
警察からも情報が入らない。
そのうちマスコミが家に押しかけてくる。
近所の人からの苦情でマスコミ対応した石川は、インタビューをテレビで流されてしまう。
ここから「石川規士犯人説」が独り歩き。
石川は仕事をキャンセルされ、家には嫌がらせの生卵や落書き。
工務店からは「もう一緒に仕事できしませんな」と宣言される。
捜査で犯行に至ったのは2人だと判明。
と言うことは、残りのひとりは…
規士は被害者なんだと言う石川に対し、何があっても生きていてほしいと思う喜代美。
生きてくれさえすれば、全てを失っても構わない、他に望むものは無いと思う喜代美は被害者であってくれた方がいいと望む雅に対しても激情をぶつけてしまう。
雅にしてみれば、これからの未来をなんで兄ちゃんのせいでつぶされなあかんのん!と言う思いもあるだろう。
雅の母に対する不満爆発。
一家無茶苦茶
■おしまい
■感想
原作既読。
被害者か加害者か。
被害者なら死、加害者なら殺人犯。
どっちに転んでも痛手が大きすぎる。
W座で小山薫堂さんが「被害者か加害者の二つしか選択肢がないのは極端」みたいなことをおっしゃってましたけどあの極限状態なら、
自分の息子が被害者でかつ逃走して生きてる…なんて楽観的な思考にはなれないんじゃなかろうかと悲観主義者のマダムは思うわけ。
喜代美の気持ちも痛いほどわかるの。
母親だもの。
何をしても生きててほしいと思うよね。
せやけど、
あなたには雅ちゃんがいるの。
「殺人犯であっても生きててほしい」ってヒステリックなくらい言い張るの、雅ちゃんの前ではしてほしくなかったかな。
一人っ子の母なら、何をさておいても息子の命。
今後どうなろうが、世間から後ろ指さされようが息子の命重視。
息子の命より大切なものってある?
でもさ~それを聞かされる雅ちゃんとしては憤るしかないじゃない。
石川さんはさすがにご自身が個人事業主として商売してるだけに、殺人犯の家族になるリスクもわかってはる。
かと言って「息子が死んでてもしゃーない」と思ってるかと言うとそうじゃなく「息子は殺人なんか出来るような人間じゃない」的持ちの方が強いのよ。
この母親と父親の対比が良かった。
何より雅ちゃんの魂の叫び。
「私の事も考えてよ!
私的には、お兄ちゃんが死んでる方がマシなんよ!
ママ上は兄ちゃんの方が可愛いんやな?」
な態度を見せながら、葬儀の時は誰よりも号泣していたことからも、15歳くらいの子にこの試練は辛いよなぁと思っちゃって。
雅ちゃんには幸せになってほしい。
堤真一は、やっぱりすごいよ。
冒頭の仕事できますカッコいいヲヤジからやつれはてて一気に老けちゃったヲヤジまで完璧だったもん。
石田ゆり子の「息子大好きママン」が大好き感情故に「加害者でも生きててほしい」って突っ張るの、他の女優さんだったら「待て!お前」って気持ちになるんじゃないかな。
この映画のテーマは。
自分の家がエブリディモデルルーム。
ごめん、無理。
これ。
それなんかい!
市毛良枝演じる喜代美ママ上。
差し入れに持ってくるものがテンプレすぎて笑う。
そんな大量のおにぎり、今食えへんて。
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