恐ろしや、乙女の花園…。
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暗黒女子 [Blu-ray]
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超お嬢様ばかりの集う女子高で、
学園の女王が、すずらんを持って自殺しはった。
でも、あれは他殺ちゃうんという噂が流れ。
犯人は、どなたなのかしら。
文芸サークルの定例会。今回は闇鍋も致しますわね。
いつもなら文芸作品について語り合うのですが、今日は特別。
皆様の書いた小説を自ら朗読していただこうと思います。
テーマは。
「私達の白石いつみを殺したのは誰か」
澄川小百合先輩がこうおっしゃいました。
★二谷美礼★
夢見ていた高校に特待生として入ったものの、周囲のお嬢様との経済格差についていけずひとりぼっち。
「文学サークルに入らない?」そう声をかけてくれたのは、学園内の憧れの星・白石いつみ先輩でした。
文学サークルは、選ばれたJKだけが集う場所。
サークルには、JK作家として注目の的の高岡志夜先輩。
お菓子作りが上手で巧い小南あかね先輩。
ブルガリアからの留学生、ディアナ・デチェヴァがいます。
経済的に困窮している美礼は、いつみの妹の家庭教師としてアルバイトをすることになりました。
前向きになった美礼は、老人のボランティアも始めるように。
しかし、白石家に通うようになり、いつみの父と志夜がただならぬ関係なので地はないかしら、と思えるような現場にいくども遭遇します。
いつみ先輩の体調が悪くなり、皆がとても心配していました。
いつみから「私には殺したい人がいる」と打ち明けられる美礼。
「父が誘惑されているの…」そう言っていつみが出してきたのは、学院のマークが入ったハンカチと、そのハンカチについていたゲランの香。甘く清楚なすずらんの香…。
この香りは志夜の香。そしてまだ日本では発売されていない…ということは。
いつみから髪飾りをもらった美礼。
美礼は糾弾します。
「私を殺したのは、すずらんの香りを持つ女」
そういつみは言いたかったのだと。
★小南あかね★
由緒正しい料亭「こみなみ」の娘であるあかねには、洋食屋になりたいという夢がありました。
いつみから「斜陽の感想文がとても面白かったから」と、文学サークルの誘いを受けたときも、乗り気ではなかったのですが、部室にはステキなキッチンが付いていて。
あかねはここで思う存分腕を振るうことが出来るように。
「こみなみ」が火事で焼失、文学サークルのキッチンでスイーツを作っているときが茜にとっての至福の時…。
いつみの体調が悪くなり、いつみが少しでも口に運んでくれるよう、お菓子作りに励むあかね。
ある日いつみから、美礼には盗難癖があることを相談されます。
警察沙汰にはしたくないといういつみですが、おばあさまから頂いた「すずらんの髪飾り」を奪われたことは許せないと怒っていました。
そしていつみは、死んでしまいます。
犯人が誰かを指し示す、すずらんを手にして。
★ディアナ・デチェヴァ★
ブルガリアにホームステイに来たいつみ。
いつみは、父親(学園理事長)の力で交換留学生を一人、日本に連れて行ってくれるといいます。
最初は、ディアナの姉のエマが行くはずだったのですが、エマは不慮の事故で死亡。代わりにディアナがやってきました。
いつみは、自分が卒業したらこのサークルを閉じる気でいたのですが、あかねは「居場所を奪う気ですか」と猛反発。火事で家をなくしたあかねにとって、このキッチンはサンクチュアリだったから…。
いつみの体調が悪くなり、けだるげです。
そんな時、美礼が言いました。
「最初ここに来た時、いつみ先輩のお菓子まで頂いちゃって、お酒が利きすぎてたのか気分悪くなっちゃいました。テヘ」
ディアナは気づきます。
あかねのお菓子には、毒が混入されている…。
私はあなたを許さない…ディアナはつぶやくのでした。
★高岡志夜★
新進気鋭のJK作家志夜。
いつみの父親とは、出版社との交渉を頼んだりと、そこそこ仲のいい関係。
その縁で未発売のゲランを頂いちゃったし。
小説「君影草」の翻訳をいつみは希望しています。志夜は、あまり乗り気ではありません。
ディアナは「次の留学生も…」と語ってるけど、いつみは「もう留学生は取らない」って言ってたのに。
ディアナが人形(いつみから貰った)に杭を打ち込み「エロイムエッサイム…」と唱えてるのを眼にしてしまった志夜。
ディアナはまるで魔女…いいえ、吸血鬼のようで。
いつみの調子が悪くなり、志夜は見てしまいます。いつみの首筋に牙の痕があるのを。
★白石いつみ★(小百合先輩が代読)
いつみは、教師の北条と関係を持っていました。
ブルガリア留学で、愛し合っていた二人。日本に帰ってきてからも親友小百合の尽力もあり、その関係は絶えることなく続いています。
全てが満ち足りているのに虚無を抱えるいつみ。
JKであると言うだけで、ちやほやされるのはほんの少しの時間。ああ、このまま朽ちていくなんて。
彼女は見つけてしまいました。虚無を埋める方法を。
「私を主人公にして、文学サークルに脇役を集めればいいのよ、特別な脇役を」
志夜の書いた小説はフランスのマイナーな小説のパクリ。
小南あかねは「こみなみ」に放火。
ディアナは自分が留学したいからエマを突き落とし、
美礼は金のため老人に性的奉仕をしていた…。
かくしごとを知られてしまった彼女たちは、いつみに全てを握られます。
北条との間に赤ちゃんができたいつみは、堕胎できなくなってから父親に言うつもりでしたが、全部父親にバラされてしまったやないのん。
当然、赤ちゃんんは堕胎。北条は学校からも街からも追い出されました。
その赤ちゃんの名前は、すずらん…。
ブルガリア逢瀬の写真を撮ったのはディアナ。
食の好みの変化から妊娠に気づいたあかね。
老人ボランティアで病院に出入りしていた美礼が、赤ん坊のエコー写真を手に入れ、父親と仲の良い志夜がチクり…。
あなた達、裏切ったわね。
開放されたい?何を言ってるのよ。私が卒業したら解放されるじゃない。あとたった1年なのよ?
「てやんでぃ、バーロー、てやんでぃ!JKの1年はごっつ希少なんや!」
いつみは、仕返しのために自殺しました。
…と言うのは表向き。実はいつみは生きていたのです。
そして、あなた達が書いた「誰かを犯人にする小説」を隠れて聞いているとか…。
気づきませんでしたか?闇鍋からすずらんの香りがしていることに。
すずらんには、毒がある…くすくす。
「ヒィィィィィィ!」
ゲボーゲボー!
いやだわ、冗談なのに。信じやすい自意識過剰のお嬢さんたちですのね。
…というのは表向き。いつみはここに来てたのだけれど、復讐心はすっかり消えて、北条先生と新しい生活を送ることばっかり考えていたのです。
そんなの、いつみじゃないでしょう?傲慢で不遜で女王様ないつみが家庭におさまるですって?なんて平凡な!!
そんないつみは要らない。
今のいつみより、
「私のほうが主人公にふさわしい」
ので、いつみ、あなたはもう不要。
これからは、澄川小百合の物語が始まるのです。もちろん、皆さんも一緒にですよ。
だってもう…一心同体でしょう?
鍋の中には…ね?もう食べてしまったじゃない。
あなた方は。
「ヒ?(考え中…ピカラット)
ヒィィィィィィ!」
おしまい
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原作既読。マダムすげー、いっぱい読んでるすげー。
賞賛していただいても構わなくてよ。
だって秋吉理香子さんなのだから、読まいでか!イヤミス新勢力。
大変面白い小説を書かれる作家さんです。
マダム、ほんま、この手のやつはオールクリアしてるやろ?
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暗黒女子 (双葉文庫)
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この作品。
多分、殿方には本質の部分の恐ろしさは、わかりにくいと思います。
また、リア充の「本なんか読まないスマホだけ―」な嬢ちゃんたちにも、いまいちピンとこないかも。
「女子のマウントが…」ノーノー。
そんなことちゃうねん…と思う。(謙虚っぽく)
「ブンガクショウジョ」と言う存在が、この作品の重要なキーワードなのです。
想像力豊かで、
自意識過剰で、
思い込みが激しく、
自分を現実の自分より大きく高く見せ、
外見を取り繕う(ココらへんはインスタ女子にも通じる)。
ああ、なんて愛おしいブンガクショウジョ。
「すずらんの毒」と聞いただけで、
一番ブンガクショウジョだった美礼が真っ先にゲボゲボし出してるんですから、
ブンガク大好きな小娘を手玉に取るなんて、チョロ臭いもんですよ。
一見リア充嬢ちゃんなあかねですら、太宰の斜陽を読み解くくらいのブンガク知識はもちあわせてる。
そういう資質があり、尚且つ後ろ暗いところのある少女を集めたいつみ。
ミーは物語の主人公になるザンスー!
おおおお、ブンガクショウジョ(またの名を厨二病崩れ)が家柄の良さと財力と権力を持ったら、ムテキングじゃぜー!
さて、この作品。
女子校独特の雰囲気。
擬似恋愛。
自己保身、エゴ、自意識過剰などなどもろもろ数多(あまたって読んでね)…。
女の子ゆえの痛々しさが犯罪を誘発し、女の子ゆえの動機が犯罪を増殖させる。
「秒刻みでこぼれていく価値を手に入れ」「特別に選ばれた自分と言う優越感、選民意識」を持ってしまった少女たち。
作り上げた虚像と現実の狭間で揺れ動きながらも、花園の誘惑は誘蛾灯のようで。
可愛い女の子が犯行に手を染めて…と言う表層的な物の見方ではなく、ガラスの棘とガラスの鎧をまとった少女たちの心が少しずつひび割れていく様。
理想はあくまで理想で現実は移ろいゆくものなのに、目を背けてしまう可愛いコたち。
ブンガク系少ショウジョは、こんなにも愛おしくて、こんなにも愚か…。
このコ達に琴線を揺るがされるのは。
多分、純粋な魂を持った、ブンガクショウジョ。
あるいはブンガクショウジョのなれ果てw
秋吉理香子さんでは、
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聖母
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こちらもオススメ!!たいそうなイヤミスです!
原作を知ってたので、うわーーー―!と驚くことはなかったけど、
やはり小百合先輩は、怖かった…。清水富美加の怪演、ステキでした。もったいないにゃ~。
すずらんが効果的に使われてましたよ。
ラスト。
逃れられない様に秘密を握られている4人の娘たちは、1人の新女王と何事もないように…、
いやさ、本心から尊敬し慈しみ友情を育んでいるかのように振る舞っています。
何も知らない人が見たら、選ばれし民の麗しい絆。
心の中なんて、誰にも見抜けないのですから。
女は天性の演技者。
演技ができない女は、女社会から淘汰されますのよ。
孤高のぼっち街道を貫く心意気も、打たれても平気な心根の強さとタフさも持てぬのならば。
笑って演技を続けるしか女社会(=この作品では学園)で生き残る道はないでしょう?
そうやって割り切れるところこそが、
女の強さであり怖さなのですわ。
殿方、ご用心召されませ。
原作のゾワゾワした感じを上手く映像化していました。
大変面白うございました。
「マダムはイヤミスが好き!」
確信致しました!
イヤミスが好きでもそうじゃなくても。
ポチッとして頂けたら…嬉しいことよのぅ。
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