209号室には知らない子供がいる(櫛木理宇) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

 

心の隙間に入ってくる…あんた誰やねん!

 

 

 

川沿いに建つ瀟洒なマンション。

入居したときは「幸せ」を期待して入居したはずなのに。

何処でどう変わったんだろう。

 

 

 

子育て真っ最中の菜穂。旦那と躾の価値観の違いに苦慮している。

義母と暮らす亜沙子。姑はいつまでも少女な人で…。

憧れの上司のもとに後添えに入った千晶はなさぬ仲の息子と合わない。

自分勝手な妹のせいで自分を押し殺して生きてきた和葉。

離婚した後、一人で暮らしている羽美。

 

 

彼女たちの前に「葵」と名乗る男の子が現れる。

葵は、見るからに美しい「男の子」で。

年の頃は小学1年生くらい。

 

 

だが、葵はヒロインたちではなく、その周囲の人を虜にしていく。

 

 

軋む日常。

瓦解する日常。

 

 

「葵」とは何者なのか。

209号室には、どんな謂れがあるというのだろうか。

 

 

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子供と同じレベルの父親。

叱っても怒鳴っても言うことを訊かず、

「ママはヒステリーですね―」

ご近所の苦情をすべて受けて謝罪するのは母親。

 

ぬっころすぞ、てめぇ!

お前も出てきて土下座しさらせや!

 

ムカムカムキームキームキームキームキームキームキームカムカ

 

 

なんて言えないママ上菜穂を始めとして。

 

 

みんな、言いたいことは山のようにあるのに何も言えない、じっと我慢の子なのです。

 

ギザギザニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤギザギザ

 

 

 

彼女たちに絡みつく「家族」は、読んでいてイライライライラ。

ええかげんにせぇよ、おいこら…と言いたくなるくらい、厭な奴らなのですよ。

わざと意地悪を繰り返す和葉の妹だけでなく、良かれと思って親切を押し付けてくるのが一番困る。

 

 

そんな、日常のイヤン。

ほっとけば、いつかは消えていくこのイヤンを何故か増幅してくれる、葵。

 

 

209号室の葵の母親に対しても、怒りを覚える頃。

209号室ではまた別の事態が起こっていました。

 

 

因果が巡って廻って…。

 

 

不条理なイヤミスがホラーに変わっていく。

とてつもなくおぞましいホラーに。

 

 

全てを読んだ後装丁を見て、

ゾッとしてください。

確かに…あっ!っと納得できます。

 

 

いかにもホラーな終わり方も好き。

「それ」はまだ、求めているのですよ…。

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