赤山の切通~島根県松江市北堀町赤山 | 大根役者

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日常と街道の旅を続けています。ガスリーのHobo's LullabyとアズナブールのLe cabotin(大根役者)を友に

切通が好きだ。鎌倉の切通にはよく通った。鎌倉七口ような中世の面影を残す切通は少なくなっているが、各地に残された切通を歩くのが好きだ。
源頼朝は南は海に、北東西は山に囲まれ、敵の侵入を防ぎやすい地形だったから幕府を鎌倉に開いた。物資調達ルートのために、山を切り拓き切通を作った。
松江の赤山に切通がある。明々庵の前の道だ。武家屋敷の塩見縄手から石橋町に至る道だ。
 
切通を進むとき、上り道から下の風景は見えない。そこに何があるかを想像するだけでわくわくする。

降り坂になると、今までの道とは違う風景が現出する。

さらに進むと道は街道に行きあたる。
石橋町は商人街だ。突き当りに、魚屋と洗い張り店が長屋のように同居している風景が見える。江戸時代もこの風景はあったのかな。
塩見縄手の武家屋敷の生活道路がこの切通だったのだろう。
ツィゴイネルワイゼンにおいて、舞台となったのが、鎌倉七口とは違う「釈迦堂口切通し」だ。浄明寺と大町を結ぶ交通路だが、映画ではあの世とこの世の分かれ目として、重要なシーンになっている。
 
切通は異世界の入り口なのだ。小泉八雲もこの坂を歩いたはずだ。小泉八雲が異世界を描く舞台となった松江の魅力を改めて意識した。