間違った動きを修正しようとしたら、益々違う動きを行ってしまった…。 | シニアの脳と身体の健康運動指導士 石井です

シニアの脳と身体の健康運動指導士 石井です

こころ・からだ・すこやか体操企画 代表 石井誠のブログ。
脳と身体を元気にする楽しい運動指導のことから、何気ない日常まで‥。

高齢者の脳と身体の健康運動指導士、介護予防体操教室指導の石井です。
 

参加者の動きが間違っていて修正の声掛けをしたところ、
●その内容と違う事をされた
●真逆の内容をされた
などで、益々違う動きとなっている…、事はありませんか?

私は何度も経験しています。
また、私がメインで指導している際に、サポート(サブ)の方が個々に修正されている時に見かけます。

こんなシーンがありました。

この場合参加者は左脚を後ろに引いているわけですが、ある方が右脚を座面の下にしまうような感じで後ろに置いていました。
サブスタッフの方がその方にスッと近づき
『左脚ですよ』と声掛け。
その方はキョトンとして反応されなかったので
『左脚を引いてください!』と念押し。
するとその方は右脚をさらに後ろに引こうとされました。
そこでサブの方はその方の左脚を指し示し『そちらではなくて、左脚です』と。
そこでようやく脚を入れ替えられました。

最終的には正しいポジションに変えられましたが、
その方は【自らポジションを取った】というより【周りの方にあれやこれや誘導されてポジションを取らされていた…】ような感じです。

このような時、その方をどの様に思われますか?
■聞こえていない(聴覚機能低下)?
■理解力が低下している?

勿論そのような場合もあるかと思いますが、上記でない場合
【普段の会話は問題なく聞き取れていて、普段の会話での話の理解力も問題ない】という方でも起こり得ます。

情報をキャッチする意識、情報内容を受け止める準備、その内容を考える余裕
これらへの配慮が必要かもしれません。

ここでその方の気持ちや行動を察してみます
いきなり近づいてきて何か言われた…

何するの?えっ?えっ?

①何かしないといけない!と焦って、今自身が行っている間違った動きを繰り返したりより大きくしてしまう。
又は②反射的に動ける脚が動く

何か言ったけど、聞き取れなかった…
『引いてください』のようなことを言ったのかな?でも何のこと?

結局、どちらの脚かが分からず、今引いている脚を更に後ろに引こうとする

左脚を差されたけど、それをどうするの?今引いている脚はどうするの?
結局何がどうなの?!

と、混乱されて訳が分からないまま動作を(半ば強引に)誘導された、という受け止めであるかもしれません。

ここで、繰り返しとなりますが
【情報をキャッチする意識、情報内容を受け止める準備、その内容を考える余裕】への配慮した対応について考えてみます。

①受け手側が聞く準備が出来ていないのに、いきなり『○○しましょう』と伝えたとします。
受け手側はいきなり何か言われたことに驚いて、『●○▲■☆※◇ק※‥』としか聞こえない可能性があります。
【こんなことございませんか?お店とかで店員さんが何か言ったことに対して、一回目は『えっ!何?』聞き返すシーンを】

まず、受け手側が聞く意識(話す相手がどんなことを言うか、に注意を向ける)を持つ事が必要です。
その為には
●いきなり内容を伝えるのは無く『○○さん』などと呼びかけてから、伝える本題を言う。
●言葉で説明の前に、その方とアイコンタクトを取ったり、目線をその方と合わせてコミュニケーション取るという意思表示をする。
そうすることで、相手は【何か伝えるんだな?】と話す方の内容(情報)に意識が向かいます。

②その方はどの様な手段なら情報を受け止めやすいかを考慮します。
●視覚からの情報入力が優位の方(どの様な動きを行うかを指導者の言葉による説明よりも、指導者が動いて見せたり、その動きを模倣する事で理解する傾向が高い方)へは、
修正内容を言葉で説明するよりも、動いて見せる
(ここでは、伝える側もその方と同じような間違ったポジションを取ってから、それを直す過程を見せる、等)

③内容を理解しやすいような、言葉の選択、順番、情報量
●右や左が分からなくなっている(伝える側と対面の場合、ミラーリングや空間認知機能低下などにより、受け止める側は左右が混乱しているかもしれません)場合は『反対の脚で』と。
●『左脚を引きましょう』を『引きましょう、…(間)、左脚を』と確実に聞こえるフレーズの最後に一番伝えたいワードを盛り込む。
●『右脚を戻しましょう』を伝えてから『左脚を引きましょう』と段階的に説明する

【間違いをただす】【正しいことを伝える】だけではなく、【どうすればその方が受け止めてくれるか】【どうすればその方は内容を理解し、考えて取り組んでくれるか】までを配慮して修正の対応をしたいですね。