2015年秋の私の悩みを告白します。
嚥下の麻痺の克服です。
いろいろある麻痺は、克服できても嚥下だけは、
命に関わる心配事でした。
人は、三度の食事をして、口から栄養とエネルギーを
摂らなくてはなりません。
私は、毎日が闘いのようでした。
誤飲だけは、避けたかったのです。
このまま年を取って体力が無くなったら、
食べ物を誤飲したときに、吐き出すこともできません。
吐き出せなかったら、気管から肺に入って、
細菌を呼び、肺炎になってしまいます。
また気管を詰まらせて、窒息するかもしれません。
誤飲による肺炎で亡くなる高齢者の数は、
少なくないようです。
私は、誤飲で命を失いたくありません。
そんな悩みをふと友人に漏らすと、
「喉を鍛えたら?どうせやるなら、
楽しいコーラスなんてどう?
《国技館の5000人の第九を歌う会》が団員を
募集しているから、私と一緒に参加しましょう。」
その誘いに、私は即答で、参加を決めました。
一緒にアルトを歌うと!
次の週から、墨田のリバーサイドホールで
練習が始まりました。
合唱を専門とする先生方による練習です。
発声の体作り、ドイツ語の発音、2時間にわたる
トレーニングの始まりです。
姿勢を正し、大きな声で、顔の筋肉を緩め、
口の形や舌の動きなど、どれを取っても
喉を鍛えるのに、申し分がありません。
声は、複式呼吸で声帯を震わせ、
体全体を楽器のようにして、
頭の上の方に響かせるそうです。
「喉を鍛えたい」と考えていた私は、甘かったです。
喉だけでなく、体が出来ていかないと
嚥下も鍛えられないことに気が付きました。
誤飲するかしないかは、喉だけの問題ではないと、
分かったのです。
嚥下の麻痺があっても、カバーしてくれる体があれば、
恐れることはありません。呼吸と筋肉の使い方、
声とイメージトレーニング、そして体を楽器のように
操る。歌うことは、自分を鍛え、自分に自信をもつ
時間にもなりました。
誘ってくれた友人に感謝です。
「けい子さん、ありがとう。」
今年(2017年2月に向けて)も
チャレンジしています。
「生きる喜び」と「生かされる喜び」を
第九に込めて!