映画『蛇の道』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『蛇の道』

『蛇の道』

(上映中~:J-MAXシアターとやま)

公式サイト:https://x.com/eigahebinomichi

 

黒沢清監督が1998年に手がけた同名映画を、柴咲コウさん主演で、

フランスに舞台を移してセルフリメイクしたリベンジサスペンスです。

98年の作品は観た記憶がありません。オリジナルは85分。本作は113分。

かなり膨らんでいるようですが、全体的にダレた感じはしませんでした。

柴咲さんのフランス語がお上手・・・だったように思います。

 

8歳の愛娘を何者かに惨殺された父親アルベール・バシュレは、

偶然(?)知り合った精神科医・新島小夜子の助けを借りながら、

犯人を突き止めて復讐を果たすべく殺意を燃やしていました。

やがて2人はとある財団の関係者たちを拉致し、

次第に真相が明らかになっていくが・・・という展開です。

 

(以下、“適度”にネタバレしています。ご了承ください)

 

予告編でも感じていましたが、

小夜子が人助けだけが理由でバレシュに協力するはずもなく、

彼女が本来の目的を遂行するために彼を利用してるんだろうな・・・と。

あまりにも分かりやすかったので、

逆に予告編のミスリードを期待しましたが、そんなことなかったです。

 

小夜子には夫がいるようで、またしても(!?)青木崇高さん。

一緒にフランスに来たけれど、夫は上手くいかずに帰国してました。

小夜子の患者、吉村も同じようにフランスに馴染めない日本人。

西島秀俊さんが演じているので、もう少し何かあるのかと思いましたが、

え?これで終わり?って感じで物語から消えていきました。

ただ、海外で暮らすというのは簡単なことではないことが分かります。

そんな中、小夜子は目的もあったけれど、強く生きているということです。

 

でも、強さは同時に怖さを生むこともあります。

サスペンスなので最終的に財団はどうなったのかなど、

一連の事件の解決については伏せますが、

小夜子の強さと狂気が印象に残る作品でした。

柴咲コウさんの起用が分かりやすく効いています。

途中でも、そして、ラストシーンでも見せた表情。目力が凄かったです。

物語の終了感も含めて、「まぁ怖いですねぇ」というラストでした。

 

ひょっとして、小夜子がフランスに滞在し続けた理由は、

物語の途中で語られていた精神科医としての夢は関係なく、

その目的を果たす、それだけのためだったのかもしれません。