映画『鬼平犯科帳 血闘』 | 牧内直哉の「フリートークは人生の切り売り」Part2

映画『鬼平犯科帳 血闘』

『鬼平犯科帳 血闘』

(上映中~:J-MAXシアターとやま、TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、イオンシネマとなみ)

公式サイト:https://onihei-hankacho.com/movie/

 

池波正太郎さんのベストセラー小説「鬼平犯科帳」シリーズを、

十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化したシリーズの劇場版で、

今年1月放送のテレビスペシャル鬼平犯科帳 本所・桜屋敷の続編です。

そのテレビ版は私は未視聴でしたが、本作はほぼ問題なく楽しめました。

だって、「鬼平~」の設定やお約束の登場人物は、

中村吉右衛門さんのドラマを知っていればだいたい分かりますからね。

あのドラマは私よりも弟の方が好きでよく観ていた記憶がありますが、

私もたまに観たら、間違いなく面白かった!程度には観てました。

物語自体も凄くシンプルな「これが良いのよ!」的娯楽時代劇です。

 

『~ 本所・桜屋敷』はネット配信で視聴可能(配信期限に注意)なので、

時間が許せば観てみようかな・・・という思いでいます。

これ時代劇専門チャンネルの企画なのか何なのか、

私、その辺の事情は詳しくは分かってないのですが、

この映画の続編が放送されるそうです。ややこしい・・・。

ぶっちゃけ、全作、劇場公開でも良いのに。テレビだと忘れちゃう。

私は視聴可能なチャンネルなんだけど録画しずらくて・・・とか、

まぁ、いろいろ思ったりするのは、本作がなかなか面白かったからです。

 

十代目・幸四郎さんにとって吉右衛門さんは叔父。

鬼平こと長谷川平蔵は八代目・幸四郎さんも演じておられて、

まぁ何というか、脈々と受け継がれているということです。

本作では平蔵の若い頃を八代目・市川染五郎さんが演じています。

にしても、歌舞伎役者は先代の記憶が残っているうちに

息子さんが襲名してしまい、それまで付けていた名前はその息子に・・・

となるので、なんだか分かりにくいというか紛らわしいですね。

 

さて、親子共演というと、

本作では役は親子ではないけど柄本明さんと時生さんが出演。

でも、時生さんの役は過去のドラマ版で明さんが演じていた役でした。

また、二世俳優でいうと、盗賊の頭役で北村有起哉さんが出演。

お父さんの北村和夫さんも過去のドラマ版に何度か出演されてます。

それとはちょっと違いますが、柄本明さんとベンガルさんが、

若い頃から現在までを自身で演じて同じ場面で共演しているなど、

いろいろと興味深いキャスティングになっていました。

 

北村有起哉さん、マジで好きな俳優さんです。

最近ではドラマたそがれ優作が面白かったですが、

コメディも切ない役も嫌われ役も何でもOKで、今回は極悪人役。

彼が演じる“綱切りの甚五郎”はなぜ長谷川平蔵に執着するのか。

そう、タイトルの「血闘」の意味がここにあります。

なので、キャスティングでも物語でも「血」を感じるわけです。

 

もう一人、もの凄く良かったのが、おまさ役の中村ゆりさん。

おまさは吉右衛門さん版では梶芽衣子さんが演じていた重要な密偵。

梶さんとはタイプが違う女優の中村ゆりさんですが、

いやぁ、おまさの切なさとか想いとか、もう惹かれまくりました。

中村さん、トヨエツ版の仕掛人・藤枝梅安ではいきなり殺されて、

薄幸美人が似合う女優さんです。本作でも本領発揮されていまいた。

彼女のことで柄本明さんが啖呵を切るシーン、涙腺緩みました。

 

そういえば、仕掛人・藤枝梅安2では、

お茶屋で梅安と平蔵がすれ違うシーンがあったのですが、

本作に梅安はチラリとも登場しません。そりゃそうだ。

男の色気ダダ洩れを楽しむなら『藤枝梅安』、

分かりやすく時代劇の娯楽性を楽しむなら本作という感じです。

吉右衛門さんのドラマ版が大好きすぎて敬遠するのは、

もったいなんじゃないかな・・・と思える映画でした。

 

 
と、新しい『鬼平犯科帳』ですよ~と分かっていながら、
やはりこの曲が脳内再生されちゃうんですよね。
当然ですが、本作でこの曲は流れません。