母、逝く(1) | マキオカのネイチャーな日々

マキオカのネイチャーな日々

山梨県の牧丘に手作りの2区画だけのキャンプ場を作りました。

広い空には満天の星。
ティピィの煙突からはバーベキューのけむりと笑い声。
ハイジのブランコは空まで届きそう。

いるだけで気持ちが和んでいく。そんな不思議なキャンプ場から贈ります。

こんにちは。今日も楽しいマキオカです。

2月9日の朝9時頃、電話が鳴った。
出ると姉がくぐもった声で「お母さん、冷たくなってるって」と言った。

えっ、どういうこと?
30分程前、姉に「やっぱり明日、お母さんの家に泊まりにいくね」という連絡をしたばかりだったのに。

詳しく聞くと、朝9時にお願いしているヘルパーさんが来た時、家の鍵が開いていなかったので(いつもは2階に住んでいる娘が開けていた)隣に二世帯で住んでいる姉の息子のお嫁さんのRちゃんに開けてもらったという。
二人で母が寝ている部屋に入り、ヘルパーさんはいつも通り仕事を始める準備をしていたが、Rちゃんは母の顔色がいつもと違うことに氣がついた。
(Rちゃんは母を氣にかけ毎日顔を見に来てくれていたから、いち早く異変に氣がついてくれたんだと思う)
Rちゃんが声をかけながら近づいてみると、母は呼吸が止まっていた。
両手を胸の辺りに組み正面を向いて、まるで眠っているように見えたという。

前日わたしが息子と実家に行った時、母はいつになく「苦しい。なんとかして」と訴えてきた。
胸をさすればお腹、お腹をさすれば脊椎と、痛みは移動する。
息子がお灸をしたが、それよりさすってほしいと訴える。
「痛い」と言うのはいつものことだが「苦しい」というのはあまり聞いたことがない。
この間まで食欲があったのに、今日は何も食べたくないと言う。
途中少しだけ吐いたので(これも初めてのことだ)着替えをさせたが、とにかく「苦しい!」と言い続ける。

「なんとかして」と何度も訴えられ、とても辛い。
わたしに出来ることは何もないのだから。
週に一、二度は泊まるようにしていたが、「今週は泊まるの辞めようかな」と考える。
一晩中、この声に付き合うのはちょっと無理かもしれない。

もしかしたら腸閉塞の可能性があるのか?
ただ入院させたらもう二度と家に帰って来れないだろう。
明日は訪問ナースが来てくださるので相談してみよう。

17時にヘルパーさんが来るのでお任せすることにし「息子の仕事があるから」と言って帰宅した。
その後姉が来て21時前まで一時間ほど体をさすってあげ、姉が帰り際「明日お昼頃来るから」というと「うん、待ってる」と返事をしたという。

姉もわたしも「もっと居て欲しい」という母を振り切って家に帰った。

「切りがない」と思ったし、この日常がずっと続くと思っていたから。
だけど続くと思っていた日常は唐突に終わった。   

つづく