大宮。 | まきおの隠れ宿

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劇団スタジオライフの牧島進一です。
皆様との交流の場をコソッと増やそうとブログを始めてみました(^_^;)
内容は徒然、不定期更新になると思いますが、
宜しくお願い致します!

四月某日。

久々に地元の友達と会うことになり、大宮へ向かう。

12時にSOGOの前で待ち合わせだったのだが、少し早く着いた友人からメールが

「SOGOの裏にあるビックカメラのおもちゃ売り場にいる!」

「大宮にビックカメラなんて何時の間にメールできたんだろ」

中高時代、遊ぶと言えば大宮に出てゲームセンターやボーリング、カラオケなんかに行ったものだ。僕なんかよりイナセな友達は渋谷とか新宿まで足を延ばしていたみたいだけど、蓮田市の中学、加須市の高校に通っていた僕には未開の土地だった。

やがて僕も大宮に到着。実家には最近よく帰るけれど、大宮駅に降りるのはちょっといつ以来かわからないくらい。

SOGOの裏に向かうと、たしかにビックカメラができていた。
エスカレーターでおもちゃ売り場のあるフロアに上がると、ゲームコーナーの所に彼はいた。

黙って後ろから近づく。
彼はニンテンドー3DSのファイヤーエムブレムのデモ映像をじっと観ていた。幼稚園に入学したばかりの彼の愛息子にはまだ早いので彼自身の趣味だ。

「これさ、CMで観た時なんのゲームだろうと思ったら、携帯ゲームなんだよな」

声をかける。

「うむ。もはやプレステ2は完全に越えてるな」

応える彼。

「おおう、来たか」

応えてから気づく。

「うん。用は済んだ?」

「済んだ、行こうか」

とりあえず出る。

「どうするか~」

「どうするかねぇ」

「大宮久々で良くわからんなぁ」

「わからんねぇ」

そもそも大宮にしたのは蓮田在住でかつ社会人でかつ息子君がいる彼の交通の便を考えただけで、これといって目的はなかったのだ。

「飯食った?」

「いや」

「じゃあ軽く何か食うか」

「でも、混んでそうだな、時間的に」

「あぁ、そっか。まあとりあえず歩く?」

ノープランの三十と余歳二人。
口調が似ているので会話はどっちがどっちか文字だとわかりずらいかも知れないが、若干柔らかい方が僕。まあ逆で読んでも内容的に問題はない。

そんな訳であたりを歩き出す。ほどなく学生時代彼がバイトしていたラーメン屋の近くに来ていた。

「折角だから行ってみる?」

「そうだな。入れそうだったら入るか」

土曜日のお昼どき。近くのチェーン店のラーメン屋は満員で、店の外までお客さんが溢れている。

少し先の角を曲がり、「日高」というラーメン屋に到着。日高屋とは同系列の姉妹店。こちらはちらほらと空席があり、待たずに入ることができた。

「とりあえず食べながら何するか考えますか」

「うむ」

僕は味玉とんこつ、彼はピリ辛みそに餃子を注文。とりあえずはまだ昼間、ノンアルコールだ。

「辛っ!」

「え?」

「かなり辛い、ヤバイぞこれ」

「え、食べたことあるんじゃないの?」

「俺が働いてた頃はなかったんだ」

彼は予想外の辛さに四苦八苦しながら、僕の倍以上の時間をかけて、汗だくになりながらピリ辛を完食した。

かなり早く食べ終わってしまった僕は、iPhoneで周辺を検索。

「お、大宮にラウンドワンなんてできたのか」

「ラウンドワン? あったかそんなの。つーかマジ辛いなコレ」

「あるね。駅の反対側かな?」

「み、水…」

「はいはい」

「さんきゅ。ふぅ、落ち着いた」

「昼飯食べに来ただけなのに、大騒ぎだな(笑)」

「うむ、予想外だった」

時間は1時少し前。店内は僕らが入店したときよりも賑わいを見せ、ほぼ満員になっていた。

「よし、とりあえず出るか」

会計を済ませ店を出る。天気はギリギリ曇り。雨に降られなかったのが幸いだった。

「で、どの辺にあるんだ?ラウンドワン」

「俺もよくわならないんだけど、地図、これ」

iPhoneを見せる。

「あぁ、わかるわかる。行こう」

彼が船頭になり、ラウンドワンへ向かう。
劇団にいてもそうなのだが、僕は不案内な道が本当に苦手で、ツアーの折などはたいてい同行しているジンや松本、関戸や亮さんを頼りに歩いてしまう。サンケイホールブリーゼで初めて公演をしたときなんかは、ホテルに一人で帰れず小一時間彷徨った覚えもある。

「道、苦手なんだよなぁ」

ざっくり呟く。

「真面目に考え過ぎなんだ。間違えたってたいしたことじゃない」

「まあ、そうだけど。一人の時とか本当行く先々で迷子になってるよ」

「それだけ色んな景色見てる訳だろ。別に損はしてない」

彼と話していると、なんでもないことがとても大切だった少年時代に戻ったような気がする。実際、僕ら二人で歩いているこの瞬間は、中高生時代と何も変わらない関係で歩いていた。大宮の街並みが当時とこんなにも変わっていなければ、ぼくらがここでいつも遊んでいた頃から15年も経ってるなんて信じられなかっただろう。



続く!