クリニック光のいずみ外来で、ビオチン療法とレメディクリームの塗布、食事指導で皮膚炎が改善した9ヵ月の男の子の例をお示しします。
新潟の小児科医、久保裕先生が書籍でも説明しておられるように、「便秘」は、喘息やアトピー性皮膚炎増悪の大きな原因になります。便秘をともなう状態では体温が低くなり、皮膚血流も低下し、リーキーガット症候群も増悪するためです。
喘息発作だけではなく、皮膚の痒みも便通改善で軽快します。離乳食を開始する時期から3歳までの食生活で、「小麦製品と乳製品を控える」だけでも、皮膚炎の増悪予防、改善促進が可能です。
クリニック光のいずみ
院長 石川真樹夫
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生後5ヵ月頃から増悪したアトピー性皮膚炎で治療を受けたT君。初診時9ヵ月の例。離乳食から、小麦、ミルク、卵、果物を除いてもらい、ビオチン療法と便秘の治療で改善した例。
①生後9ヵ月での初診時。お母さんが極力お薬を使いたくないという希望で来院されたため、当初レメディクリームのみで対処。
②2ヵ月後、全体として皮膚炎は改善してきているが、日により痒みと掻き壊しに変動があり、症状持続あり。離乳食が進んで食べる物が増え、粉薬も服用出来る事が確認出来たので、ビオチン療法を開始。小麦、ミルク、卵、果物の除去を継続し、主食は軟らかく炊いた「ゆきひかり」の玄米。レメディクリームは継続使用。便秘した場合、翌日には浣腸を使用してもらうように指導してグリセリン浣腸を処方。月に1回程度の浣腸使用あり。
③顔面と体幹部の皮膚炎が消退しはじめてから、ヘリングの法則のとおり、下肢に皮膚炎移行。ただし、ビオチン療法とレメディクリームが良く効いて、便通も保たれたため、大腿部、両下腿、足首の皮膚炎は以下の写真程度までで増悪せず経過。徐々に改善。
④ビオチン療法継続と、増悪時のレメディクリーム塗布で、およそ8ヵ月ほどの経過で皮膚炎は軽快。治療終了となった。