#543 真山仁 「ベイジン」(再読) | ダイビング&バイシクル!
真山仁サンが書いた「ベイジン」を11カ月ぶりに読みなおしました。


2010.5.13 #213 ベイジン。


ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)/真山 仁

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Amazonの作品紹介をコピペ。


中国の威信を賭けた北京五輪の開幕直前。

開会式に中継される“運転開始”を控えた世界最大規模の原子力発電所では、日本人技術顧問の田嶋が、若き中国共産党幹部に拘束されていた。

このままでは未曾有の大惨事に繋がりかねない。

最大の危機に田嶋はどう立ち向かうのか―。

時代の激流と人間の生き様を描く著者の真髄が結実した大傑作。




去年読んだ時は北京オリンピック直前の「中国官僚の腐敗のひどさ」に引き寄せられてイッキ読みしたのですが、今回は違う点に注目して読みました。



この小説の副題である、原子力発電所についてです。



原発については、ちょっと前に1冊読みましたので、これはワタクシにとって、「原発シリーズ」第二弾になります。



2011.4.5 #261 「天空の蜂~読後感想。」




原発についてもうちょっと勉強したいとは思ったのですが、難しい専門書を読む根性も能力も無いので、つい小説に走ってしまいます^^;


「ベイジン」では、竣工直前の中国の原発が起こす事故について書かれているのです。



それがまたリアルで...。



リアルなワケです。東京の200km先で同じような事故が進行形なのですから。



小説では、配電盤のショートによって原発内の電源がすべて失われるところから事故が起こります。



他発電所からの送電は、原発工事の作業者たちによって送電線が盗まれていて(!)使えません。



バックアップの外部電源も、原因不明の爆発を起こしてしまいます。



これでは燃料棒の冷却ができず、東電の原発事故と同じような炉心溶融が起きてしまいます。



やむなく使用済み核燃料プールの水を原子炉に投入しようと...。








この小説を読んでおぼろげにわかったことがふたつありました。



ひとつは、原発事故のパターンって似ている のかなと思ったこと。


もうひとつは、原発の管理体制の厳格さ です。



たとえば廊下にモップの拭きもれの水が残っていただけで、どこからの漏水を疑うほど。





昔からこういった厳格なルールの下で原発を管理してきた技術者の方々は、今回の東電原発事故は悔しい思いがいっぱいなのではないかと想像してみたり。









リアルな東電原発事故と、バーチャルな小説の世界で決定的に違うことをひとつ見つけました。




小説では、事故発生後、放射能漏れが確認されていない時点で、すでに半径10km圏内の避難を開始していたことです。