2011.3.24 NPBニュース 「セ・リーグも開幕を4月12日に延期へ」
セントラル・リーグは24日、理事会を開催し、今季の連盟選手権試合について下記のように発表しました。
・セ・リーグの開幕日を4月12日とする。
・4月中の東京電力・東北電力管内でのナイトゲームを自粛。(東京ドームでは4月中、デーゲームも実施しない。)
・延長戦は3時間30分を超えて新しい延長回には入らない
本日の発表事項は、次回のオーナー会議での承認を経て正式決定となります。
開幕日が4/12に延期されることによって、ジャイアンツは開幕を宇部(!)で行うことになりました。
2011.3.24 読売新聞 「巨人、開幕は宇部で…4月は東京ドーム開催せず」
ライオンズも札幌ドームのファイターズ戦をビジターからホームに変更して開幕戦を行うことが報道されています。
2011.3.24 共同通信 「西武ドームでの開催見送り 4月中は計画停電考慮」
今回のバタバタは、普通の企業であれば社長の交代問題に発展しそうなほどの問題と思います。
そのため、今後セントラル・リーグや日本野球機構(NPB)のガバナンスが問われることになるでしょう。
個人的には、節電はもちろんですけど、まだまだ余震が続く中で、球場に多くの人を集めること自体が危険だと思っていました。
にもかかわらず、セントラル・リーグは例によって「読売の横暴」で強引に開幕しようとしているといった雰囲気でしたね。
「ホントかな

「ジャイアンツだけ(?)が強行したがっている」なんて、ワタクシが見る限り具体的なコメントはほとんど報道されていません。
いずれもスポーツ新聞の憶測記事ばかりです。
なので、今日のblogは、 ホントは実務面の事情であんまり日程をいじりたくなかったのでは?
ということを門外漢がわかる範囲で推理してみたいと思います。
事情のひとつは球場の問題です。
パシフィック・リーグでは、札幌ドーム以外はすべて球団が管理(=日程をジブンで調整できる)しています。
それに比べてセントラルは、球団管理の球場は3つだけ(ナゴヤ・ドーム、甲子園、マツダスタジアム)。
今回問題になった東京ドーム、神宮、横浜スタジアムは、すべて借り物

おおざっぱにいえば、ジャイアンツでも、草野球チームが東京ドームを借りるのと大差ない立場でしかないワケです。
ま、もちろん東京ドームにとってジャイアンツは大のお得意様ですから、最大限の配慮はするでしょうけど。
契約内容は明らかになっていませんけど、普通に考えるとキャンセル料も発生するのではないでしょうか。
神宮球場などは、球場の優先使用権第1位は東京六大学、第2位は東都大学リーグで、スワローズは基本的に両リーグの日程の空いている時間にしかゲームを組むことができません。
大学野球はプロ野球の日程変更には協力しない方針らしいし(>_<)
2011.3.24 毎日新聞 「大学野球 プロ・ナイター自粛、神宮日中使用「変えぬ」」
スワローズは神宮ではデーゲームもできない

しかたがないので、今までもたまにホーム・ゲームを開催していた千葉でやることの検討を始めているのだと思います。
もうひとつは日程編成の公平さが損なわれることだと思います。
公式戦の日程って予想以上に早く決まります。
2010年シーズンの場合だと、その前の年の11月にはもう決まっていました。
2010.11.12 ウィキニュース 「2010年プロ野球のセ・リーグと交流戦日程決定 沖縄県で35年ぶりの公式戦」
公式戦の日程が決まらないと、シーズンシートの販売がやりにくいので、できるだけ早く決めて、営業にかける期間を長くとりたいと思うのは当然です。
それに、日程の調整にはとてもたくさんの考慮ポイントがあります。
日程の決め方についてはNPBのサイトにこんな記事がありました。
2001.2.23 NPB 「ご隠居さんの野球問答 開幕戦の組み合わせ」
公式戦日程は連盟が作成した日程原案を6球団の営業担当者が出席する「日程編成会議」でたたいて成案とし、理事会の承認を経て発表されるんだが、日程原案作成の際には条件が山ほどあって、多くの人が思っているほど楽じゃない。
日程は6球団が相手(5)球団とホームとビジターで1回ずつ対戦(基本は3連戦)する5週間を1クール(course のフランス語読み)とし、こいつを5回繰り返すことで各球団140試合の日程を組み上げる訳だが、そのための条件が大変なんだ。
まず各本拠地球場の使用不可の日があるんだ。
甲子園球場の春、夏の高校野球が代表的な例だが、この期間は阪神のホームゲームを甲子園で組むことはできない。
それに各球団が希望する地方試合の期日・球場・対戦カードは予め決まっており、また多くの入場者が望める週末のゲームを各球団が欲するから、各クール内のチームの週末主催数がばらつかないように揃え、チームの移動に配慮し、同じ対戦カードが短い期間で繰り返されないように…、と様々な配慮をして6球団にとって最もバランスのいい日程原案を連盟は作成しなきゃいけない。
東京でできない分地方でやろうとしても、そうカンタンではありません。
フランチャイズでのゲームと違って、地方主催ゲームの場合は興行主が必要となります。
それに遠征費用もかかってしまいます。
それに、仮にジャイアンツが4月のホーム・ゲームをシーズン終盤に移すとなると、その分タイガースやドラゴンズは優勝争いの真っ最中にずーっと遠征ばっかりということになってしまいます。
観客動員もシーズン終盤に増加する傾向がありますから、そういった点でもむやみにホーム・ゲームを後ろに持っていくこともしづらいということになります。
どうでしょう。
日程をいじくるということは、とてもタイヘンなことだということはおわかりいただけたでしょうか。
プロ野球チームも企業です。
黒字球団が多いセントラル・リーグでも、収益志向が強くなってきています。
二転三転した今回のバタバタは、そうした収益面・営業面からのニーズに引きずられた のではないでしょうか。
実務面の事情を考慮しすぎて、ファンや世論のほうを見ていなかったために開幕を延期したくなかったのでしょう。
してみると、セントラル・リーグはファンのことを見ないで内向きになってしまっていて、あげくに経営層のガバナンスも効いていない ということになります。
セントラル・リーグの病巣は意外と深いのかもしれませんね(-_-;)
今回のことで、日本でも、ドーム球場じゃなくて、

ついでに天然芝の球場が増えればもっとよいけど。