こんな言葉で叱られたい (文春新書)/清武 英利

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Amazonに書かれているキャッチコピーをコピペ。
巨人軍再建の陰に「言葉の力」あり。球団代表だから書けた、原監督、コーチ陣、ベテラン選手たちの「叱る技術」。
清武代表はこんなヒト。

1950年宮崎県生まれ。
立命館大学経済学部卒業後、読売新聞社に入社。
社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。
中部本社(現・中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長などを経て、2004年8月より、読売巨人軍球団代表兼編成本部長。
球団代表って、シーズン中は全ゲームに帯同します。
ゲームが終わった後にダッグアウトの出口のところで控えめに選手や監督と握手しているシーンを何度か目にしたことがあります。
シーズンオフにはドラフト会議での指名選手のチョイスやトレード、FA、契約更改までを担当する、メジャーリーグでいうGM(ゼネラル・マネージャー)の役割を果たしているヒトです。
彼は、球団の中でチームを横から見ながら、選手たちのふるまいや言葉を記者的目線で1冊の本にまとめています。
彼の本は前にも面白く読んだ記憶が残っていましたので、この本もキタイして読みました。
巨人軍は非情か/清武 英利

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前に読んだ本です。これもかなりオススメの本です。
キタイどおり野球好き、ジャイアンツ好きのワタクシにとって、とっても面白い本でした。
プロ野球選手は東大に入るよりも難しい、いわばエリートの集まりです。
彼は、そんな一流選手たちが、涙を流すシーンに出くわして、違和感を感じます。
選手たちの単純さが理解できなかったといいます。
彼は記者ですが、サラリーマンでもあります。
サラリーマンって、仕事のために涙を流すなんてことはめった(というかほとんど)ありません。
ワタクシは以前から、
「仕事で涙を流せたら幸せだよなー」
ってプロジェクトX系のTV番組とか見ながら、ちょっとうらやましく思っていました。
だから清武代表もプロ野球の世界に入って、同じような違和感を覚えたのでしょう。
そこで彼は気づきます。原文をコピペ。
優れた野球人に備わる「叱る力」に気が付いたのは、巨人がどん底状態に陥り、私自身もこの世界で生き抜く覚悟を固めたころだったような気がする。
ノンロジカル(直観的)だが、長く厳しい体験と叱る技術に裏打ちされた監督やコーチの話し言葉が、野球の天才たちを泣かせるのだと思い至った。
この本では、ジャイアンツをはじめとする球界の監督やコーチ、選手たちがたくさん登場します。
高橋由伸
武上四郎
原辰徳
川上哲治
阿部慎之助
豊田清
江藤智
松本哲也...。
どんな練習をしてきたか、とか、野球との接し方とか、が詳しく書かれて言います。
読んでいて、これはただの野球の本じゃなく、仕事に対するスタンスとかにも参考になるなと思わせてくれる本でした。
取り上げられているエピソードからふたつだけご紹介。
ジャイアンツ二軍監督岡崎郁サン。
今年からは一軍のヘッドコーチになりました。
2009年7月のイースタンリーグでジャイアンツはスワローズに1-25で大敗します。
ここからは原文コピペ。
球界では、しばしば、こんな言葉は思いつかないと思うシーンにぶつかる。
(中略)
試合後、屈辱で意気消沈する選手をベンチに座らせた。
短く、こう叱責した。
「今日の負けにどう対処するか。方法はふたつある。
もう野球をやめてしまうか。練習して力をつけるか。それしかない。」
(中略)
そんなときに怒るだけでは骨身に沁みない。
そして、プロフェッショナルには逃げ場がないことを、修羅場をくぐり抜けた野球人はこんなにわかりやすい言葉で叱りつけることができる。
あなたの学校や会社、家庭ではどうだろう。
言葉は足りていますか?
原監督にまつわるエピソードも満載です。
これを読んで、原監督の原語能力の高さにはびっくりしました。
WBC監督も務めて、実績はもう一流ですけど、さすがにあれだけの実績を残すヒトだなと実感した次第です。
それに見逃せないのは清武代表の高校の後輩でもある木村拓也サンとのエピソード。
上の写真は木村サンがカープからトレードで入団したときのものです。
ゲーム前の練習中にくも膜下出血で倒れて、そのまま亡くなった木村サンへの彼の思いを読みながら、不覚にも泣いてしまいました。
雑誌の連載コラムをまとめた本ですから、あっと言う間に読むことができます。
野球ファンじゃなくてオススメの1冊です。