意思がはっきりしない雨降り模様だった5月11日の昼下がり。


毎月恒例、

今月の銀座『日本歳時記 壬生 』のお時間でした。


私にとって、

日本を学ぶ学校です。


玄関先の掛け軸には、


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「すかる」と書かれてましたが、

「すかる」とは、

「しゃれこうべ(頭蓋骨)」のことです。


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お手洗いには、

花菖蒲、


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お部屋には、

葉菖蒲が飾られてます。


「今の季節は、ごちゃごちゃした色の花ではなく、

緑色の菖蒲だけを鑑賞していれば、

心の病もなくなるのよ」(By女将さん)


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『壬生』唯一の飲みものである日本酒が入っていたのは、

水さしに使われる「水注」です。


取っ手が長く、

水を一本の柱のように注ぐことができるのが特徴です。


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お部屋の隅には、

木で造られた空豆の置き物がありましたが、

触っておくとご利益があるとのことで、

ムツゴロウさんが動物を「よーしよしよし」と撫でる位、

触りまくりました。


何で「空豆の置き物」があるんだろうと思っていたら、

今月のお料理には、

天豆(空豆)が登場するからとのことです。


でもって、


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今月のお題は、

『豆とまめがら』でした。


なんのこっちゃと思えば、

掛け軸に描かれていた「吉田兼好」の「徒然草」(NO69)に、


“豆を煮るに豆殻をもってす”


という台詞があるからだそうです。


お部屋に掛けてあった「吉田兼好」の掛け軸を写真に撮りそびれましたが、

その頭は、

まさに「すかる(頭蓋骨)」です。


「人間、生きてる内は、色んな格好したり、おしゃれしたりするけど、

結局最後は、皆同じ姿(頭蓋骨)になるんだよ」(By女将さん)


相変わらず、

ずしっとくるお言葉ですが、

これでようやく玄関先の「すかる」の意図することが分かりました。


では、

いい加減、お料理へと移ります。


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先、蘭の花


甘酢で味付けされた「春蘭」の熱々お寿司です。


春蘭がまさか食べられるとは思いもよらなかったので、

驚き一入でしたが、

甘酢と酢飯との相性、

申し分ございません。


「春蘭を食べると、きれいになるわよ。これ、一輪で1000円もするんだからね」(By女将さん)


見た目も美しく、

味わいも美しく、

美しくもなれるなんて、

最高ですよね。


すると、

女将さんから、


「まりちゃん、左手出して」(なぜか『壬生』では、私の名前は「まり」です)

と言われたので、


左手を出すと、


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はい、指輪になりました。


「昔はこうやって、春蘭を指輪にして遊んだのよ。 まりちゃんの婚約指輪ね」(By女将さん)


「わー、きれいきれい~。婚約指輪だぁ」と喜んだのも束の間、


生憎、

婚約相手がおりませんでした。


てぃらりーん(BGM)


気を取り直して、

風雅の趣ある日本の皐月ご飯を食べることに致します。

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椀、○


「杜若」のお椀です。


「杜若」といえば、

在原業平が詠んだ歌がありますね。


ら衣

つつなれにし

ましあれば

るばる来ぬる

びをしぞ思ふ


こちらは、

頭文字をとっての歌ですが、


そういえば、

私にも、


そのやままきえです


がありました。


なんの風情もへったくれもないですが、

よろしければ、

ご参考までにどうぞです。


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蓋を開けると、

蓋の裏にも「杜若」柄です。


茹でた小豆をさらした時に出る色ですね。


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お椀の中には、

今しか食べられない「琵琶湖の天然鮎(炙り)」が2匹いました。


香ばしさとほろ苦さが何とも言えません。


鮎の下は、

ことことおだしで炊かれた「ずいき」です。


添えてある青柚子の皮も頂きます。

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向、相女 とり貝


このとり貝を食べたら、

いかに今までヘンテコとり貝を食べていたのかが分かります。


今回は、

豆がテーマでしたから、

胡瓜や大根のつまの代わりに、

絹さやの千切りが添えてあります。


しかし、

相女はどこにいるのでしょう。


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氷の下にいました。


さぞかし寒かったことでしょう。


ここで、

今回ご一緒だった『壬生』歴30年の奥様が、

いつも常備なさっているという「ういろう」とやらを一粒お恵み下さいました。


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まる

この写真の中央にいる白っぽくて丸っこいのが、

小田原でしか作られないという「ういろう」です。


仁丹そっくりです。


昔は、この「ういろう」に助けられた関東人さんが多いんですってね。


齧ると、

「良薬は口に苦し」

でした。


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揚、白キス


ぷっくりふっくらのキスの天ぷらは、

筒揚げにされているので、

中骨ごと頂きます。


一緒に、

今月でおしまいの「たらの芽の天ぷら」も、

自然界の食べるお薬です。


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煮、天まめ


ジャックと豆の木の「天まで届け」といわんばかりに、

独活の千切りを雲に見立てて、

空豆が天に伸びてます。


空豆は、

鞘から取り出した空豆をフライパンで焼いてありました。


茹でるよりフライパンで焼いた方が、

はるかに旨みもホクホク感も残るからだそうです。


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空豆の下には、

おだしで炊かれた独活がいました。


2種類の独活(生と煮)の食感と味わいも楽しめる逸品です。


ここで、


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鯉が龍になった永楽の器が出されましたが、


今度は、

女将さんが、

大きな龍の模様の器を持って、

ご登場です。


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ご立派な器の中にいたのは、


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大振りの「本カマス」の焼き物でした。


これを女将さんが一人ずつ取り分けて下さいます。


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「水カマス」とは違って、

身はすこぶるしっとりふっくらです。


幽庵焼きになってました。


「お魚を食べたら、お口をさっぱりしましょ」ってことで、

お次に、


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パッションフルーツが運ばれてきましたが、


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中は、

卵白と寒天で作られた「淡雪寒」になってました。


「パッションフルーツは、自律神経を整えてくれる働きがあるから、

まぁ、何も問題ないだろうけど、まりちゃんもしっかり食べなさいよ。

特に女の人にはいい果物だからね」(By女将さん)


「はい、身も心も正常値でいるために、しかと頂きます」(Byまり)


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パッションフルーツの種も全て取り除かれてます。


手間がかかるのなんのっての渾身作ですね。


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お菓子、氷色


「本カマス」同様、

女将さんが、

大器を抱えてらっしゃいました。


湯気がもくもくと立ち上る乳白色のカステラ風なものです。


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百合根・めりけんこ(薄力粉)・卵白でできた「百合根の蒸しカステラ」でした。


ふんわり食感が、

雲に乗ったような(乗ったことないですが)夢気分にさせてくれます。


最後に、


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お抹茶を頂きながら、

女将さんのお言葉を耳から頂きます。


「やっぱり人間は食べることが一番。 そして、生まれ育った土地のものを愛して食べるんだよ」

と。


というわけで、


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帰り際にお土産として頂いた「相女のお造り」と「独活」に、

私の生まれ育った島根で作られている


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森田醤油店 』さんの「果汁だけのぽん酢」をかけて頂きました。


他にも、

森田さんには、


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こんなデキタ良い子達もいます。 


これからも、

“すかる”になるまで、

故郷と、今を過ごす地で生まれた元気あるものを、

心から感謝して、

おいしく食べ続けようと思います。


自分の食べるものが、

自分の内面と外面、

そして、

自分の遺伝子をつくり上げます。