札幌で、最高級ウニを一年分食べた 数十時間後、
東京でまず口にした食べものは、
なんとウニでした。
「ウニと湯葉のあん 柚子窯」です。
しかし、
このウニも奥ゆかしい格別なおいしさです。
目の前に出てきた時の姿は、
こんな感じです。
その前に、
「香煎茶」という青紫蘇が浮かんださ湯を頂いてました。
そして、
お料理の前に、
私が目にしたものが、
この大きなお皿です。
なんとなんと、
安土桃山時代の備前焼きとのこと。
900年前位のものってことです。
900年前だなんて、
想像だにできません。
青紫蘇の薫るさ湯を飲みつつ、
ご主人のお話を伺ったり、
こんな重厚な器を見せて頂き、
これから始まるお料理に、
より一層の期待が膨らみます。
という期待のもとに始まったお料理のトップバッターが、
「ウニと湯葉のあん 柚子窯」でした。
この柚子窯に続くお料理は、
まずおだしを啜ったのですが、
おだしを一口含んで、
絶句したお店は、
『壬生 』以来かもしれません。
麗しい利尻昆布の旨みが喉の奥まで伝わっていきます。
このおだし、一大事です。
おだしもさることながら、
松葉蟹の足1本分が詰まったしんじょうも、
おだしの邪魔をすることなく、
蟹らしさを発揮してます。
焼かれたお餅の香ばしさも、
妙味を醸し出してくれてます。
万歳三唱、拍手喝采です。
かわはぎは、かわはぎの肝醤油で頂きます。
赤貝の下には、
肝とひもがいました。
さらに、
貝殻形器の裏を見せて頂くと、
ここにも貝がいました。
これまた年代を伺うと、
ウン百年前のものとのこと。
驚き桃の木山椒の木です。
銀杏の葉と紅白の紐がまるでお正月です。
中を出すと、、、
笹の葉に包まれた穴子寿司が登場です。
穴子の蒸し方といい炊き方といい甘辛加減といい、
もち米のもっちり感といい甘酸味といい、
芝漬けのアクセントといい、
一口で消えたのが名残惜しいくらいです。
「柿と青菜の白和え」
この器、
なななななんと、
1000千年前の瓦だそうです。
どちらもほっこりする温かみがあります。
松の深緑色と、伊勢海老の朱色で、
またまた一気にお正月がきたかのようです。
![園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00398.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20091129/00/makiegg/4b/3d/j/t02200293_0480064010322765003.jpg?caw=800)
海老味噌も合わせて、
自家製ポン酢につけて頂きます。
蕎麦はご主人が打たれたとのことですが、
コシありありです。
酢橘のきいたおだしも飲み干します。
滋賀県の安孫子産長芋のとろろは、
ものすごい粘りけです。
やはりおだしも一滴残らず頂きます。
「炊きたてご飯」
「揚げ胡麻豆腐の赤だし」
「お漬け物盛り合わせ」
ご飯には、
「いくらの醤油漬け」
「自家製からすみ」
「もみのり」をお好みでトッピングして頂きます。
贅沢の極みです。
黒文字と利休箸を合わせてで頂きます。
あんこは、
丹波の小豆で作られているそうです。
口に入れた瞬間、
熱々なこしあんとプチプチ粟を後押しするような
鼻腔を抜けるお箸の竹の豊潤な香りも、
おいしさのナイスアシストです。
◎
おしまいに、
お抹茶を頂き、
ほろ苦い感嘆のため息がこぼれます。
時間がなかったため、
僅か1時間足らずで、
全料理を出して頂いたのですが、
卓越した真の日本料理と高貴すぎる器に、
終始感心しっぱなしの私でした。
特におだしが舌に届いた時は、
言葉も出ないほどの感動の嵐が沸き起こりましたが、
こちらのお店は、
言葉も出ないどころか、
漢字で「窠」が出てこない『青草窠 』というお名前でした。