毎月恒例の『壬生』の時間がやってまいりました。
他では学ぶことができない
私にとって、
文化遺産級の貴重なお勉強の場です。
玄関先に掲げられる掛け軸には、
「欧州シルクロード日本」と書かれています。
そして、
お部屋に入ると、
ほうき草がお出迎えです。
桃のとっくりに入った「菊姫」を飲んで、
お料理スタートです。
今月のテーマは、
「後鳥羽上皇」でした。
承久3年に、
島根県隠岐の島(海士町)に流された後鳥羽上皇です。
島根といえば、
私の愛すべき故郷です。
そして、
トップバッターのお料理にも、
「隠岐米 想い」と題し、
「隠岐の黒鮑と隠岐米」の逸品が運ばれてきました。
蒸し鮑ののった器の下には、
つくね芋のとろろがかかった隠岐米のとろろご飯がいました。
このとろろにも、
刻んだこりこりの鮑が入ってます。
蒸し鮑をこのとろろご飯にのせて頂きます。
磯の香りが口いっぱいに充満します。
鮑(特に肝)はとても目にいいとのこと。
私の垂れ目も上がることを祈ります。
「椀 菊 一文字」
どうやら、後鳥羽上皇は、
菊の花をとても愛してらっしゃったようです。
おだしで炊かれた日本南瓜を
葛で包んでさっと蒸したものがお椀になってます。
この調理技術、
真似したくてもなかなかできるものじゃありません。
一気に体が熱ったところで、
「向 かれい・白いか・鱧」が、
体の熱りをとってくれます。
山葵の土台となっていたのは、
胡瓜の種の部分です。
「煮 冬瓜 座禅茄子 きぬかつぎ」
座禅茄子のヘタの部分を手でぴょっと抜くと、
いとも簡単に取れ、
長い筋がお目見えです。
ぴょっと抜いたがくの部分は、
抗がん作用もあるとのことです。
熱々なので、
猫舌の私は、
口の中が大火事状態になってます。
本物の茄子の後は、
茄子の器の登場です。
蓋を開けると、
「揚 ぐじ マスカット」
さくさくの衣に包まれたぐじと、
岡山のマスカットの天ぷらです。
これまたたまらなく熱いのですが、
生のマスカットを食べるより、
天ぷらになったマスカットの方が、
驚くほど鮮明な味わいを感じました。
驚異のマスカット天です。
私の目の前にお座りになられていたのは、
日本語が殆ど分からないというスペイン人の某シェフでしたが、
「おー、マスカット…。」を連呼なさってました。
「止 もずく 銀杏」
細かくカットされた能登のもずくが、
おだしと一緒になり、
その上に、
大柄のずいき(白ダツ)と炒った銀杏がのります。
こんなに図太いずいきは初めてお目にかかりました。
「果 黄桃」
まるでりんごみたいです。
そのまま皮ごと頂きます。
桃界における頂点の甘みです。
「お菓子 お月見」
今月はお月見のシーズンということで、
里芋のお菓子です。
一見、ただの里芋ですが、
ではなくて、
蒸した里芋を練って、
甘みを加え、
再び里芋の形に調えて作り上げられたものです。
スイートポテトの里芋版でしょうか。
ねっとり感がたまりません。
最後にお抹茶を頂き、
今月の『壬生』教室もおしまいです。
女将さんのお着物の帯は、
飛び魚でした。
やはり島根を代表するお魚です。
今回もですが、
『壬生』さんに来るたび、
毎度毎度、
飛び魚のように
飛びあがるほどの感動を五感で感じます。
帰り際には、
女将さんから、
「ぐじのお頭」と、
「白いか」と「鰈」の端っこを頂いてしまいました。
(これらが後に変身した姿はこちらから→「枝豆百珍
」)
その代わり(?)といってはなんですが、
すっかりお月謝を払い忘れて帰ってました。
飛び魚のように、
飛んでお支払いに伺わねばです。