肩は体の一番外側にある関節です。その位置から考えても、とても動きやすく、自由度が高い関節です。自由度が高いということは関節の可動域が大きく、関節面でずれやすく、外れ(脱臼)やすい関節なのです。
その肩関節を主としてバットを振る、ゴルフクラブを振る、ボールを投げるといったパフォーマンスを繰り返すことによって、肩関節にすごい力の負担や技巧的な動きを求めることになります。
そこで、振るスポーツをされているスポーツ選手や愛好家の方は、肩関節のメカニズムを知っていただき、振るストレスに打ち勝つ筋肉の総合力を手にしていただきたいと思います。
スイング中、あるいはボールを投げた後に肩が「ウッ、回りにくいな」「あれ?張っているな」「ちょっと重たいな」と感じた経験はありませんか?
そんな症状は肩の周囲の筋肉が悲鳴を上げ、何かトラブルを起こしかけているシグナルと考えてください。
肩関節を守り、安定させる筋肉は、インナーマッスルと言われる小さな筋群が肩を被うように付着し、骨と上腕骨をつないでいます。このインナーマッスルの表層にアウターマッスルがあり、インナーマッスルの役割をサポートしています。
肩を支点として腕を動かすには、背中にある肩甲骨の安定が必要です。肩甲骨の安定とは、胸郭面にしっかり添い、肩甲骨が内転(背骨に近づく)や外転(背骨から離れる)運動しなければなりません。
この肩甲骨の内転や外転運動を支える筋肉が僧帽筋中部線維とその深層にあるインナーマッスルの菱形筋などです。
昨日は、腕振り動作に対して腕が飛ばないようにブレーキをかけるアウターマッスルとインナーマッスルのお話をし、その中でも最も大きなパワーを出している広背筋のストレッチを紹介しました。
その上方にあって、胸椎と肩甲骨をつないでいる筋群、アウターマッスルの僧帽筋とインナーマッスルの菱形筋のストレッチは、昨日紹介した広背筋のストレッチで同時に伸ばすことができます。
今日は、振り切った腕を減速させ、肩甲骨を上腕骨に安定させる重要な筋肉である三角筋後部線維とインナーマッスルの棘下筋のストレッチを紹介します。
三角筋の図
棘下筋の図
①三角筋と棘下筋のストレッチ
体勢は立位でも座位でも可。背筋を伸ばし、ストレッチする側の片腕を伸ばし、畝の前に導く。片手の背面を上腕部後面に置き、上体は固定し、胸の方に息を吐きながらゆっくり引き寄せる。3~5回ほど行う。
このストレッチで肩後方の三角筋後部線維と棘下筋、そして肩甲骨内転運動に働く僧帽筋中部線維と菱形筋も同時に伸ばすことができます。
これらの筋肉が柔軟になれば、フォローがスムーズになり、筋疲労も軽減。棘下筋の腱板炎の予防にもつながります。
また、バッティングやゴルフスイングでは、インパクトからフォローにかけてギアを後方から押しこむ力が発揮しやすくなり、力強く振り抜くことができます。そして、肩後方の筋肉が柔軟になれば、インパクトのパワーがアップする訳です。
詳しくは、私の著書『野球選手の故障予防と投打のバイオメカニクス 』をご覧ください。
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