
六合目を過ぎるとまわりが晴れてきて、その時にはもう、私は 「雲の上の人。」 になっていました。
そして、このあたりから登山道が混みはじめました。
周りには私たち以外の個人パーティーはもちろん、
異なる人種異なる言語の人達、それから、日本各地から来ている登山ツアーもたくさんいました。
登山ツアーのガイドさんって、この薄い空気の中でもすンごく声が大きいの。
姿は見えないんだけど、どこからか定期的に聞こえてくる、
「ハイ!じゃあ、みなさん、深呼吸をしましょーう!せぇ~のッ!」
に合わせて、私を含め周りにいる人たちみんなが歩みを止めて、「スー・・・ ハー・・・」
2~3回深呼吸すると、またどこからか聞こえてくる「ハイ!ありがとうございましたー!」
で、みんな歩き出す・・・という状況が続きました。(笑)
7合目が見えてきたころには大渋滞。
3歩進んでは止まり、3歩進んでは止まり・・・の牛歩状態でした。
近くにいた登山ガイドが言っていたけれど、混雑することはあってもこんなに混むことはないそうです。

七合目最初の山小屋、“ 花小屋 ” の看板犬。
「ゴン」 だか 「ゴロー」 だか、そんな名前だったと思う。

やっと七合目に到着。
標高2700mです。

この写真では分かりにくいのですが、高く湧き上がる雲の中に、虹を発見!
イイことある!・・・はず、と自分に言い聞かせる。

日が暮れてきました。
このあたりでヘッドライトを装着。
その時のBGMは、
川口浩探検隊!(これが分かるアナタは若くない人ね。笑)♪ 川口浩がァ 洞くつに入るゥ~
♪ カメラマンとォ 照明さんのォ 後に入るゥ~
「ゆけ!ゆけ!川口浩!!」 song by 嘉門達夫
疲労困憊しているのに、こういう考えは浮かぶんだよなー。
それから、防寒のためにレインウェアを着ました。
天気は良くても山は日没とともに気温がグングン下がるのです。
登山前、ネットでどのページを見ても、
「雨具だけはしっかりしたものを絶対に持っていくこと。」
と書かれていて、しかも、あるページには、
「富士山は1度きりで、その後山になんか登らないよ、という人は、値札はつけたままにしておくのがいいです。
もし、富士山で雨具を広げることがなかったら、そのまま未使用ということでオークションにでも流せばいい。」
と書かれているのを見て、その通りにした私。
胸についた札をピラピラさせながら登りました。
未使用じゃなくなったんだから取ればいいのにね。
ちょうどそのころから、眼下のあちこちで花火大会が始まりました。
そう。
富士山は日本一高い山。
私が登っている斜面からは、静岡・山梨をはじめ関東地方すべてを見渡せるわけで、
オマケに8月の第一土曜日だったから、一晩で10ヶ所以上の花火を同時に見ることができたのです!
しかも、大玉花火がうんと下のほうで、ポワン・・・ポワン・・・て、線香花火くらいに見える!
すごく不思議で、でも、これこそ一生に一度の体験だと思いました。
写真に撮れなかったのが残念です。
なぜなら、七合目から八合目の間は急斜面の岩場。
そしてすでに完全に日が暮れてあたりは真っ暗。
自分のヘッドライトだけが頼りなので、私のように小柄な登山初心者だと、両手を使わないと登れないくらいです。
「3000メートル級の山で素人でも登山できるのは、世界中でも富士山くらいだ。」
嘘ぢゃー訂正しろー
誰が言うたんぢゃー
地獄の苦しみはまだまだ続きます・・・。