図書館本。
コロナ禍にあえぐ今を狙って読んだわけではないが、裳瘡(天然痘)パンデミックの物語。
藤原四兄弟はじめ数々の貴族の命を奪い、朝廷政治がパニックになった実話が元。
ただし歴史上の人物はあまり出てこず、2人の医師が話の軸となる。
専門家である著者らしく描写が細やかで、文体も非常に読みやすい。
もっとも著者曰く「資料が少ないので8割が想像」とのこと。
完璧超人は出てこないので、パンデミックに向き合う人々の姿は基本的に等身大である。
先日BSで「大仏開眼」を再放送していたが、本書も十分ドラマ化、映画化が可能だろう。
たいへん面白かった。
天然痘といえば、人類が唯一滅ぼすことに成功したウィルス。
新型コロナが2番目になることを祈る。
…が、天然痘撲滅といっても兵器としての保持はたぶんどっかでされているんだろうなぁ。