黒木亮『冬の喝采』 | たまには跳ばずに観るFOOTBALL

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秋田出身の埼玉住み。
読んだ本の感想やランニングの記録、競馬観戦、国内散策や
日々の出来事などを、とりとめもなくチラシの裏にウダウダ
と書いています。
ブログタイトルは遠い昔よくサッカーを飛び跳ねながら
観ていた名残り。

野党第一党の副代表が漢字テストなんかで首相を攻めますか、そうですか。

で、政策議論は? いよいよヤバい国になってきましたね(はぁと)。



冬の喝采/黒木 亮
¥2,100
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久々のハードカバー。俺が買おうと思ったときは重版中だったのか品切れで、ネット経由でやっと入手。

600頁以上あるので、通勤には重いこと重いことw 読むのにも2週間以上かかった。


簡単に言えば、作者の自伝。瀬古と同じ時代を過ごした早大競走部のランナーの物語。

版元からの紹介にあるとおり、箱根で走ったことは「30年の時を超えた宿命のなせる業だった」。

まぁ、この点が「物語」としては一番の肝なんでしょう。確かにいい締め方でした。


コピーには一応「自伝長編小説」とあるけど、ほとんどノンフィクションなんじゃないか?

瀬古をはじめ、新宅、大塚正美、中村孝生、金井豊など実名バンバン出ます。

確かに瀬古って選手としては凄かった。今じゃ解説のたびに大漁の「釣りの王様」だけどな。


大学の試験問題(not入試)にまで詳細な記述があるけど、これはさすがに創作か?

こんなもん覚えてるわけないし、日記だって普通つけないよなぁ。


たぶん駅伝や長距離ファンじゃないと、読んでも全然面白くないだろう。

読み物として見れば、『風が強く吹いている 』に比較するとまったく及ばないと思う。


著者は自分のことを「ケガで挫折」「瀬古にはなれない一般ランナー」のように表現。でも…

高校でいろんな大会で入賞したり、北海道記録保持者だったり、箱根に2回も出られたり、

早慶5~6学部全部現役で合格したり、一流銀行マンになって海外赴任したりしてる。

充分だろ。俺みたいな器の小さい凡人は「ふん、自慢話か」ととらえますw 

これで共感得られるのか、心配だわ。


個人的には、老将・中村清の人物像が一番面白かった。

土を食ったり、怒って床をドンと踏んで骨折したなんてのは有名だが、それ以外にも満載

区間配置で大失敗したり、選手を潰しにきたり、全然名将には見えないあたりが逆にいい。


かなりの旧タイプ指導者だが、ガマン勝負になればこういう教えの下にいた選手が強いはず。

でなきゃ、最後のスプリント勝負で瀬古がタンザニア選手(イカンガー)に勝つのは無理だろ。


この辺の精神論的な部分は、今の日本人アスリートに最も欠けてしまった点だと思う。

キョクシン見ても感じるが、近代化トレーニングは諸刃の剣じゃないかなぁ…

例えば、給水なんかなかった時代よりも、今の方が箱根の棄権が多いのは不思議です。