ソニーは本気で不動産流通業界を改革しようとしている!(完)
こんにちは。
前回は「不動産力を磨く」の書評にて、
不動産業界の改革を消費者側が起こすために必要な、
消費者側が知るべきリテラシーについて書きました。
今回の書評は逆に、不動産仲介業者が行う改革にフォーカスした、
本書を読破することでソニーの本気度とそのビジネスモデルについて、
自分なりの考察してみました。
本書から得られたこととして、
ソニー不動産が従来の不動産仲介・管理会社とは異なる、
未開拓な不動産市場(ブランドは高く、コストは低い)を開拓したこと。
そしてそれを実現するためにITを駆使して売却・購入仲介、
プロパティマネジメント事業を統合した情報ストックシステムを構築したこと。
その結果、業務仕分けと効率化で顧客満足に直結する事業に特化し、
手間が「掛かった分だけ」手数料を請求するビジネスモデルを開発。
これがソニー不動産のコアバリューとなっていることが理解できた。
このモデルは今後ソニー銀行やソニー生命などの他の事業との連携も考えられ、
ソニーの金融業の将来性が高まるものと期待されるとともに、
不動産市場の特に中古住宅流通革命の代表的な成功モデルになるだろう。
これが不動産業界全体へ波及することで国が推進する制度・インフラ改革が、
促進されることを切に願う。
本書の概説は書籍の目次以降をご覧頂きたいと思います。
今回もまた長くなりますのでお時間が許されれば、
最後までお付き合いください。
書籍の目次
- プロローグ
- 事業が始まった瞬間
- なぜいま「不動産」なのか
- なにが「新しさ」なのか
- なぜ「人が集まる」のか
- なぜ「高く」売れるのか
- なぜ「事業」が動き出したのか
- インタビュー① 西山和良氏 「感動価値」を提供することこそ事業の意味
- インタビュー② 十時裕樹氏 ソニー不動産はソニーのDNAそのもの
- エピローグ
読書後の感想
- プロローグ
- 事業が始まった瞬間
- なぜいま「不動産」なのか
- 建物の資産価値が20~25年でゼロになる
- 消費者が中古物件の詳細情報を自分で得られない
- 仲介業者が(両手仲介のため)物件情報の囲い込む
- なにが「新しさ」なのか
- "片手仲介"の徹底により利益の公平性を実現
- 規模・期間・築年数ごとの費用割引により手数料を合理化
- エージェントの顧客志向を高めてサービス品質を向上
- なぜ「人が集まる」のか
- なぜ「高く」売れるのか
ソニーといえばエレクトロニクス。
誰もがそのようにイメージするはずの家電メーカーが、
金融商品を取り扱い始めたのは1981年のソニー生命から。
その後にソニー銀行、ソニー損保と気がつけば3社に。
ソニーの話題はAppleやSamsungなどの世界的なメーカーと、
メディアでは常に比較されるほど何かと注目されているが、
その裏で2013年から準備し2014年より不動産事業を立ち上げ、
その4ヶ月後には他者の査定額よりも400万円も高く、
東京中野区の築10年経たマンションの住戸売却を成約し、
いちやく不動産業界で注目を浴びている。
この章では、
ソニーがこれまで築き挙げた金融事業に共通する、
サービスの差別化や独自のビジネスモデルに触れ、
その根幹を成す基本理念が「合理・フェア」であると、
著者は自分が経験したソニー生命の営業モデルを、
回想しつつ語っていた。
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ソニー不動産の創業社長の西山和良氏が、
自らの不動産投資での消費者体験で感じた違和感、
従来の慣習に起因する不動産取引の不透明性を払拭し、
徹底的に顧客利益を追求するビジネスモデルを考案、
ソニー社内で異例のスピード承認を果たすまでを、
回想的にまとめあげた体験談が描かれている。
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ソニー不動産の不動産業界での立ち位置が、
いかなるものかをこの章で説明するために、
不動産取引が抱える仕組み上の課題を、
大きく以下の3つに焦点を当てている。
建物の資産価値が構造上の寿命ではなく、
1998年から2003年で解体された、
住宅の平均築年数(22年)というから、
税制の耐用年数としたこの数値が現実離れしている。
不動産流通機構が仲介業者へ開示している、
レインズと呼ぶ不動産データベースを閲覧できるため、
消費者では知り得ない物件価値情報を握っている。
これが取引を常に主導できる立場(情報の非対称性)を生む。
売り手と買い手のどちらも仲介した場合について、
同一手数料を両方から得られる宅建業法があるため、
他の仲介業者から情報を隠蔽し利益をせしめようとする。
こうした課題が消費者の購買意欲を低下させ、
日本の中古住宅市場の成長と拡大を妨げている。
筆者はこうした日本特有の不動産流通上の課題を、
本章で綴っている。
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前章で挙げられた課題に対して、
「公平・合理・高品質」の3つのキーワードにより、
ソニー不動産は不動産流通革命を起こそうとしている。
それはすべて顧客体験の追求にフォーカスしていると言える。
以下は本章で書かれたキーワードごとの施策を要約した。
これらがソニー不動産を支えるビジネスモデルとなっている。
仲介側が両手仲介によって売却・買取手数料の両取りのために、
消費者同士が仲介業者の都合で取引を迫られることを防ぎ、
結果として消費者最優先の取引の公平性を確保する。
従来は宅建業法で規定の上限額を手数料として請求されていたが、
本来なら取引で発生した業務に応じた金額とするのがあるべき姿とし、
間接業務のルーチン業務と顧客価値創造業務とを区別した上で、
取引内容を決定する各パラメータによって手数料割引を導入し、
手数料の内訳を合理化する。
宅建業法改正の歴史が消費者の満足という視点に立っておらず、
紛争解決のための規定のみであるため不動産業者に優位を下支えし、
敷金・礼金や修繕費を借り手に強要する低いリテラシーの温床になっており、
ソニー不動産は利益最優先の従来の商慣習に切り込み、
自社のエージェントの評価査定基準に利益と同等に顧客満足度を導入し、
顧客へのアンケート結果をその査定に応用する独自の取り組みを採用。
同時に毎夕で集会を行い顧客満足度向上の取り組みをエージェント自ら、
持ち回りで報告するという業務アプローチを採用することで、
エージェントのモチベーションとリテラシー向上を図っている。
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ソニー不動産という新たな会社が設立できた背景として、
西山氏の「不動産流通を革新して日本を良くしたい」という志を支柱に、
不動産市場の変革の機運(宅建士制度や情報ストックシステムなど)と、
ソニーというブランド力により増幅される期待感の相乗効果が、
不動産業界では異質の存在となるソニー不動産に人が集まる魅力を発する。
不動産業界に居て商慣習の中で顧客満足を追求できないと、
半ば諦めかけていた優秀な人材を惹きつけ革新への希望を与えたことで、
立ち上げ時の人材公募では予想に反して1000人規模の応募があったという。
そして何より西山氏を支える風戸氏(不動産仲介透明化フォーラム 元経営者)や、
不動産業界で25年のキャリアと人材育成のスペシャリストである島津氏が、
西山氏の志と熱意に共鳴し執行役員として支えたこと。
これらは全てソニーというブランド力と、
顧客満足度日本一を目指すという明確なビジョンによるものと、
筆者はこの章で結んでいる。
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ソニー不動産のビジネスモデルについて掘り下げて書かれている。
売却仲介・購入仲介・プロパティマネジメント(以下PM)事業が、
ビジネスの柱となっており、売却とPM、購入とPMでの協業も生まれる。
各事業領域でそれぞれ「高く」売れる仕組みに触れており、
他の仲介業者との差別化が垣間見える。
売却・購入仲介事業ではITでの情報武装と割引手数料制で顧客利益最大化を最優先する。
ITを駆使して独自の情報ストックシステムを構築し、
レインズや市場売買情報、リフォームによる再販業者の動向を網羅し、
地図上へ表示することで消費者自身が希望の住環境・価格によって、
物件を自ら選べることで情報の公平性と取引スピードを加速する。
PM事業では管理費の適正化と住環境維持で資産価値最大化を最優先する。
またPM事業は売却物件および顧客の購入物件の維持管理も請負い、
ワンストップで不動産流通サービスを提供していくという。
どの事業もITによって構築するストック情報と取引業務システムにより、
すべての領域を統合した情報網を独自構築することで他者と差別化し、
オペレーションのスピードと質の最大化で関節業務の効率化を徹底し、
顧客満足度に特化した手間(規模・築年数・期間)が掛かった分だけ、
顧客から手数料を頂くという取引の合理化がコアバリューとなる。
このようにサービスの合理・透明化に徹底した顧客満足主義を貫き、
人に感動を与えることを至上命題としてきたソニーというブランドが、
信頼感と期待感として競争上の大きな武器になる。
これはブランドも手数料も高い大手仲介会社とも、
ブランドも手数料も低い中小の仲介会社とも異なる、
ホワイトスペースと呼ぶ未開拓の不動産仲介市場を開拓したことになる。
まさにソニー不動産はブルーオーシャン戦略を地で行くメーカーとなった。
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先の章でも触れたことも踏まえて、
ソニー不動産が異例のスピードで立ち上がった背景をここで纏めている。
それは西山氏が備えていた起業家精神と不動産業界を革新するという志があり、
社内でベンチャー支援機構を創設した(ソニー銀行を設立した)執行役員の十時氏が相談を受け、
十時氏と西山氏から説明を受けた平井CEOがその事業構想にソニーのDNAを見出し、
西山氏が築いた人脈を活用することで成し遂げた結果であること。
そして世間の不動産業界への不満が起爆剤となり、
ソニー不動産が広く認知される後押しとなり、それは紛れもなく、
「顧客第一主義」と「ソニーブランド」が成し遂げたことだと、
納得させられた。
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西山氏によるソニー不動産の立ち上げを決意した背景について、
ソニーのDNAが人を感動させることにあることを、
平井CEO直下の業務改善部署時代に共感し、
自らの不動産取引体験の中でもっていた違和感や不満の解消し、
消費者に寄り添ったサービスによって感動させると確信し、
不動産仲介透明化フォーラムの風戸氏との出会いをきっかけに、
アクションが実現していく過程と当時の想いとともに綴っている。
最後は情熱とプランと覚悟さえあればソニーという看板が使えることが、
ソニーの強みとも答えている。
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西山氏がソニー不動産立ち上げ時に十時氏へ相談を持ちかけた当時、
十時氏も社内ベンチャー育成支援を立ち上げた矢先だったこともあり、
十時氏は西山氏に過去のソニー銀行立ち上げ時の経験を語りつつ、
事業計画書を作成させたことについて、当時の想いを綴っている。
十時氏のソニー銀行立ち上げ当時の苦労や難題についても触れており、
ソニー不動産の立ち上げとは異なる難しさを読み取れる。
最後にハードルを超えることがソニーのDNAで、
それは社員が持つ自己実現への渇望と不安が源泉とも話している。
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過去、ソニーがデジタル事業領域へ経営資源集中を打ち出した際に、
実は出井CEOによりソニー生命の分離が検討されていたことや、
十時氏が立ち上げたソニー銀行も迷走時期があったことが綴られ、
誰がやり遂げるかが不明確で曖昧だったと十時氏は語る。
そしてソニー銀行を立ち上げた十時氏が得たのは全ては人ということ。
ソニーのチャレンジ精神と情熱を持つ起業家志向の人材の育成により、
第2・第3の西山氏が輩出され、ソニーの発展に寄与すると結んでいる。
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| 商品名 | 商品写真 |
|---|---|
| ソニーはなぜ不動産業を始めたのか? |
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