不動産力を消費者が身につけるメリットと市場のあり方
【更新履歴】
2015/06/07 読了し、投稿も完成しました。
2015/06/06 第4章のII、IIIを追記しました。
2015/06/03 第3章と第4章のIを追記しました。
本書とは、不動産投資を検討するに当たって、
現在の不動産市場の課題とこれからの姿を掴むためでした。
読み終えた私個人の総括としては、
金融資産として捉えるならリートを長期運用すること、
賃貸経営事業として捉えるなら実物不動産に人生を賭ける。
こんなところでした。
よくちまたにサラリーマンでも片手に・・・といった、
心地よい安楽なキャッチタイトルの書籍もありますが、
それらがいかに出版サイドの販促に縛られているか、
ということを改めて知ることができました。
詰まる所は地道に金融アナリストの指南書を読み込み理論武装し、
成功例・失敗例がそれぞれ真摯に書かれた書籍で仮説思考を繰り返す。
その結果として自分が資産運用なのか賃貸経営なのか、
それとも節税対策が目的なのかをはっきりさせる必要がある、
ということを学ぶにいたりました。
有意義かつ現実的な書籍で、巻末には5人のアナリストが紹介した、
印象に残った本として15冊がリストアップされています。
こちらも参考になるかと思います。
機会があればまた投稿しようかと思います。
最後に本書のAmazonへのリンクを添付しておりますので、
ご興味をお持ちになりましたら是非手にとってご覧ください。
書籍の目次
- 第1章 手ごわい客がマーケットを変える
- 第2章 不動産力アップで実現する六つの豊かさ
- 第3章 不動産力アップのためのキーワード
- 第4章 不動産力アップのためのQ&A
- 第5章 不動産力アップのための座談会
読書後の感想
- 第1章 手ごわい客がマーケットを変える
- 第2章 不動産力アップで実現する六つの豊かさ
- マイホーム
- リノベーション・リフォーム
- 賃貸、介護施設
- 子育て環境
- ペット飼育環境
- 災害耐性・省(畜)エネ
- 第3章 不動産力アップのためのキーワード
- マスコミやネットの情報を鵜呑みにしない
- 物件や街をできるだけたくさん見る
- 不動産事業者へ突っ込みを入れる
- 第4章 不動産力アップのためのQ&A
- I 住まい編
- II 社会・仕事編
- III 投資編
- 第5章 不動産力アップのための座談会
- 大別して賃貸経営、自宅購入指南、投資運用の3種類
- 投資運用は金融系(投資理論)と不動産系(実体験)に分けられる
- 賃貸経営では適した地域といった実益に適う情報は記載がない
- 不動産系では労力や負債の言及がない(儲けのみで終始)
- 成功・失敗の実体験ネタが仮説ベースで考えられる点で有益
- ただし体験談は玉石混交であり、複数の書籍で補う必要あり
- 金融系を読んで理論を理解した上で不動産系を読むのが吉
- アマゾンなどのレビューで厳しい評価の内容をよく読むこと
1990年代後半から起きてきた不動産のマーケット構造の変化を、
著者は「地殻変動」と称し、人口減、グローバル化、エネルギー問題など、
これまで身の回りで起きた生活環境変化に目を向けることで、
不動産業者のみならず我々消費者(客)も「不動産力」を身につけて、
売り手市場で顧客満足度が存在しない不動産マーケットにおいて、
適正な商品・サービス評価を市場原理に取り込むことによって、
さらに多様な商品やサービスの流通と適正な競争を促し、
不動産マーケットの成長を促したいという著者の想いが綴られている。
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この章では以下6つの豊かさの指標を用いて、
1章で綴った不動産市場の成長分野を細分化し、
それぞれの現状と期待する姿を描いている。
この章の面白さはこれらの豊かさの背景に
バブル期の価値観を引きずり(マイホーム幻想、新築至上主義)、
不動産市場の流動性の固定化を促していること。
そして我々消費者の意識の変化を起こすことで、
過去の価値観を壊して柔軟性を引き出し、
不動産の多様化と流動化に寄与することを解いている点にある。
特にますます賃貸物件の快適性、利便性、安全性が向上し、
新築戸建物件と同等の魅力を備えて垣根がなくなることや、
ペットを飼ったり、災害時や子育てのコミュニティ形成が有利だったり、
介護・見守りサービスの充実などという点においても、
不動産価値の値上がりが期待できない現状における、
住まいの流動性が不動産業界の将来の姿になることを実感しました。
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この3章では不動産業界で環境変化(地殻変動と筆者は呼ぶ)が起き、
現代の経済環境が変化(少子高齢化、地価下落、低所得水準など)した結果、
高度成長期に高らかに謳われた戸建至上の価値観が崩壊してもなお、
新築戸建にすがる行政に不動産業界と我々消費者の姿を描きながら、
現代の消費者において不動産力を身につけるor養うためのキーワードを、
以下3つの観点で説明している。
マスコミやネットで情報を発信している側(情報発信元)は、
大抵の場合に情報提供者の恣意的な意図が織り込まれるため、
提示される情報の見せ方やデータの根拠などに注意を払わないと、
情報提供元に振り回される恐れがあることを解いている。
高度成長期に見られた投資目的の物件探しにおいては、
現物(物件や立地環境)を確認もせずに住宅購入する者がいたり、
それで損失を被ることが多々見受けられた過去の経験から、
住宅購入は物件だけにフォーカスせず周囲の住環境にも目を向け、
公共へのアクセスといった利便性など地形上の価値についても、
消費者側での調査が必要になることを解いている。
突っ込みとは嫌がらせではなく消費者側の純粋な疑問であり、
不動産業者から提示される情報に対して疑問を持ち、
自分たちが提示された物件へ求めることについて率直に、
不動産業者へ投げかけるべきと解いている。
不動産業者の方が知識が豊富であることに遠慮せず、
自らのわがままをぶつけてみようと言っている。
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この節では住まいに関する質問に対して筆者が、
市場に流通する物件の状況を回答している。
質問の数は戸建orマンションや新築or中古or賃貸借、
マンションの構造、間取り、管理、リノベーションに関するもの、
そして複数世帯住居からシェアハウスまでの13個にのぼり、
それぞれ個別に不動産業者への質問例まで記載されており、
現在の住宅市場において現役世代のアクティブな住居環境から、
老年期における終の住処を見つけるためのノウハウが、
丁寧に説明されている。
前半は新築戸建やマンションの購入検討時における注意事項を、
主に取り上げており、単純な経済的損得で選ぶべきではなく、
特に新築戸建は地価下落損失分は暮らしの豊かさへ還元されたと、
柔軟に受け止められるかどうかを問われる。
中盤からは賃貸の物件品質の著しい向上について、
その背景に従来は相続税対策だった土地活用が大きく変化し、
人口減や供給過剰による住人獲得競争で物件品質の向上が目覚しく、
もはや戸建と遜色ないことを解説していた。
特に災害時の備蓄や非常用トイレの設置など生活継続計画(LCP)を立て、
これに対応する賃貸物件が増えていることは東日本大震災の教訓が、
実際に生かされた好例である。
終盤では中古物件市場について、
リフォーム・リノベーションによるバリュエーションアップを計ることで、
物件の資産価値を修繕・改良し住環境を再生させることで、
新築購入に比べて大幅な低コストで住宅購入が可能になるケースも紹介。
また複数世帯住居の選び方において近年流行している賃貸用途については、
戸建では土地の売却可能性の考慮が必要だったり買い手が付きにくいなど、
リスクが高いことを筆者は指摘しつつ、近年現れてきた多世帯連結可能で、
売却時には独立の区分住居として売却可能なマンションの紹介も。
ペットOKやリフォームOK(原状回復不要)などの賃貸物件も登場し、
貸し手市場から借り手市場へ移行する中で多様で柔軟な物件の登場にも触れている。
そして介護サービス付き住宅や老人介護施設への移住といった方法以外に、
予めバリアフリーや介助機能を備えた戸建やマンションに入居することで、
終の住処で安心して生涯を終えられる環境も現れている現状を紹介している。
現在に世帯構成が変わり新たな住まいを模索する方には、
まさにうってつけの内容となっている。
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この説では前半は住まい編と同じく日本の地価の上昇について触れ、
経済の成熟化に伴う地価下落局面ではインフレヘッジ機能は存在せず、
高度成長期で起きた用地の供給不足により牽引された地価上昇は、
用地供給過剰の現代では収益性とビル経営状態が物件価値を決定すると説く。
そして話は企業が地方から大都市圏への移動と集中が相次ぎ、
地方だけが取り残されるという状況が深刻化する中で徳島県を例に、
IT企業のサテライトオフィス誘致により街を復興した事例の紹介や、
また地方の観光資産を最大限に活用・PRにより旅行者を受け入れ、
滞在者や宿泊者のための居住施設をリフォーム・リノベーションし、
空き物件を再利用することも可能であると謳っている。
そして次に企業の本社・事業所は自社ビルor賃貸かという話題に移り、
事業継続計画(BCP)の基盤となる防災・震災対応可能な物件の必要性、
財務諸表上(資産種別の計上・償却、景気動向との連動性など)の計上の相違、
構造、設備の経年劣化への対応、共益費込み賃借料の不透明性、
運営管理費用の有無など所有or賃貸それぞれのメリット・デメリットを挙げて、
最新の判断材料を提示してくれている。
またオフィス内の行き過ぎた空間マネジメント(フリーアドレスデスクや、
ストレスを感じやすい距離間のデスク構成)が社員の生産性を低下させ、
適切な空調管理を施せば社員の生産性があがるという話題は、
オフィス内ばかりで業務を行う私には説得力がある。
最後は今話題のダイバーシティ経営についても触れており、
女性や高齢者、身体の不自由な方から外国人といった多様な人間が、
不自由なく利用できる利便性の高いオフィスが注目をされており、
保育施設を構えるビルや異業種間の交流が円滑なシェアオフィスを紹介し、
企業が不動産運営(ファシリティマネジメント)を求められるとを指摘している。
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投資観点で株式・債券・不動産株・実物不動産取引と不動産投資信託(リート)を比較し、
リートがどのようなメリット(流動性)とデメリット(景気連動)を持つかを解説しつつ、
消費者の購入マインドにも触れ、投資目的をしっかり持つことを注意喚起している。
また実物不動産がオープンな市場時価ではなくクローズドな独自の市場を形成し、
初心者や不動産業者以外の人間が情報を得るのが非常に難しいことを指摘しており、
実物の海外不動産投資についても業者でさえ現地情報を得難いなどといった要因で、
一般人にはハードルが高いことを注意している。
それに対してリートが日本株に非常に近いリスク商品であることや、
株式と債券の中間にあるミドルリスク・ミドルリターンとして安定性があり、
実物不動産投資は管理費用や空室対策など支出も多く収益が上がりにくいことから、
不動産投資はリートが堅いことを説明しています。
不動産会社が最近始めた私募リートは公開市場リートほど高くはないが、
換金流動性がありかつ実物不動産への投資に近い(時価総額を基準に収益分配)とし、
公的年金機構(確定拠出年金など)も株式・債券の代替として検討していることも、
紹介している。
ヘルスケア不動産(有料の介護施設)へ投資するヘルスケアリートについても、
日本では2014年11月5日から日本ヘルスケア投資法人がすでに上場しているが、
アメリカではすでにヘルスケアリート市場が形成され、
2013年度時点で役7.6兆円規模で取引されている。
ここ日本でもサービスが始まったばかりで運営の継続性やサービスの優位性を、
判断できるほどの実績がなく介護保険収入に依存していることもあり、
将来性においてやや不透明であるため投資を早まることはないと綴っている。
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不動産投資本の選び方について5人のアナリストの談義し、
次のような意見にだいたい集約されている。
この章の最後に「初めての不動産投資に備えて」という節がありましたが、
総括のような内容で結論としてはリートを長期運用が一番堅いとのこと。
そして国内にしろ海外にしろ実物不動産は現地現物主義を貫き、
不動産への"愛"を持って賃貸経営する心構えと覚悟が必要ということでした。
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書籍紹介
| 商品名 | 商品写真 |
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不動産力を磨く Q&Aで"手ごわい客"になる知識を身に付ける |
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