全国に100万人いるといわれるひきこもり。

その実態はあまり明らかにされていません。

 

そんなひきこもりに焦点を当てたドラマが放送されていたので見てみました。

 

 

うらみわびの【このドラマがおもしろい!

第14回。

 

 

松山ケンイチ 主演 NHK 『こもりびと』 2020

 

 

 

 

勝手に評価表

ストーリー

☆☆☆☆

アクション

☆☆☆☆

感動

☆☆☆

 

 

 どんな話?

 

父親がとつぜん病院に運び込まれた。

病名はガン。

 

余命いくばくの父親は実家に引きこもる息子の将来を案じていた……

 

 

厳格な父親のもと、勉学に励み、大学を卒業したのちにレストランの店長として仕事に精を出す息子のマサオ。

 

しかしある日、突然仕事を退職した息子はひきこもってしまった

 

 

いいかげんにしろ

 

そんなんでいて、情けなくないか

 

 

憤る父親に対して息子は言葉を発することはなかった。

 

 

 

 8050問題

 

本作のテーマのひとつになっているのが「8050問題」。引きこもりは個人差がありますが長期化することが多々あります。そうなると、まだまだ働き手のはずの当事者が50代になっても働かずに引きこもり、その親がその時には80歳

 

老々介護という言葉もありますが、8050問題も現在、社会的な問題となっています。

特に引きこもりの場合は収入源がないため、家族の収入がなくなった場合に家計が危機的状況に陥ります。

 

引きこもりを支援する取り組みもありますが、引きこもり当事者がその支援を断ることも多いそうです。

 

 

 みんな我慢している

 

引きこもりの人の傍にいる人たちにとって「引きこもり」という状態自体が謎であることが多いと思う。

 

 

コイツなんで引きこもってるんだ

 

 

って純粋に分からないし

 

 

心が弱いからそうなるんだ

 

 

と喝を入れたくなる人もいるでしょう。

本作における父親のカズオもその一人です。

 


カズオ 「みんな必死に我慢しながら頑張ってるんだよ」

 
マサオ 「これ以上何を我慢しろというんだよ」
 
 
マサオの「弱さ」が許せない父親と自らの「頑張り」が認められないことに怒る息子。
この二人の気持ちのすれ違いがこの社会の「引きこもり」に対するイメージと実態の乖離を表現しているように感じます。
 
 
 

 当事者の会

本作の中に差し込まれるような形で描かれている引きこもり当事者との座談会の様子。
 
 
『普通』でないことが怖い
 
 
これ、すっごい分かります。
ただでさえ、「引きこもり」という状態がいわゆる「普通」でなくて困ってるのに、そこから「抜け出せ」って言われても、
 
 
抜け出せたら抜け出してるぜっ!
 
 
って言いたくなります。
 
 
そんな引きこもりの人々にとって求めているものとは何でしょうか。
それは、家族からの声かけ
そんな大それたものじゃない。
日々の挨拶。「応援してるよ」っていう、存在の肯定
 
 

 厳格な父親

 
マサオの引きこもりは一見、仕事における挫折、って捉えがちだけれども、それはトリガーであって、原因ではないと思うんだ。
 
それはもっと根の深いところ。家庭環境にあったんだと思う。
厳格な父親に育てられ、教師の子どもとして「恥ずかしくない」成績を収め、就職して仕事をする。
 
 
情けなくないか
 
 
みんな苦しい中で頑張ってるんだよ。それがなんだ。引きこもってばかりいて……
 
 
こういった父親の言動がすべてを物語っている。
父親には教師としての意地がある。厳しい社会で生き抜いてきた自負がある。
そうして培われた「自分」という名の色眼鏡で周りを見てしまっている。評価してしまっている。
 
これは本当に難しいことなんだけれども、人を評価・判断するときは主観と客観に注意しなければならない。
特に主観が過ぎると、それは適切な評価ではなくなってしまう。
できるだけ評価の基準は自らの外に置くべきだ。
 
 

 美咲の今後の不安

 
本作でマサオと父親との関わりの橋渡しの役割をした美咲。
彼女自身はなかなか内定がもらえずにあせる就活生。
なんとか内定をもらってほっとしているが、そこは自分のもともと入りたかった分野ではない職場。
 
そんな彼女を励ましながらも警告を発するマサオ。
 
私自身も美咲の今後には少なからずの不安を抱かずにはいられません。
頑張り屋だが、容量が悪い。
そんなところが性格でしょうか、マサオと似ているように感じました。
これから先、困難が待ち構えているでしょう。
頑張り屋がたたってぷっつんしちゃわないかは心配ですね。
 
まあ、杞憂かもしれませんが。
 
 
 

 頑張りすぎてしまう

 
そうです。引きこもりの人は頑張りすぎてしまう人なのです。
本作においてマサオに対して「人間失格」だと強く当たる父親ですが、
マサオは
 
 
頑張り過ぎた
 
 
から引きこもってしまったのです。
脳も身体もオーバーヒートしてしまっている状態。
 
人間が他者とコミュニケーションがとれるのは、そのエネルギーがあるから。
そもそも人間は一人で日常を生きるのにもエネルギーを使います。
 
他者とのコミュニケーションはかなり高度な行動。
だから、他者と関わるには普段のエネルギーに余力としてのエネルギーを費やしている状態なのです。
 
身体がオーバーヒートしていたら……
もはやコミュニケーションどころではありません。
それどころか、普段の生活さえままならない。
だから引きこもってしまうのです。
 
 
引きこもっている人は怠けているわけではありません。
 
引きこもっている人は弱いわけではありません。
 
 
引きこもってる人は常に本気(ガチ) です。
彼ら・彼女らにはオフがありません。常にオンです。
身体の充電が切れているのに負荷のかかるアプリを起動し続けているのです。
 
 
 

 マサオは親不孝ものか

 
父親はマサオの社会復帰を見ることなくこの世を去りました。
はたしてマサオは親不孝者なのでしょうか。
 
確かに父親は死に際にマサオの将来を不安に思いながら死んでいったと想像されます。
 
 
全ては遅すぎたんだ
 
 
私はそのようには思いません。
なんぜならマサオは常に彼なりの最善の選択をしてきたからです。
 
もちろん今よりもより良い方向の人生へ、という選択肢はあったでしょう。
しかし、その選択を彼はできたでしょうか。
 
彼は人間です。人間が常に100%正しい選択をするはずがありません。
 
「後悔」という言葉がありますが、これは劇薬です。
一滴では薬になりますが、飲み過ぎると毒になります。
 
私たちは自ら望んで堕落の人生を歩んでいることはないはず。
すべての行動に意味がある。
私たちは常に私たちなりの【最善】を選択している
私はそう考えるようにしています。
それが自分を【許す】ということです。他者を【許す】ということです。
 
だから、私はマサオを責めることはできません。
 
 
「引きこもり」は今後、さらにクローズアップされていくことでしょう。
しかし、その中身はあまり明らかにされていません。非常にナイーブな内容だからです。
 
必要なのは個人のメンタルケアと社会の認識と許容だと考えます。
これからも皆が生きやすく幸せを感じられる社会にするために。
私たちができることを考えていきましょう。
 
 
今日も皆さんが幸せでありますように。
 
 
 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 

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今日の一曲♪

 

『流星』

(歌:藍井エイル 作詞:Eir / 津波幸平 作曲:津波幸平)

 

 

 

 

 

 

 

【収録曲】

1.流星

2.約束

3.ヒトカケラの勇気

4.流星 -Instrumental-

 

 

 

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