文化系寄り道倶楽部 -91ページ目

文化系寄り道倶楽部

アラフォーで2児のパパであり、80年代の音楽をこよなく愛し、ガンプラを愛で、パソコンをいじくり倒し、台所を妻から奪い取り、キングの小説におびえ、究極超人あ~るで笑いころげ、夜な夜なUST配信をしている

さて、ジェネシス特集中盤です
話の本題にはいりましたw

この辺から、だんだん今っぽくないサウンドになってきます
大丈夫、今回はまだまだポップですよ

デューク(紙ジャケット仕様)/ジェネシス

¥4,800
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1980年にリリースした「デューク」と1978年にリリースした「そして3人が残った」はピータ・ゲイブリル中心のバンドからフィル・コリンズ中心のバンドへと転換する過渡期の作品であり、「デューク」にはその後のジェネシスのライブでは欠かせない名曲が生まれており、この曲の存在と、このアルバムからの2枚目のシングル「誤解(misunderstand)」が全米シングルチャートでTOP20入りするスマッシュヒットになったことで全米進出への足がかりとなった




原盤
Turn It On Again

ライブアレンジ


メドレー原曲
Everybody Needs Somebody To Love
Reach out I'll be there
pinball wizard
In The Midnight Hour


turn it againは80年以降のジェネシスのライブでは必ず演奏されており、ライブ動画にあるように間奏にオールディーズやその当時のヒット曲(ポリスの「見つめていたい」を演奏しているのを聞いたことがある)を盛り込んだりしている

フィル・コリンズは自身のソロアルバムでもシュークリームスの「恋はあせらず」をカバーしているので、このあたりに彼の音楽のルーツがあることは間違いないだろう

また、この曲はレコーディングのときとライブではサビ部分の歌い回しが少し違う。。。聞き様によっては、ピーターっぽく歌ってみたものの、やはりしっくりこないので、普通に歌ったという感じがしないでもないw


アルバムのオープニング曲 Behind The Linesは、2曲目Duchessと切り目泣く繋がっており、この手法はジェネシスらしいのだが、曲のイメージはポップで聴きやすく、プログレというよりはプログレっぽいのレベルになっており、これは当時TOTOやSTYXがアメリカ市場で成功していたことと含めて、ジェネシスもアメリカよりになったし、アメリカもジェネシスを受け入れる素養ができていたといえるのではないだろうか

そう思ってあらためて「誤解(misunderstand)」を聞くと、TOTOのアレンジを参考にしている聞こえてくるのは考えすぎか?




そして3人が残った(紙ジャケット仕様)/ジェネシス

¥4,800
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そして3人が残った。。。80年代黄金期を迎えた「残った3人」とは
ドラム&ヴォーカル フィル・コリンズ
ギター&ベース マイク・ラザフォード
キーボード トニー・バンクス


この企画がはじめって要約メンバー3人の名前があがりましたw
いやー、前置き長すぎw


もちろんこれでは演奏できない(いや、できないことはないのだが)ので準メンバーとして
ドラム チェスター・トンプソン
ギター&ベース ダリー・ストラマー
が、ライブには帯同します

「そして3人が残った」では、3人でできることを模索している作品と言えるでしょう。。。またこの頃から音楽界ではテクノロジーに大きな変化がでており、それはジェネシスにとっては「渡りに船」だったのではないでしょうか

アルバムオープニング曲は過去のジェネシスを踏襲したサウンドです

down and out


デュークのオープニングのポップさとはちょっと異質ですよね
3人になってもジェネシスは変わらない
そんな強い意志があってこの曲をオープニングにしたのではないかと思います


そしてその分、ジェネシスの新しいアプローチも行われています
Snowbound

ちょっとジェネシスっぽくないバラードというかスローな曲ですよね
ワタシの中では冬の代表曲の一つなんですが、今ひとつメジャーではないですよね

そして、このアルバムからもその後のジェネシスで必ず演奏される名曲Follow You Follow Meが収録されております

この曲は80年代のジェネシスっぽいスローなジェネシスバラードの一つの定型を構築した作品だと思います




今回はこの辺で

次回はさらに時代をさかのぼり、ピーター・ゲイブリル脱退直後のアルバム
1976年「トリック・オブ・ザ・テイル」
同年リリース「静寂の嵐」
を紹介したいと思います
人が不安を抱えたまま布団にもぐりこんだとき、たいていは悪い夢を見る。。。そしてたいていは覚えていないが、時々、それはまるで現実のことのようにはっきりとした記憶として残ることがある
さらに言えば、それがよりリアリティのある夢であれば夢であるほどに記憶は鮮明で、まるで実体験のことのようになる

人の脳は夜寝ている間に、その日起きたことの情報を整理整頓して、必要な記憶とそうでない記憶、そして記憶と記憶の関連付けをおこない脳内倉庫にインディックスをつけて整理するといわれている

この日のボクの頭の中はそれこそ毛虫でいっぱいだった。。。罪悪感、応報、観測事実、毛虫、ガムテープ、闇。。。これらは全て恐怖というキーワードによって関連付けられた


ワタシはこの恐怖に打ち勝つための手段を今では持ちあわせているが、あの頃のボクはあまりにひ弱で、無防備だったと言える。でもそれは、小学校5年生のあなたであっても同じことではないだろうか。。。或いは今でも


題:蟲  作者:めけめけ

第12章 蟲

恐怖の夜。。。ボクはそこにそれがあるとわかっていても抗う術を知らなかった。夜になれば、電気を消して寝なければならない。。。今日は・なんか・怖いから・嫌な感じがするから・電気をつけたままで・テレビをつけたままで。。。などということはできるはずもなかった

夜はいつものように訪れて、いつものように更けていく。。。絶対的な時間的観念はこの際問題ではない。。。ボクには1分が10分に感じられたら、それは。。。電気を消し、静まり返ったこの空間。。。ここではすべての時間が止まっているように、そして、その闇にはボクしかいないという孤独。。。母の寝息も、弟の蚊に刺されたあとをかきむしる音も、腰痛に悩む父の湿布の匂いも。。。すべてボクとは関係のない世界のことであり、ボクは闇に独り、取り残されているのである

昨日はタオルケットを頭から被って寝ることができた。。。ささやかな抵抗だけど、それしかなかった

タオルケットの中は、ボクの体温で暖められ、モワっとした湿気に包まれていた
やや息苦しいが、昨日の夜体験したことを、二日も続けて味会うつもりはないし、実際、この方法で対処できたのだから。。。

時計の音はタオルケット越しにかなり鈍くなっているし、冷蔵庫の唸る音も、タオルケットが吸収し、遮断してくれている。。。大丈夫、ここなら安全だ

ワタシはおよそ1時間。。。もしかしたら5分~10分なのかもしれないが、もはや確認する術はない。。。闇に耐え、恐怖に耐えていた

しかしボクの心は、ここがどんなに安全な場所だとわかっていても、どかかザラザラとした言い知れぬ不安。。。こんなものじゃない、だって、怖い映画では、これで大丈夫だって思った時が一番危ないじゃないか。。。に覆われていた

ボクの頭の中では、恐怖に耐えかねて、タオルケットから様子を伺おうと顔を出した瞬間に、天井からボクの顔をめがけて堕ちてくる黒い小さな物体。。。それはボクの顔に近づくにつれて、輪郭がはっきりし、間違いなく毛虫だとわかったときには、ボクは避けきれずにボクのおでこのあたりに落ちてくることを何度も想像した

そしてそのイメージは見る見るうちにボクの中で膨れ上がり、ボクは毛虫が額に一度堕ちて、跳ね上がることもなく、ペタっと額にへばりつき、ボクの鼻に向かって這い始める感覚を再現していた

ボクはおでこから鼻にかけて、むずがゆい感覚に襲われ、まるでそれは、本当に毛虫がボクのおでこの上を這い回っているという錯覚を確かに認識していた

ダメだ。。。考えちゃダメだ

ボクは両手を顔にうずめ、このいまいましい想像、幻覚、錯覚を振り払おうと顔をこすり上げた

そこには当然に何もありはしないのである

そのことを確認しながらも、ボクはそれが、姿を消し、タオルケットの上を、頭から足のほうへ移動するさまを想像していた。。。それは次から次へと天井からタオルケットめがけて、


ポタ・・・ポタ・・・ポタ



と堕ちていき、タオルケットと布団の隙間をさがして上に下に徘徊する

毛虫は時には頭を少しだけもたげて、お互いの位置を確認しあうようなしぐさで、無機質なコミュニケーションを取っているようだった

ソッチ ハ ドウダ?

コッチ ハ ダメダ

アタマ ノ ホウハ ガード ガ カタイ

アシ ノ ホウハ スキマ ガ アルカ?

ワカッタ カクニンスル


ボクの全身はすっかり鳥肌が立ち、体中の毛穴が開いては閉じ、汗が噴出してきた
その汗はやがて重力に耐え切れず、ボクの肌の上を滑り落ちていく。。。その感覚はまるで、ヤツらがボクの皮膚の上を徘徊しているような感覚。。。ボクはもう限界だった


つづく


はじめから読む
まさかこんな展開になるとは思っても見なかったのですが、これは完全なる暴走です

気がつけば11章。。。いよいよクライマックスに向けてジェットコースターは一番高いところに達しました

こんなに長い話にするつもりは毛頭なかったのですが、小学校5年生のボクが乗り移ったみたいです

こういう発想は、ジブリアニメの「おもひでぽろぽろ」にありましたね


小学校5年生というのは実に、実に面白い時期ですよね


ワタシが筆を進めるときに、暴走に任せて小学校5年生のボクに好きなだけ書かせて、今のワタシが俯瞰からそれを考察して、文章を整形する


なんというか、二人で一つの作業をしている感覚です

ワタシの敬愛するスティーブン・キングのTHE BODY。。映画スタンド・バイ・ミーは、卒業を前に控えた最後の夏休み、少年たちが上級生から聞きだした「死体」を捜しに、冒険し、少年たちの抱えている悩みや友情を描いた作品で、この映画はボクに大きな引っ掛かりを残しました

中学を卒業し、高校に入学してから、中学の同級生の女の子とこの映画を見たのですが、ワタシはとても公開しました。。。これは男友達と見に行くべきだった


リバー・フェニックスの魅力は、彼女を退屈はさせませんでしたが、映画を見終わったあとに、感情の共有をすることはできませんでした

同じ頃にワタシは中学からの腐れ縁と一緒にイージー・ライダーをみました。。。夜中、野宿をしながら覚せい剤でラリっている彼らが宇宙人は本当にいるかどうかという話で盛り上がるシーンがあります

このシーンはまさに男の子同士の「あった、あった」という共感、そしてラストに悲劇にも、心に大きな穴が開くような感覚。。。


彼は映画を撮ろうと言い出しました。。。しかしこれはあまりに無謀な話で、8ミリだとしても、映画を撮影するのにどれだけ費用がかかるのかということを、書籍などを調べて愕然としました

そしてなにより、脚本となる原作を書こうにも、高校生くらいの人生経験では、イージーライダーのような作品が書けるわけもなくw

やがてワタシの興味は音楽のほうに向いていき、詩を書いたり、楽器を練習したりして、やがてオリジナル曲を作ることができるようになりました。。。それでも、作詞に関しては、どこか薄っぺらくて、自分で気に入るような歌詞はとうとう書くことができませんでした


月日は流れ、このような場所を得たことで、そして時間を得たことで、くすぶっていたかつての自分が目覚めたような状態が、ここ数日続いております

惰眠からさめた創作意欲は、いわばマスターベーションを覚えた猿の如しで、自分が制御できないくらいの快楽の中、気がつけばここまで来てしまいました

むむむ

ワールドカップまでには終わると思いますが、はて、最後まで書き続けることができるでしょうか?

むむむ

かきつづける。。。?

下ネタかw
子供にとって一番の恐怖は孤独。。。親からも兄弟からも阻害されたりしたら、それはそれはつらいし、つらいときには、泣き出してしまえば楽になるのかもしれないけど、小学校5年生ともなれば、そういうわけにも行かない。。。意地を張って、それを通してはじめて大人になれる。。。そんなことはないのかもしれないけど、あの頃のボクはそれを信じて疑わなかった。。。そして何より親を悲しませるようなことを自分がしたこと。。。これを知られるのが一番怖かった。。。愛されていれば愛されているほどに


題:蟲 作者:めけめけ


第11章 恐怖の夜

これほどもまでに最悪は日はないと思った。。。実際それは間違いで、このあとにいくらでも悪いことはおきている。。。人生40年も生きていれば当たり前だ。。。でも、小学校5年生のボクには、これほどまで悪いことが続く日はなかったと、それは確信できた。。。そしてそれが、まだ続いていることも

なんとなく気まずいままに、夕飯をすませ、テレビをみながらもボクはガムテープのことが気になって仕方がなかった。机の引き出しの中を親が見るようなことは、年に何度もあることではないし、あったからといって、それをどうした?と問い詰めれれることもないように思えた。。。だけど今日は最悪だ。。。そういうことがおきてもおかしくない。でもだからといって、今更隠し場所をかえることもできない。。。なんでもっと他の場所にしなかったのだろう。。。そもそも毛虫が。。。あんなところにいなければ。。。

ボクの家にはお風呂はなかった。。。銭湯にいくか、会社の入浴施設を使うか。。。このローテーションに関しては、特に法則があったわけではなかったと思う。。。そうだ、このことは父が健在のうちに聞いておこう。。。ボクは会社のお風呂が嫌いだった。。。銭湯に行けば友達に会うこともあるし、コーヒー牛乳が飲める。会社のお風呂は。。。なんか不気味だった。別に何かを見たり、聴いたりしたことはないけど、誰もいないお風呂に妖怪や幽霊がでることを想像することは造作もなかった。。。シャンプーをしているとき、目をつぶっているその後ろに何かの気配を感じて怖くなることは、銭湯ではないことだ。

それに自分の住んでいるところから御風呂場への道のりは工場の敷地内を歩いて奥のほうにいくのだが、誰もいない、真っ暗な工場の敷地内には、何か得体の知れないものが、闇にまぎれて徘徊しているにちがいないと、ボクはそんな風に考えていた。。。でなけりゃ、なんで、もり塩なんてしておくんだ。

でなけりゃなんで稲荷なんて祭っているんだ
この日、ボクはお風呂に行きたいと思わなかった。。。誰が好んで怖いと思うところに、しかもこんな最悪の日に行くものか

しかし、ボクがどう思おうと、それはボクの自由になることではなかった。。。家族でお風呂に入ることを拒否したことは何度かあったけど、それは低学年の頃の話。。。流石に5年生になってからは、そんな態度を取ったことがなかった

ボクはなるべく暗がりには目をくれずに下を向きながらお風呂へ向かった。こんな日は、それこそ、変なものを見てしまうかもしれない

何かのテレビ番組。。。夏によくやる幽霊の特番で、霊能者が言っていた

世の中には幽霊を見やすい人とそうでない人がいて、だいたい子供の頃に一度みたら、2度、3度とみることになるけど、それがない人はみることはない

ボクは霊能者の言うことをまるまる信じるような子供ではなかった
しかし、同時に、彼らがい言う、ボクにとって都合のいいこと。。。もし、幽霊にでくわしたら、ちゃんと供養をすれば大丈夫とか、お寺に相談すれば大丈夫とか、金縛りに会いそうになったら、何でもいいから念仏を唱えると、怖いものを見ないですむとか。。。

だからボクも小学校を卒業するまでに幽霊を見なければ、霊体験をすることはないと信じていた
そして、幽霊に出くわさないためには、幽霊が出そうなところに行かなければいいし、見なければいい
だから、なんか不安になるときは、ボクは怖いと思う方向は見ないようにしていた。。。誰にも気付かれないように

しかし、この日は、問題は幽霊ではなかったのだ。。。幽霊を怖がって、下を向きながら歩いた、必然、下を見てなければ気付かないものを見てしまう
前を向いて歩いていれば、踏み潰された毛虫の姿に気がつきはしなかっただろうに。。。


ボクはもす、すっかり毛虫に取り付かれてしまっていた


ボクは身震いをさせながら、工場の敷地内を小走りで進み、御風呂場にたどり着いた。。。いつもと変わらない風景。。。お風呂の窓には大きな蛾がべったりとくっ付いている。。。当たり前に風景にもかかわらす、ボクは奴らの視線を感じないわけにはいかなかった。虫たちの視線とざわめき。。恐怖の夜の始まりだ。


つづく


はじめから読む
後ろめたいことがあるとき、親や兄弟にそれを悟られないようにするのに苦労する。隠し事があれば、できるだけその話題にならないように注意を払う。。。しかし、それはそれで、余計なことである場合が多い
そんなことはすっかり頭の中からはずしてしまえばいい。。。だけどそれは不意にいくつかのキーワードで頭の中によみがえってしまう。。。すべては偶然なんだろうか?それとも?

題:蟲 作者:めけめけ

第10章 疑心

学校から帰っても、そこには誰いない。。。ボクの父はボクの足元で働いている。。。この家は父が働く工場と一体になっている4階建てのアパートで、母は地方公務員で夕方6時くらいに帰宅する。。。父も母も変えてくる時間は同じくらいで、母は帰ってくるとすぐに夕飯の支度をする。。。ボクと弟と妹は夕方の子供向けのアニメを見ながら夕飯をまつ。。。およそその間に会話はない

食事中もテレビはつけっぱなしで、どちらかというと会話はなく、母が「野菜も食べなさい」とか「余所見をしているとこぼすわよ」というくらいである。。。誰に聞かせるわけでもなく、母は、今日は御肉が安かったとか、いいサカナが売ってなかったとか、そんな話をするけど、たまに父が「ああ」とか言うくらいで、母もこれといって返事を期待しているわけでもない

それは、この時代、どこの家庭でもごく普通なあり方だったと思うし、「今日ね、こんなことがあったんだよ」みたいなテレビドラマに出てくるような会話は、あっても月に3回くらいのものだった。。。しかし、今日は少しばかり違っていた


今日の買い物の帰りにいつもの通りを通ってきたけど、毛虫がいっぱいいたわよ、きもちわるい。。。自転車で踏んづけちゃったわよ

ボクは、ドキっとした。。。また毛虫なのか

薬まかないとあれに、刺されるとかゆくなったりするんでしょう?学校は大丈夫?


ボクはテレビをみて聞こえないふりをしようと思ったけど、弟は本当にテレビに夢中で、話をきいていないようだったし、無視するのも変だと思い。。。裏にはでるらしいけど、行くこと無いから。。。とテレビの方を見ながら、できるだけ自然に応えようとしたが、どうやら失敗したのかもしれない

え?

母はボクの顔をまじまじと見ている

ボクは必死で考えた、なんだ、なんか変なこと言ったかなぁ。。。おかしなこと言ったかなぁ

うん?

ボクは結局、変に取り繕うよりも、知らない顔を決め付けるほうがいいと思い、何故「え?」なのかわからない「うん?」を返したつもりだった

母からすれば

感心がなければ 「うん」
あっても 「うん」か「知らない」か「ううん」か

まともな会話が帰ってくることを予測してなかったか、テレビの音でボクの返事が聞き取れなかったのだろうか


気をつけなさいよ、刺されると痛いんだから

うん

ボクはテレビをみてたけど、その内容は全く頭にはいっていなかった

父は夕刊を眺めながら、その会話にはまったく感心がないようだったが、
あー、そういえば、この辺でも毛虫をよくみるなぁ

ボクは必死で聞こえないふりをしていたが、いったいどうしてしまったんだと、すっかり混乱していた

ボクは心の中で、すっかり泣き出しそうになっていたが、

ご飯を口にかき込んで、おかわり、と茶碗を母に差し出すことで平静を装おうとしたが、あわてたせいで、たぶん生まれて始めて、このタイミングで御わんを手から落としてしまった

がしゃん!

御わんはわれなかったけど、空気を壊すには十分な音だった

なにやってんの?よそ見してるからでしょう?

母に叱られた

父はボクをにらんでいる。。。テレビ消しなさい

えー

弟は兄貴がいけないんだという憎悪に満ちた表情でにらみつけてくる

ボクは。。。ボクは。。。本当に泣き出してしまいそうになるのを必死にこらえて、こらえて。。。

ほら

と母がご飯をいれて差し出した御わんを受取り、黙々と食事を続けた

明らかにボクの様子はおかしいと母にはわかったみたいだったが。。。それは今にして思えばのことで、ボクはただ、ただ、怯えるだけだった


つづく

はじめから読む
はじめから読む