日本人の女性監督が、ハリウッドでこんな素敵な映画を撮ったなんてうれしい限りだ。
クールさと可笑しみが混在している空気感が「ロスト・イン・トランスレーション」を思い出してしまった。異邦人 in Tokyo という共通点は確かだが。
ブレンダン・フレーザー演じるフィリップは、以前はそこそこ人気のある俳優だったが、今は東京でひとり暮らししながら細々と俳優業を続けている。
そんな彼のもとに「レンタル・ファミリー」の仕事が舞いこんでいる。嘘をつき通す仕事に後ろめたさを感じつつも、彼はその仕事を引き受けるのだった。
何といっても、ブレンダン・フレイザーあっても映画だ。あの大きな身体を小さく丸めながら満員電車に揺られる姿は、それだけでほのぼのしてくる。
顧客の要望に合わせて家族のようなふりをすることに、最初のうちは良心がとがめるフィリップだが、次第にその仕事にのめりこんでいく。
仕事と割り切れない「情」や「共感」がわいてきて、逸脱しそうになってしまう。
彼の葛藤は丁寧に描かれるが、決して重くなりすぎず、あざとさもなく、時にユーモアが感じさせるのは、彼のキャラによるものだろう。
そして驚くのは彼を取り巻く役者たちの芸達者ぶりだ。柄本明の存在感は言うまでもないが、平岳大や山本真理が思いのほかいい味を出しているし、子役の少女は将来がとても楽しみだ。
あまり期待しないで鑑賞したのだが、いい作品に出会えたと満足度は高かった。






