《たぬたぬ》の日記 ~ 集団脱走の果て ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

《たぬたぬ》

 

 

 

 

僕は本当は日記を言うつもりはなかったけど

《ビキニ》や《ちゃちゃ丸》が

「脱走のこと、なかなか面白かったから言った方がいいよ!」 

って言うからイヤイヤ言います

 

 

一回寝た前の夜くらいに僕らは脱走しました

魔女が洗面所にいて、その時ピャンピョ~ンが鳴ったのであわてて玄関にいったんだけど

あわててたものだから洗面所のドアをきちんと閉めてなくて

それを《ビキニ》が発見し、こじ開けたんです

 

そうしたら洗面所の開けっ放しの窓、つまり猫用出入口から外の空気が入ってきたから僕らはすぐに脱走できるとわかりました

 

 

《ビキニ》が出て行って

次に僕が出て

それから《ちゃちゃ丸》が出て

最後に出ようとした《じゃじゃ丸》は魔女につかまりました

 

魔女に体を押さえられて猫用出入口で騒ぐ《じゃじゃ丸》を振り返りながら

僕らは逃げました

 

それで後で僕らは《じゃじゃ丸》に 『猫でなし!』 とののしられました

 

 

脱走した僕らは庭に出て、たくさんの草が入った袋を点検しました

 

 

・・・・・

 

※ この前日の金曜日、もうそうにゃんさんご夫妻が恒例の草刈りにいらしてくださったのです

 

魔女は 『てんや』 の天丼が好きで、安いしね

だけど私の町には 『てんや』 がなくて、わざわざ遠いところまで食べに行ったんですよ、なんて話をもう何年も前にしたことがあって

そうにゃんさんはそれを覚えていらして、わざわざ遠くまで行ってお昼にと買って来て下さり

さらに草刈り道具一式はもとより、飲み物や氷、紙コップまで持参なさるのです

これがいつものことで、誠に申し訳なく、有難く

何しろうちの庭の草、尋常じゃないですから ← 自分がこまめにやらないからだろうが!!

 

 

・・・・・

 

 

 

それから僕らはてんでばらばらになって好き勝手しました

直ぐに暗くなって、世間知らずの《ちゃちゃ丸》は暗い道のど真ん中を歩いてました

《ビキニ》は反対側の家の庭にひそんでました

 

僕はおトイレ行きたくなって帰ろうと思いました

これ以上遅くなるとまた魔女にお尻をぶたれるからです

 

それで駐車場から入る猫用出入口に向かって行ったらそこに《ヤンキー》がいて

「おれの にゃわばりだぞー!」 と言いながら僕を追い掛け回し、はいじょしました

 

 

 

 

《ヤンキー》はまどごしだとほっぺをすり寄せたりしてかなりフレンドリーなのに、外では性格悪い、ってことがわかりました

 

 

僕は庭にたたずんで、これからどうしよう・・ と不安にくれました

 

しばらく庭でじっとしてて、そっと駐車場をのぞいてみたら《ヤンキー》はいなくて

猫用出入口の前で《あのこちゃん》がご飯を食べてて、魔女がそばに立って《ヤンキー》を見張ってました

《ヤンキー》が《あのこちゃん》のご飯をうばうからです

 

それで僕は家に入れなくて、どんどん不安になりました

なんでかっていうと、僕がなかなか家に帰らない、ってことは魔女が怒りがどんどんふくらむってことだもん

 

 

暗い庭で家の窓を見上げていたら、中から

「スーリヤ~!」 とか、「にゃっぱちゃ~ん」 とか、「《じゃじゃ》、ご飯にしようかー」 とか、「《ちゃちゃ丸》、おいでー」 とか聞こえて来て

僕は悲しくなりました

 

てか、《ちゃちゃ丸》、いつの間に帰ったんだ!!

 

 

 

どうして外に出ちゃったんだろう

脱走する度にそう思うんだ

 

お腹空いた・・

おしっこしたい・・

魔女に会いたい・・

 

雨が降ってきた

そしたらどんどん悲しくなってきて

 

それでまた駐車場に行きました

今度は誰もいません

 

僕は急いで家に入りました

だけど魔女はリャビングにいないのか、ドアを開けてくれない

僕は廊下でおろおろしました

 

しばらくしうしていたら

魔女が階段を登ってくる音が聞こえました

 

怒られる! って思って

僕はとっさに猫用出入口に飛びつき、また外に逃げようとしました

 

そしたら目の前に、すごいのいた!!

 

 

 

 

 

それは《あらい》で、僕の鼻と《あらい》の鼻がくっつきそうになった時

《あらい》は立ち上がってがいじんみたいにしたんだ

両手をこやって、こ、こやって

 

魔女ーー!

こやってやることなんとかって、言う?

 

 

あぁ、肩をすくめる感じね

 

肩をすくめて軽く手を広げ、 「ほえ~?」 って言ったんだ

僕は仰け反って窓から落ちた

 

落ちたひょうしに振り返ったら魔女が立ってて

僕はまた必死で窓に飛び乗って《あらい》の背中を越えて外に飛び出した

 

 

そしてまた庭に行った・・ら

 

そこにも《あらい》がいて!

 

《あらい》、いくついるんだ!!

 

 

僕はまた戻ってよその家の庭にうずくまった

雨がどんどんひどくなってきて

それでも僕は濡れて我慢したよ

 

暫くしてまた庭にいってみようと思った

ひょっとしたら玄関横のアトリエの窓が開いてて中に入れるかも知んない、って思って

 

そしたら! 今度は《たぬきさん》たちがそこでご飯を食べてて

 

 

 

 

 

混乱した僕はかくらん?さくらん?しそうになった

 

 

おろおろしてたら家の中から《ビキニ》の鳴き声がした

 

いつの間に帰ったんだよ!!

 

 

外にいるのは僕だけか・・

もう・・ すっごく遅い時間だってのはわかる

この前遅く帰ってぶたれた時よりだんぜん遅い時間だ

 

雨が・・ 

僕はびしょびしょになりがら、泣きながら考えた

 

このままぬれ続けるか・・

ぶたれるか・・

 

これは給食の洗濯だ (究極の選択ね)

 

僕は、外で生きていけるのか

ご飯はどうする?

おトイレはどうする?

 

ひとりぼっちでどうなる?

《ヤンキー》や《あらい》と仲良しになる?

 

・・無理だ

 

それで僕は決心した

 

ぶたれる洗濯をしたんだ (だから、選択だってば!)

 

僕は本気で決心して、家に飛び込んだ

そして魔女が開けたドアから部屋の中に転がるようにして戻って

臭いをかごうとするみんなに後を追われながら、テラスに飛び出し

そこの隅っこでうおんうおん泣いた

 

 

魔女は僕をぶたなかった

それで僕はさらに泣いた

 

僕の変な声がそこらじゅうに響いてたけど

僕は泣き止めなかった