けもの道軍団 ~ 強かに生きろ! ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

《さき》によってけもの道を追われた子たちの方が余程幸に生きてるじゃないか・・ 

と思ってしまうほどけもの道軍団の苦労は尽きない

 

最後までおばあちゃんちの庭から離れようとはしなかった猫たち

他に行くところがないから仕方なくそこに住んでいる猫捨てオヤジんち周辺の猫たち

 

おばあちゃんちの庭組だった《かーら》が

工事現場に佇んで

 

複雑な顔をしている

 

 

その上の方では《ぐれ》がやはり複雑な表情で立ち止まっている

 

 

左奥にいるのはもう以前に空家に移った《せてぃ》だ

 

 

かーら 「どうして おにわが こんなことに なっちゃったんだろう・・」

 

 

左上の・さき 「《かーら》、そこは あぶないよ」 

 

かーら 「・・」

 

 

かーら 「どうして・・」

 

魔女 「《かーら》、 かなしいね」

 

 

かーら 「かなしいよ いやなことばっかだもん」

 

魔女 「・・そうだね」

 

かーら 「だけど だいじょうぶ わたしは じょうずに くらす」 

 

魔女 「《かーら》は つよいね」

 

かーら 「おんなの ねこは つよいよ!」

 

魔女 「ちえを つくして こどもを そだてるからね」

 

かーら 「そうだよ、そのためには どんなことも してきた」

 

 

反対側には猫捨てオヤジんち周辺軍団がいて

彼らの食器にご飯を注ぎ分けながらそんな話をしていると、

 

猫捨てオヤジが家から出て来てわざと足をドタバタさせ、《かーら》追いかける仕草をしながら

「このやろう! またいるのか!!」 と大声で怒鳴り

《かーら》はもとより、その時まさにご飯を食べようとしていた猫捨てオヤジんち周辺軍団も脱兎の如く逃げ出した

 

そして魔女はキレた

 

魔女 「どういうつもりだ」

 

猫捨てオヤジ 「俺は猫が嫌いなんだよ!」

 

魔女 「嫌いなのはあんたの勝手だけど、そうやって弱い者虐めしている自分をみっともないと思わないのか!」

 

猫捨てオヤジ 「あいつら迷惑なんだよ」

 

魔女 「相手からすればあんたのほうがよほど迷惑なんだよっ!」

 

猫捨てオヤジ 「・・」

 

魔女 「いいから家に戻りなさい! 邪魔くさい!!」

 

 

猫捨てオヤジはバツの悪そうな、引きつったような笑い方をして家に入って行った

 

それからみんなを呼び戻し、改めてご飯をあげる

 

食後

嫌な人間があなたたちを怖がらせてごめんなさいね、と彼らに言ったら

 

 

ビキニ ママ 「まじょ、だいじょうぶだよ わたしたちは ぜったいに あんなやつに まけないから」

 

魔女 「そうよね あなたたちは にんげんより ずっと つよいもの」

 

ビキニ ママ 「あたし (オヤジんちの)げんかんの やねにも あな あけてやった」

(前には台所の屋根に穴を開けた)

 

魔女 「あぁ、おやじってば カンカンに おこってたわ」

 

ビキニ ママ 「わたしの こどもたちを すてたから ふくしゅうしてるんだ」

 

魔女 「ふくしゅう、がんばって!」

 

ビキニ ママ 「うん!」

 

 

昔は天使だった・せてぃお 「おれだって まけないから!」

 

魔女 「《せてぃお》も みんなも いやな にんげんに まけないで!」

 

みんな 「うん、まけない!」

 

 

そんなこんなで今日はけもの道でかなり時間を食ってしまった

 

 

 

気づいたんだけど・・

《おひとりさま》がいない

 

あの子がいない事はない

雨でも雪でも必ず出て来て終始私と一緒にいる子だ

 

まさか、また・・

 

魔女の足音を聞いた《おひとりさま》がシャッターが下りた民家の車庫の中から情けない声をあげ始めた

車庫の前で名前を呼ぶと、今度は大声で叫び出した

 

そこの家の人は猫好きで、魔女が頼むと直ぐに車庫のシャッターを上げてくれた

眩しそうにしながら、戸惑いながら、恐る恐る出てくる《おひとりさま》

 

・・2度目だぞ

 

魔女が忙しい昨日(木曜)は家族①がのらさんご飯に行ってくれていて

家に帰って聞いたら、昨日は《おひとりさま》いなかった、って

一昨日はいたから、2日間車庫に閉じ込められていたということになる

 

 

おひとりさま 「まじょぉ、おれ どうなるかと おもったよ」

 

 

おひとりさま 「あぁ よかった~」

 

 

こうやって閉じ込められることの何が怖いって

 

猫は人が通りかかるとシンとしてその気配を消す

鳴き喚けばその中に閉じ込められているのを人間の誰かに気づいてもらえるのに

のらさんたちは人を警戒して息を潜める

 

そうして私の仲間は、その足音が魔女のであることを確認すると

ようやく助けを求めて必死のギャン鳴きを始める

 

《せてぃ》も《しゃっぽ》もそうだった

私が通りかからなかったらみな死んでるじゃん

 

頼むから、閉じ込められたら鳴き喚いてくれ!

 

 

あら、向こうからオヤジに脅されて逃げ出した《かーら》が ぐるりと回ってやって来たよ

(おいけけられるものなら おいかけてみろ、ってんだ) って顔をしてね