野崎島 ~ 静けさの中で ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

誠に静かな場所

そこにいる鹿たちも足音さえ立てない

 

ここではただ風の音が聞こえるだけ

 

 

海の側の高台に神社があった

鳥居の向うには登る階段があって

 

そこを登れば神殿があるはずだと

私は登って行った

 

 

もう誰もここには足を踏み入れていないのだろう

鳥居の前には高い草が茂っていて

 

 

 

石の階段を登りきる前に現れた風景は

 

 

 

その形も残さず崩れ落ちた神社の姿で・・

 

 

 

残ったのはひとつの石碑と、二対の狛犬だけ

その狛犬の表情が嘆き悲しんでいるようにも見える

 

 

 

 

朽ち果てようともここは神社

何があろうと狛犬たちは守り続けるのだろう

 

 

 

 

崩れ落ちた神社の脇の崖から裏側にまわってみると

 

 

 

 

このようなありさまで

 

 

 

 

振り向くと神様と思しきものが置かれていた

小さな祠を囲っているのは

深い森を分け入った島の北端にあって、この部落の氏子たちの信仰の地

沖ノ島神社の上の王位石を模したものと思われる

 

 

 

ここから降りて海に向かっていくと

また鳥居があったが、それも崩壊していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その奥には恵比寿様がいらして

 

 

 

 

 

 

 

その隣には首や身体を失った神様たちがおわした

 

 

 

 

そこから右手に目をやると、崖の途中にどなたかがおられて

 

 

 

神様と思しきこの方は、群青の先をじっと見詰めておられる

 

 

 

神官と氏子たちが暮らし、彼らの信仰の深さは今も村のそこかしこに在って

それは太古の昔から永きに渡り続いていたであろうに

 

ここに残された神様たちを

人々は島を捨てて群青の海へと舟々を漕ぎ出しながら幾度も振りかえったのだろうか

 

そして残された神様たちは

二度と戻らぬ覚悟で去ってゆく村人たちをどんな想いで見送ったのだろう

 

神様たちはそれからもずっとこうして群青の彼方を見詰めて続けるのだ

その形が崩れ落ちるまで