私が最後に《サンボ》を見た日
《サンボ》は公園の隣の果樹園に立てられた看板をじっと見上げていた
そこには果樹園が住宅用に開発され、そこに19棟の家が建つと書かれていた
自分が産まれて幼少期を過ごした桃源郷のような場所が壊され、人間の家が建つという看板を見上げている《サンボ》のまぁるい背中
それは今も魔女の目にしっかりと焼きついている
私たちはいつだって一緒だった
《サンボ》はさぁ
よく魔女とお話したよねぇ
それに、よくふざけてさ
毎日、毎日、楽しく遊んだね
『あそびもん』 の調達にかけては《サンボ》の右に出る猫はいなかった
ねえ《サンボ》、覚えてる?
小さな体で、台風で折れた桜の枝を引きずってきて
それと格闘してたこと
伐採で切られた枝を持ってきてはそれと戦い
時々訳のわからないものを持って来たりもしてたこと
魔女が作った《サンボ》の毛玉は格好のおもちゃとなって
遊び終わると秘密の場所に隠してたっけね
そして 『あそびもん』 が見つからないときは
そこらの
草を引っこ抜いて 『あそびもん』 にしてたよね
でもやっぱりかくれんぼが一番面白かったな
毎日がとっても楽しかったね
《サンボ》・・
ずっと、ずっと、ずっと大好きだよ
魔女 「《サンボ》 み~っけ!」
サンボ 「あ~ みちゅかっちゃったー!」