《政宗》と魔女の43日間 Ⅲ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

 

 

 

 

魔女 「《政宗》、何を見てるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女 「そっちは《政宗》が生まれたとこだねぇ  今はもうなにもなくなっちゃったね・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女 「《政宗》の子供の頃は可愛かったでしょうね」 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女 「今も可愛いよ、《政宗》はとっても可愛い子」

 

 

 

 

 

 

 

 

もう・・ 寝なさい

眠って夢を見るといいよ

 

《政宗》がまだ子供でお母さんがいたり、きょうだいもいたりして

みんなで遊んだでしょう 追いかけっこしたり、お化け屋敷の梅ノ木、登ったりして

 

思い出すのよ、あの頃のこと  毎日が楽しかったあの頃のこと

さあ、そのまま眠ってあの頃の夢の続きをみなさい

 

魔女が抱っこしてあげるから

 

 

 

 

1月20日、旅立つ3日前

これが《政宗》最後の写真です

 

 

 

 

 

 

発作を繰り返す《政宗》を病院に連れて行った時から

先生は既に《政宗》行く末を予想しておられたと思う

 

当初の《政宗》の様子はあまりに壮絶で

安楽死も考えた私と先生

 

 

ならばとにかく発作止めを飲ませて発作を抑えることをやってみると決めた時

先生は仰った

 

「そうなると《政宗君》はもう一生外には出せませんよ

 

 

けれど、《政宗》をこのままにしておく事は出来ない

それでもなお苦しむようなら安楽死を・・

 

 

 

一生面倒を見ると決めて飲ませ始めた抗発作薬

 

 

発作は治まった

しかしそこから自分を見失った感のある《政宗》の日々が始まる

 

奇行を目の当たりにして、薬を止めてしまおうかとも思ったが

再びの発作が恐ろしくて飲ませ続けた

 

その体が次第と薬に馴染んでき始めた時

《政宗》はオムツを外した

 

 

意識が薄らいでいる時もそうでない時も

一貫して《政宗》が自分の意思を通したふたつのこと

それは抱っこしてもらうことと、魔女と一緒にベッドで寝ること

 

 

まだ若い《政宗》が、日を追う毎に痩せ細ってゆく姿を見続けるのは実に、実に、辛かった

 

 

《政宗》は頭がぼんやりして意識が薄らいだり、思うようにご飯が食べられなくなったり

最後は次第と元気をなくしていって、またオムツ生活に戻って

心は辛かっただろうけれど

苦しむ事はなかった

 

だから自然の死を安らかに迎えることが出来た

 

それは幸いであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女がいない時にいつも抱えていたスリッパを《政宗》抱かせ

 

《政宗》は魔女家の東側に埋められた

そこは《政宗》が幼少から取り壊しまでを過ごしたお化け屋敷があったところの前であり、魔女の部屋のすぐ側

《政宗》のお墓の隣には馴染みだった《たぬきち》が眠っている

 

 

昨日、《政宗》の墓の側

建築が始まる前の今は静かな造成地に《かって》の姿があった

 

 

 

 

 

《政宗》、今魔女は何をして暮らしたらいいかわかりません

溜め込んでしまったやるべきことが山ほどあるのに

心も体も動かない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年前、魔女と《政宗》が初めて出会った日 

 

 

 

 

 

 

 

昨日《政宗》にきれいなお花が届きましたよ

お墓参りもしていただいてよかったね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして送られる猫さんもいれば

誰にも知られず、看取られず

ひとりでひっそり旅立つたくさんののらさんたちもいる

 

それは安らかだったり、苦しみながらであったり

いずれにしてもひとり不安の中で最期を迎えるのだろう

 

どんな子にも懸命に生きた日々にはドラマがある

人間は知らない様々なドラマ

 

 

すべても生きものには尊厳死を迎えて欲しいのに

中には事故や人間の都合で殺処分というあまりに酷い命の終わりを迎えなければならない動物たちがいる

動物の世界は幸と不幸との境界線があって、その明暗は甚だしい

 

そんな子たちにもたくさんのお花を供えたく、毎日空に向かって野の花をかざす

 

人間に翻弄され

如かして人よりはるかに潔く生き、そして逝く

そんな彼らに心からの敬意を払いながら

 

 

 

 

 

 

みなさまからはこれまで《政宗》にたくさんの祈りや励ましをいただきました

ほんとうに、ほんとうにありがとうございました

 

 

この家で発作を起こしていなかったら

《政宗》はもっと早くに誰にも知られずどこかでひっそりと

そして紛れもない苦しみと寒さの中でその生涯を終えていたでしょう

 

《政宗》はみなさまの優しさ溢れる思いやりに包まれて旅立ちました

 

心よりお礼を申し上げます