《政宗》と魔女の43日間 Ⅰ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

《政宗》と魔女の壮絶な43日間が終わってしまいました

 

一緒に暮らすと決めたのに

ずっと魔女が面倒をみると決めたのに

 

 

 

魔女は2日間を動かない《政宗》と一緒に寝て

今日、お葬式をしました

 

 

 

 

 

どんよりとした空気に包まれるのは魔女家だけで

その向うの夜には月が昇り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしていつものように朝が来て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな変らぬ風景が私たちのまわりに在るのが今は不思議で・・

 

 

 

《政宗》を思って空を見上げていた今朝

突然ぱらぱらと可愛い音をたてて、空から小さな霰がいっぱい降って来ました

魔女も、一緒にいたまじょねこも驚いて周囲に落ちる可愛い霰たちを首を振るようにして見ます

 

目を上げると、お隣のスレート屋根を霰たちがぴょんぴょんとリズミカルにとび跳ねています

 

 

それはほんの1分ほどの短い間の出来事

 

 

 

 

 

 

《インドラ》のいたずらですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《政宗》が暮らしている間

晴天で暖かな陽の差す時間以外は普段は使わないエアコンを入れていた

 

 

 

もうエアコンを入れることもない冷たい部屋の真ん中に座り込む

 

目の前には家族②が作ってくれた《政宗》の広いお部屋があり

そこには魔女が使っていた電機敷き毛布が敷かれ

ドームベッドがあって、お食事の台の上の食器には残されたドライフードと水

隅にはトイレが置かれて、真ん中には殆ど遊ばなかったおもちゃが転がっている

 

横の丸テーブルには薬の袋

その中には1日半分の発作止めの薬が残され

皿に乗せられているのは薬を与えるのに使ったシリンジ

 

その向うには未開封のウェットやらドライやらの様々なフードが積まれ

お湯に濡らして一日に何十回も鼻や口を拭くための大量のコットン、そして大箱のティッシュがある

 

周囲にはこれも大量のペットシーツに

1個だけ残されたペット用のおむつの袋

 

ドライシャンプーにウェットティッシュ

そこに転がる蚤取り器

 

 

そして、《政宗》が汚したものが入れられた大きなビニール袋と使用済みの猫砂が入っている小さな袋が部屋の隅に置かれ・・

 

ここは殆ど《政宗》の部屋だった

 

 

 

 

《政宗》をここに保護したいきさつや、その後の発作で苦しむ何日間かの事は書いてきましたので

ここではその後のことを書きます

 

 

発作止めの薬に馴染むまでの間の《政宗》は終日朦朧としていてトイレも出来ない状態で紙おむつになった

 

 

 

《政宗》は殆ど言葉を発さず

その代わりに目と行動でその意思を伝えた

 

ご飯が食べたいときは魔女の袖口に噛みつく

水を取り替えて欲しい時はじっと水の容器を見詰め

 

一生懸命に膝に乗ってきて

抱かれて頭を撫でられると小さく喉を鳴らし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女が部屋を出るのに政宗を膝から降ろすと

もっと一緒にいたい《政宗》はよちよちと歩いていってそこにあるスリッパを抱え込んで行かせまいとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年が明けるころには薬に馴染んだのか、トイレが出来るということを懸命に目で訴えてきた

それでおむつを外すと、まだ尻尾にそれを引っ掛けたままトイレに入って行き、自分で用を足し、満足気にした

 

 

 

 

夜、魔女がベッドに潜り込むと、電気敷き毛布の上にいた《政宗》がよっちよっちとやって来て必死でベッドによじ登ってくる

最初は自力で登れたけど、最後の数日は魔女が手を貸した

 

ベッドの上で、《政宗》は先ず枕を半分横取りする

私の寝相が悪いのか、《政宗》はいつの間にか体の横に移動している

時には抱え込むようにして私の足の上に乗っていたりもする

 

 

《政宗》は夜中にトイレに行くし

なぜか朝5時前にご飯を食べる子なので、夜はベッドサイドのライトを点けている

 

魔女は真っ暗でないと眠れないのでこれがかなり眩しくて安眠出来ないのだけれど

そのおかげで《政宗》の動きを察して直ぐに目を覚ますことができた

 

《政宗》はベッドから上手く降りられなくて、降りようとすると転げ落ちてしまうので

私は《政宗》が動く気配で目を覚まして《政宗》をベッドから降ろし

トイレや食事を終えてまたベッドによじ登ろうとするのに手を貸す

 

 

昼間、魔女が仕事などでいない時間は寂しいらしく

帰って来て先ず《政宗》の部屋のドアを押し開けると

必ずドアのまん前で待っている《政宗》はドアと一緒にずずっと押されてしまう

 

 

まだ元気な野良時代には鼻に深い皺を寄せて威嚇を繰り返していた《政宗》はいったいどこにいってしまったのだろう

 

 

 

つづく