《とらたん》の病気のこと Ⅱ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

私は知りたかったのです

《とらたん》の死の真実を

 

それなので

勝手で申し訳なかったけれど、もう痛くはなくなった《とらたん》の口を開けさせていただきました

 

 

《とらたん》の口内粘膜に点在していた腫瘍はきれいに寛解しておりました

あんなにどろどろだった歯茎も

赤かった上顎のいくつかの腫瘍もきれいになくなり

美しいピンク色に変わっていました

 

 

ただ

舌だけが

付け根から腫れあがり、舌の両脇は癌に侵されて分厚くなっており・・

 

 

 

 

 

辛かったと思います

 

《とらたん》がどんなに頑張っていたかと思うと

私は泣き崩れるしかありませんでした

 

 

 

全ての原因を突き止めるためとはいえ

そんな体で入院させなくてよかった

家から離れ、ストレスというさらなる負荷をかけられれば

この子はどうなっていたかわからない

 

 

 

どの子も

何があっても

病院で死なせるほど悲しく無念なことはありません

 

 

昔一度それを体験し

今も後悔の念に苛まれている私は

以来愛する家族は住み慣れた家で最期を、と決めています

 

 

 

あの日

私はこれで助かる、と信じて愛する子を病院に託したあの時

 

去って行く私の背中に向かい

最後の力を振り絞るようにして 

 

「いかないで・・」 「おいて いかないで・・」 と必死に鳴いていた大切な子の声が

棘のように突き刺さって今も私の心に残っています

 

あの子が

《ホームズ》という名の子が、どれだけの不安のさ中で息を引き取ったのか

それを思うと息が詰まってしまうのです

 

 

 

 

 

 

短い命と宣言された《とらたん》が

そんな状態でも不調に陥るまでの1年4ヶ月を私たちと共に楽しく生活を共にしてくれたことに、深く感謝をしています

 

 

 

 

そして、そのような状態になった原因に思い当たりました

 

 

《とらたん》は駐車場で油に塗れていることがありました

私はそれをよく拭き取ったものでしたが

 

オイルだったので

どんなに拭いてもなかなかきちんときれいにはしてあげられませんでした

 

 

ここの猫たちはよく車の下におりましたが、それでオイルをつけている子は見かけません

 

 

そんなある日、私は、《とらたん》が車のエンジンルームを寝床にしていることを《たんぽぽ》から教えられます

 

 

それで、私は《とらたん》にそこでは寝ないよう注意を促し

《たんぽぽ》もまた、車の機械の中で寝るのは危険だと言いましたが

《とらたん》は、夜は知らない猫がやって来ることがあるので、安心して眠るのはそこしかない、というのです

 

 

《とらたん》はその後、そこでは殆ど寝なくなり

その証拠には毛にオイルがつくことがなくなりました

 

 

 

 

でも・・ 遅かった

 

 

《とらたん》が癌に侵された主な原因は

体をきれいにするのにエンジンオイルなどの機械油

つまり有機溶剤を舐め続けたことにあると私は確信しています

 

 

苦労して見つけた安心の場所は

実は自分を死に追いやる場所だった

 

 

 

やるせない思いでいっぱいです

 

 

《とらたん》だけでなく

いろんな環境の下で生きているのらさんたちがこの世にはたくさんいる

 

 

《とらたん》と一緒に暮らしていた《ふぁふぁ》は

ここに来るまで、夜は側溝の中でゴミにまみれて眠っていました

 

 

 

その体に障害があったため、母親に育児放棄され、母親を真似たきょうだいにも疎まれ

小さな仔猫が既に絶望を知り、住処を出て絶望を抱えたまま歩き続け

そうして道の真ん中で終に動けなくなりうずくまっていた《ゆりぼうず》

 

 

 

大雨の日

車のボンネットの中でギャン泣きしていた仔猫、《ボンネット》

 

 

 

そこに投げ込まれたのか

川に流されていた仔猫の《凜》

 

 

 

初めての出産で訳がわからず

子育ての場所も確保できず

アパートの駐車場で子供を産んでしまった《バニャ姉妹》

 

 

 

母親とはぐれ、声が枯れるほど鳴いて彷徨っていた《チャンドラ》

 

 

 

《78》は会社の敷地内で昼間は人に見られないようにじっと隠れて暮らし

夜になると会社の壁を越え、自分が決めた場所で私を待っておりました

そこは危険な場所で、何度猫嫌いの女性に車で轢き殺されそうになったり大きな木切れを投げつけられたりしたことか

 

 

 

 

人間との狭間で生きる猫は

人に可愛がられるか

疎まれるか

 

 

 

《故・インドラ》は、小さな体に骨と皮だけという姿で

道沿いのマンションの駐車場に昼間の何時間もうずくまって

その命の灯も消えかけようとしていたというのに

通り掛った人の全ては哀れな姿のこの子を無視しました

 

 

 

《故・バブ》は駅前に捨てられ

毎朝、毎夕、元の飼い主が迎えにきてくれると信じ

雑踏で踏まれそうになりながらも、行き交う人の中で知った顔を捜し続けておりました

 

 

 

 

みんな苦労してここに来た子だから

なんとか幸せを長らえて欲しいと願うのだけれど

 

私は彼らをほんとうに幸せにしてやっているのか・・   してやれたのか・・

そう思う時があります

 

 

 

 

 

 

可愛がってくれる人間の家族がいる子たち

それに引き換え、同じ猫なのに、同じ命なのに、苦労が耐えないのらさんたち

 

 

それ以外にも

人間の勝手で翻弄される命がたくさんあります

 

 

もし自分が彼らの立場だったら、と考える

たったそれだけのこと

 

 

どうか彼らが、苦しみ、悲しむことのない優しい世の中になりますように

それが私の一番の願いです

 

 

 

 

 

 

 

先ほど《インドラ》がやってきました

 

「魔女、 《とらたん》はもうどっこも痛くないって!  僕たちと一緒に元気だよ   

こっちは僕に任せて、 そっちの子たちを頼みます」

 

そう言って去って行きました

 

 

 

《いんどら》、そしてニャバーランド軍団のみんな、《とらたん》を頼みますね

 

 

 

 

 

 

《とらたん》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虹の橋を渡る数日前の写真です