《とらたん》の猫生 Ⅲ  ~ いっとうしょう! ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

《とらたん》のお葬式の日

 

「もうすぐ母の日ですね、 これは《とらたん》から魔女さんへ、母の日のプレゼントです」

と言って、届けてくださった方があって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《とらたん》から、綺麗なピンクのカーネーションと

魔女が大好きなガーナチョコをいただきました

 

《とらたん》

とっても素敵なプレゼント、ありがとうね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年、《ふぁふぁ》、《たんぽぽ》、《とらたん》、《ぶす》、そして《とらたん》の側を片時も離れない《らぶ》と名付けられた彼ら5にんの猫たちは、揃って冬を迎えようとしておりました

 

私が一部の近隣住人に疎まれながらも

公園や住宅部東の猫さんたちにご飯を運ぶようになってここまで、4年半の月日が流れました

 

この頃になると

呆れたのかどうなのかはわかりませんが、私に文句を言って来る人間はいなくなります

 

 

それどころか

猫さんたちご飯をあげてくれる男子高校生が現れたり

 

駐車場を借りている若者が 

「文句を言う人間がいるなら、僕が借りてる場所でご飯をあげたらいいですよ」 と声をかけてくれたり

 

 

また、猫のみんながいつもいるマンションの住民で、猫が嫌で仕方がない女性がいて

何かあるといけないからと、私はそこから離れた場所でご飯をあげるようにしていました

 

そんな私たちを、その女性は毎日マンションの窓から見張っていたのですが

見張りすぎたのでしょうね

 

《とらたん》がやって来て、魔女に懐くまでの過程

彼らが私を待つ姿

私の車を見ると一斉に駆け出す場面

愛らしく人に甘え

帰る時にはみんなで知恵を絞ってそれを阻止するようす

 

この人はそんな猫さんたちを毎日見ているうちに

猫はなんて愛おしい生きものなのだろう、と思ってしまったようで

 

ある時、去勢手術をしたばかりの《ふぁふぁ》に抗生剤を飲ませるのに

どうしても《ふぁふぁ》がマンションの敷地内から出るのを嫌がったため

仕方なくそこで薬を与えていたら

この女性が走って来て

 

「逃げて! どうか逃げてください!!」 と焦った表情で言うのです

 

 

どうやらマンションの誰かが通報したようで

警察が来る前に逃げてください!と言うのです

 

私に直接文句を言えない者は、こうしてこそこそと通報をしていました

 

 

ほかにも

猫さんたちにご飯をあげているところまでやって来て

 

「ありがとうございます」  

 

「ご苦労様です」 

 

と、頭を下げてくれる人たちも現れ始めました

 

 

こうして何人かの人たちにも見守られ

 

《とらたん》もみんなも活き活きと暮らしておりました

 

 

 

 

 

 

 

私が駐車場に姿を現すと

みんなが一斉に駆けてきます

 

 

いつも《たんぽぽ》が一番で

 

しかしある時からようすが変ってきます

《とらたん》が大変な頑張りを見せるようになるのです

 

そうして、ついに《とらたん》が 『いっとうしょう』 になります

 

それからというもの

《とらたん》は 『いっとうしょう』 を取り続けておりました

 

 

魔女は嬉しかった

ほんとうに嬉しかった

 

それは《とらたん》が 『いっとうしょう』 を取ったからではなく

 

それまで

いつも周囲に遠慮ばかりして生きてきた《とらたん》が

初めて自分を主張したこと

 

それが何よりも、何よりも、嬉しかったのです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いっとうしょー!!!

 

 

 

 

 

 

 

魔女は嬉しくて

《とらたん》の 『いっとうしょう』 の写真をいっぱい撮りました

 

けど、『いっとうしょう』 の写真もそれは素敵だけど

 

その間1回だけ《たんぽぽ》に負けて

 『にとうしょう』 になってしまったこの写真が一番好き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この頃の《とらたん》を思い出すと

涙が出る

 

 

駐車場にご飯をあげに行くと

この時の、一生懸命に駆けて来てくれた《とらたん》の姿が目に浮かんで

毎晩涙がとまらない