季節は秋から過酷な冬へと移ろいますが
《とらたん》は優しい仲間に囲まれて幸せでした
昼間のご飯は相変わらず車の中です
食事を終えても《とらたん》たちは車から出ようとはしません
車の中で毛繕いをし
それが終わるとそこでお昼寝までするようになりました
翌、2016年の冬
《ふぁふぁ》との突然の別れがやってきます
これが《ふぁふぁ》との駐車場での最後の食事となるなんて
《とらたん》も《たんぽぽ》も、魔女だって思ってもいなかった
この夜、私はある女性から連絡を受けました
《ふぁふぁ》が風邪をひいているようなので保護しました
明日動物病院に連れて行きます、とのこと
そしてその２日後
私は《ふぁふぁ》が連れて行かれた病院で丸裸にされたことを知ります
この病院の医師は、《ふぁふぁ》がのらちゃんで、この後外に戻されることを承知の上でバリカンで毛を刈りました
その女性がその旨を言うと
心無い医師は 「１ヶ月もすりゃあ毛なんて生えてくる」 と言い放ったのです
１ヶ月先の話はしていない！
２月上旬の今、この状態で外に帰したら凍え死んでしまうだろう！！
この夜、魔女は駐車場に駆けつけ
そこに戻される寸前で《ふぁふぁ》を引き取ります
２月上旬の極寒のさ中
丸裸の《ふぁふぁ》はキャリーの中でガタガタと震えておりました
《ふぁふぁ》を乗せて立ち去る私の車の後を
妹の《たんぽぽ》がどこまでも追います
こうして《ふぁふぁ》は取り敢えず魔女家で暮らすことになりました
《インドラ》の指導の下
《ふぁふぁ》は人の家で暮らすための生活を学習し
おかげで、《ふぁふぁ》は魔女家の馴染んでゆきます
毛が生えてきたら駐車場の戻そう
そう思っていましたが、それは叶いませんでした
毛が増える冬にバリカンで毛を根こそぎ刈られたことにより
そのサイクルが狂ってしまい、毛なぞまったく生えてこないのです
《ふぁふぁ》は丸裸のまま春を迎え
少しずつ毛が生えだしたのは夏も間近のことでした
毛が生えだすまで半年近くも掛かってしまったこと
そして、こうなる前に《ふぁふぁ》はマンション住人によってお気に入りの場所から追い出され
それによって、自らの毛を毟ってしまうほどの大きなストレスを抱えておりましたから
私はこの子を駐車場に返すことを断念せざるを得ませんでした
《ふぁふぁ》はもう戻ることもなく
駐車場では残った４にんでの生活となりました
そんな駐車場では
《とらたん》のいっとうしょうが相変わらず続いておりました
《とらたん》は魔女に甘えてばかりいて
そんな《とらたん》の側には
いつも《とらたん》を見詰める《らぶ》がおりました
そうして夏を迎える頃
そんな《とらたん》の幸せな生活を覆すような出来事が起こります
つづく