《ボンネット》
とにかくさぁ
一晩中そこらで音がするわけよ
猫が歩き回る感じとか
何かが動き回る感じとか
何かわかんない音がして不気味なわけ
凜 「風ですよ、風」
バニャ1号 「《ボンネット》にはそれが不気味なんでしょうね」
チャンドラ 「ずっと風、強かったもんね」
バニャ1号 「そうそう」
だけどさ
誰も俺に挑んでこないんだ
だたまわりでがさがさ言ってるだけ
凜 「そりゃそうでしょうよ・・ 風なんですから」
よほど俺が強そうに見えたんだろうね!
バニャ2号 「黒い猫が夜にいたって気づきゃしませんよ」
バニャ1号 「いや・・ 気づくも気づかないも、相手は風だから」
で、朝がきた
俺はついに外泊したんだ
すがすがしかったな
なんてえ言うのか・・
達成感っていうの?
軍団 「・・」
俺は冒険を続けることにしたけど
昨日のエーリャンは逃げ出していなかったよ
よっぽど俺が怖かったんだろうね
で、立ち上がったら
ひえっ!
俺の寝てたとこに虫がいっぱいいるじゃないか!! (たぶんダンゴムシ)
俺はびっくりして
「あっちけーー! あっちけぇーー!!」 って声に出さずに叫んだ
凜 「声に出さなきゃわかんないじゃないですか・・」
バニャ1号 「なんだかこっけいね」
俺、気持ち悪くなって急に家に帰りたくなった
ひな 「でも帰って来たのは夕方だったよねぇ」
そこなんだよ!
78 「どこなんでしゅか?」
え?
78 「そこって」
どこでもないそこだよ!
78 「どこでもないけど そこなの?」
そういうこと!
《78》、話の腰を折らないでくれない?
78 「はなしの こし・・」
で、なんだっけ?
ひな 「どうして帰りが夕方になったのか、ってとこまでだった」
それはだ!
俺はついに出くわしたんだ
凜 「誰にですか!」
《政宗》だ!
俺は構えたな
体中の毛が総立ちだ
尻尾もデカかったと思うぞ~!!
チャンドラ 「それでどうしたの?!」
俺はやる気満々さ
バニャ1号 「また始まったわよ・・」
ひな 「どこまで続くんだろうね、このヨタ話・・」
バニャ2号 「あたし、飽きてきたんだけど・・」
そんな俺を見て《政宗》は言った
軍団 「・・」
「やあ!」 って
軍団 Σ(=°ω°=;ノ)ノ
・・友だちになりたかったのかな?
おちょぼ口で 「やあ!」 って
そう言って、《政宗》は俺の横を通り過ぎて行っちゃった
俺はなんだか知んないけど、後をつけたさ
そしたら《政宗》が振り返って
「迷子になるからやめときな」 って
そんなこんなで夕方になっちゃってさ
魔女も呼んでるしさ、俺、仕方ないから帰ることにしたわけよ
ここからが俺の利口なところなんだけど
今を逃すともう帰れないんだな
だって、かって一家がやって来る時間が近づいててさ
その前に帰らないとまた外泊だし
魔女も心配しちゃうしね
それで俺、さっと通りを渡って家に向かった
凜 「あれは通りじゃなくて小道ですよ」
バニャ1号 「だってあそこ、めっちゃ細いじゃん」
凜 「そうですよ、《凜》なんて5歩で家に着きますからね」
俺は猫用出入り口まで行って家に飛び込んだ!
そしてドアの前で偉そうにして魔女を呼んだわけだ
バニャ1号 「ちょっと待って、魔女が開けといた玄関を素通りしてわざわざ猫用出入り口まで行ったわけ?」
凜 「きっとドキドキしちゃってて目に入らなかったんですよ」
ひな 「偉そうにして魔女を呼んだって、って言ってるけど、相当情けない泣き声だったよね」
チャンドラ 「うん、すごく情けない声だった」
バニャ1号 「で、外は面白かったのね」
そりゃそうだよ
チャンドラ 「テリャスからもお外が見えるよ」
違うんだな、それが
テラスと違って全てが間近なんだよ
知らない猫も、花も、草も、虫も、そして匂いもさ~
78 「まじか・・ ってなあに?」
バニャ2号 「あんた、まじかも知らないの?」
78 「ちらない・・」
バニャ2号 「マジか! ってことよ」
ひな 「・・」
バニャ1号 「ごめんね、あんたの母さんがバカで」
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あー 終わった、終わったあー!
皆様、《ボンネット》の戯言にお付き合い下さり、ほんとうにありがとうございました
お口直しに
20年以上毎年葉っぱだけ出て花を咲かせなかったチューリップの花が咲きました
嬉しい、嬉しい
30年以上花を咲かせなかったシンビジューム(一年中庭に置きっ放しだったため)
5年前から花を咲かせるようになりました
冬も耐えられる体に自分を変えていったのです
花は何も語らないけれど
それぞれに何か知らんの想いはあるのだろうと思う
いつか私がこの世から姿を消しても
《今日ちゃん》のお花は咲き続けるのだろうな
《インドラ花》と《たぬきち花》の後に咲いた・・
《涼子花》
《レオポン花》