てんやわんやの拉致物語 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

仔猫を連れ帰り、アトリエに入れましたが

仔猫はパニック状態

 

逃げ出そうと、幾度かガラス戸に飛びついた後

仔猫は違う腰高の窓に飛び乗ってカーテンの裏に隠れてシンとしてしまいました

レースのカーテン越しに恐ろしげな形相で魔女を睨みつけております

 

仔猫が怖がるだろうと思い、電気を点けていない部屋でも睨まれているのはわかります

 

 

怯えきった仔猫を、目の端に感じながら

魔女は暗がりの中で仔猫のトイレやらベッドの用意をしていました

 

 

すると、先ほど仔猫が飛びかかっていたガラス戸の向うに

右往左往する猫の背中が街灯に照らされて見えます

 

玄関横のアトリエの部屋は一段高くなっているので、猫の背中だけが見えるのですが

白にキジ模様が入っていてこの辺りでは見かけることのない かなり大きな猫

 

こんな大きな猫が新しくやって来たとなると、《かって一族》としてはかなりマズイい、と考えながら

魔女は準備途中でその大猫を確認しようとアトリエを出て

 

 

 

玄関を開けると・・

 

目の前にきちんと座って魔女を見上げる大猫が・・ おる

 

 

 

ぶ、ぶ、ぶ・・

 

 

ぶ、ぶす!! 

 

 

ここで何してる!!!!

 

 

 

 

 

ぶす 「あの・・ こねこは どこですか?」

 

 

 

《ぶす》がついて来てた

魔女家までついて来てた

 

魔女に叱られるから

ちょっと離れてついて来た

 

 

 

魔女 「仔猫は魔女が面倒を見るから心配ないのよ」

 

ぶす 「こねこ ないてた・・」

 

魔女 「それは今だけ、明日には大丈夫になるから」

 

ぶす 「ほんと?」

 

魔女 「ほんとよ」

 

ぶす 「・・」

 

魔女 「さあ、帰りましょう」

 

 

 

 

バスケットの中で不安気に鳴く仔猫が心配でたまらず

だけど魔女に制止されたものだから

《ぶす》は距離を置いてついて来たのだ

 

 

そして魔女が自宅への階段を上るのを確認し、自分もこっそりと来てみたら

魔女は既に家に入った後で

魔女と仔猫を見失った《ぶす》は

その後、魔女家の前を行った来たり

 

 

 

仔猫の準備を中途半端にしたまま

魔女は《ぶす》を住宅部東に連れ帰るしかありません

 

闇雲にこの辺りを歩き回り、迷子にでもなったら大変だし

万が一ひとりで帰ったとしても、途中、いつくかある違うエリアの雄猫と喧嘩にでもなりかねないから

 

 

《ぶす》を急かせて魔女家の外階段を降ります

 

 

 

 

 

魔女 「《ぶす》、そっちじゃない」

 

ぶす 「ぼく どっちに いったらいいの?」

 

魔女 「回れ右して!」

 

ぶす 「まわれ みぎ?」

 

魔女 「とにかく魔女について来て!」

 

 

 

 

 

 

 

《ぶす》を連れて先ほど来た道をまた住宅部東へと向かいます

 

 

 

 

 

 

 

 

《ぶす》は相変わらず足の間歩きをするので時間がかかって仕方ない・・

 

 

 

 

 

 

 

やっと住宅部東の入り口まで戻って来まして

 

 

魔女 「さあ、ここからはひとりで帰りなさい」

 

ぶす 「やだ!」

 

魔女 「やだじゃない! 仔猫が待ってるから魔女は帰るからね」

 

ぶす 「ぼくも こねこと いる  まじょが いるなら ぼくも いる」

 

魔女 「だめっ! 《ぶす》は駐車場で《たんぽぽ》たちといなきゃだめ!」

 

ぶす 「やだ!」

 

 

 

 

そんな押し問答が続いて

魔女がどんなに だめ! と叱っても《ぶす》は言うことを聴かず、何としてでもついて来ます

 

それはまるで 『だるまさんが転んだ』 のような有様で

 

丘へと続く細い道を行ったり来たりの繰り返し

 

 

そんな《ぶす》にほとほと困り果てて立ち尽くしていたら・・

 

現れましたね

救世猫が

 

 

 

 

 

 

らーくん(ラクーンのもじり) 「まじょ~ どうしたのぉ~」

 

魔女 「《らーくん》、 《ぶす》がいけない、って言ってるのに 魔女について来ちゃうの」

 

らーくん 「ついてっちゃ いけないの?」

 

魔女 「いけないの」

 

 

 

 

 

 

 

 

らーくん 「なら ぼくに まかせてぇ~」

 

 

 

 

 

 

 

よしよしをいっぱいすることを条件に、《らーくん》が魔女を助けてくれるというのです

 

 

よしよししましたよ

目一杯

 

 

魔女 「さあ、もういいでしょ、 魔女は急いで帰らなきゃいけないの 明日またよしよししたげるから」

 

らーくん 「しょーがないな~」

 

 

 

《らーくん》はそう言うと 細い道の真ん中に ど~~~ん と立ちはだかります

 

 

巨大猫《らーくん》に立ちはだかれて、《ぶす》は魔女の後を追えなくなってしまいました

 

 

魔女は《らーくん》にお礼を言って

家に駆け戻ります

 

《ぶす》のおかげでめっさ疲れたわ・・

 

 

 

そうしてアトリエに入ると、仔猫はもうカーテンの裏にはおりませんでした

 

探してみると、その下の並べられた何冊ものスケッチブックと、その奥の壁との隙間にぎゅうぎゅうと入り込み

覗き込む魔女を睨んでいます

 

怖いんだね

怖くてしかたないんだ

 

 

 

翌朝も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仔猫は同じ場所におりました