「《ユリぼうず》 魔女ね、財布をどこにやったかわからないの・・」
そう言いながら《ユリぼうず》の手を触ると
「大丈夫だよ、じきにとんでもないところから出てくるから いつも そうじゃないか～」
と言いながら優しく手を添えてくれる《ユリぼうず》
そんな《ユリぼうず》は今日も今日とて、雨が降りしきる中、お散歩
《ユリぼうず》、雨の日お馴染みの図
生後数ヶ月の小さな頃から既にヤンチャで
庭を大きなボス猫が通り掛る度に
どきょのもんじゃ わりぇ～！！
やんにょか きゃおぉぉぉ～～～ん！！
と、自分の５倍以上も大きな相手におでこにくっつけて喧嘩を売っていたし
大きくなってからも、ご近所ののらさんたち、誰彼ともなしにイチャモンをつけまくっていて
家の中ではテーブルの足が敵だと言って、毎日ドン・キホーテ並に戦っていたのが・・
１４才位からボケだし （ほんとうにボケてるのかは不明）
寝腐れてばかりいるものだから、ますます太ってしまい
歩く時も体が重いのか、歳でヨボってるのかわからないが
動きが緩慢過ぎて、心配だ
それで痩せるべく食事を減らしているものだから
一日中ご飯が足りないと泣き喚く
それでも無視していると
ご近所にむかって
「みなさーん！ この家では猫にまともにご飯も食べさせないんですーー！！」
と喚き散らす
もう１０日以上減食させているのだけれど
ひたすら泣き喚くばかりで痩せた様子が全くみられない
さて
そんな《ユリぼうず》を怖がる《チャンドラ》
《ユリぼうず》が元気な頃
その先が読めない、全く猫らしさのカケラもない行動に戸惑い
《ユリぼうず》が傍に来ただけで怖さからつい殴ってしまう癖がついた
それは今でもそうで
《ユリぼうず》が傍に来ると必ず殴る
《ユリぼうず》を殴る猫
殴られても、殴られても、ただぼんやりしているばかりの《ユリぼうず》に
もはやかつての面影は微塵もない
当時は荒くれ過ぎて手を焼いたものだが
こうなってみると実に 淋しい限りだ
《ユリぼうず》も もう１５才を過ぎて
すっかり元気を失くしてしまったんだね
仕方ないことだけど・・
そんな昨夜
いつものようによっちよっちと歩いていた《ユリぼうず》の先に、《チャンドラ》がいた
《ユリぼうず》は何も目に入らない様子で意味もなく《チャンドラ》の方に向かっていた
その意味のない行動が《チャンドラ》には恐怖で
《ユリぼうず》が傍まで来た時
いつものように思わず殴ってしまった
その瞬間、《ユリぼうず》に殴り倒される《チャンドラ》
ど、どした！ 《ユリぼうず》！！
《チャンドラ》が悲鳴をあげる
軍団が一斉に顔を上げ、《ユリぼうず》を凝視する
いつも《ユリぼうず》と一緒に寝ている《ふぁふぁ》と《とらたん》は
初めて見るキレ《ユリぼうず》に目が点になってしまっている
悲鳴をあげながら逃げる《チャンドラ》を執拗に追いまわす《ユリぼうず》
もはやよちよち歩きではないじゃないか！
どんなに逃げても、どこに逃げても
《ユリぼうず》の容赦ない追跡が続き
追い詰められて散々殴られた挙句、がぶがぶと噛みつかれる《チャンドラ》 （因みに《ユリぼうず》、歯がない・・）
《チャンドラ》の悲鳴と、《ユリぼうず》の威嚇の声が響き渡る部屋で
私たち人間は笑顔でその様子を見守っていた
《ユリぼうず》がキレてる
《ユリぼうず》があんなに走ってる
《ユリぼうず》が昔みたいに猫を襲ってる
よかった・・
ボケてはいなかったんだ
嬉しい
嬉しい
追い掛け回しは執拗に続き
いつになったら終わるのだろう・・ と思いながら喜ばしく眺めていたら
血相を変えて逃げる《チャンドラ》と、追いかける《ユリぼうず》の間を
この様子に混乱した《凜》が急ぎ足で横切った
そのまま猫違いをし、《凜》を襲う《ユリぼうず》
ある意味混乱する《チャンドラ》
《ユリぼうず》さんよお・・
やっぱ ボケてんのかぃ！！！
とばっちりを受けた猫 （なんで凜がこんな目にあうんですか
）