シャクラの物語XVI ~ 出会いと別れ 6 ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

風太がいなくなった後

8月のお盆の時のお話でございます

 

お盆に戻ってきた猫たちの中に風太がおりました

 

それを認めたくないインドラの心は悲しみで溢れました

 

その時風太はインドラに言います

 

「このよの ぼくを みつけて」 

 

風太はインドラにそう頼むのです

 

そうして、インドラは悲しみの中で風太を探し出したのです

 

 

 

そしてもうひとつのお話

 

まじょの家には、まだ2才だというのに不治の病を告げられたライガーという猫がおります

 

ライガーはいつも出窓から外を眺めておりました

そこから見えるところには風太がおり

いつもふたりは心でお話をしておりました

 

風太がいなくなり心の話し相手を失くしたライガーと

お盆で帰って来た風太は久し振りに会います

 

お盆が終り、空に帰る時に風太はライガーに言います

 

「ぼくの ぶんまで いきて

 

 

それは生きたくとも生きられなかった風太の思いが込められておりました

 

 

この時長く生はきられないとの宣告を受けていたライガーは大変不調に陥って、生きる気力を失くしておりました

 

風太の言葉にライガーは,、「僕は風太の分まで生きるんだ」

と、力を振り絞ります

 

この日よりライガーは必死で食事を摂り始め

体力を取り戻してゆくのです

 

 

 

 

 

 

9月の始めにひとりの猫がまじょの家にやって参りました

 

 

頬に穴が開き、食事を摂れず重態であった猫をまじょが公園というところから連れて来たものです

 

 

その猫はまじょの馴染みであり

まじょによってキリットというおかしな名をつけられておりました

 

 

まじょは別室にて、深い傷と重症の貧血で危険な状態にあるキリッの看病に明け暮れておりましたが

この月の終りにはキリットを回復させ、まじょの猫たちの部屋に彼を運び込みます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きものが檻に入れられた状態をひどく嫌うインドラは

この時、あっという間に差込式の金棒を外し、その扉を開けてしまいます

 

そうしてキリットを檻から出し

戸惑うキリットに話しかけます

 

「これから君が暮らすところを僕が案内するね」

 

 

 

 

 

 

 

そうしてインドラはキリットを、これから暮らすことになる部屋を連れまわすのでした

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして共に食事をし

共に寛ぐぎます

 

 

 

こうして、インドラのおかげでキリットはまじょの元で安心して暮らすことになります

痩せ細っていたのが嘘のように、キリットは丸々と太ってゆきます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋も深まる11月

それはまじょの渡航中のことでありました

 

パパ・ジョン ブリアンが14才でこの世を去ります

 

 

 

 

 

 

 

 

パパ・ジョン ブリアンはインドラが心から愛したジョン ブリアンの父親でありました

暫く行方不明でありましたが、8年振りにまじょのところに戻ってからは、この家の警備を務めと決め、それに勤しんでおりました

 

強い男であり、この歳になってまでもまじょの家の猫たちを守っては喧嘩に明け暮れ、傷つき

それを懸念した魔女によって、警備の仕事を引退させられておりました

 

インドラはパパ・ジョン ブリアンを尊敬し

彼を戦士とし、自分は戦士見習いのインドラ ポーであると自負していました

 

 

 

パパ・ジョン ブリアンは、道に倒れて逝きました

 

突然体調不良に陥り、まじょの家の一室に寝かされておりましたのに

重態の体で家を抜け出し・・

 

それは最後の警備を行う勇ましい姿でありました

 

 

インドラの淋しさと悲しみは深く

度重なる死という金輪際の別れに、若い心は押し潰されそうになります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして翌年の春に

それはまるでパパ・ジョン ブリアンに代わるように

大きな黒い雄猫が現れます

 

 

 

 

 

 

 

この猫はブラツキーと名付けられ

その強さと大らかな気性により、廊下で暮らす猫たちに慕われます

 

ブラツキーは

パパ・ジョン ブリアンの死後

再び悪行を繰り返すようになった たぬきちを制する唯一の猫でありました

 

 

 

インドラはブラツキーを部屋に招き入れ

自分たちの住まうところを案内したり

食事を勧めたりもし

 

共に警備の務めも致しておりました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうした生活の中

地上では2015年となり

ちょうどインドラが3才になる頃

 

 

まじょの家で9ヶ月を過ごしたキリットが不治の病を発症し

辛く苦しい闘病生活の果てに旅立ちます

 

 

発病以来、まじょと共にキリットの看病に心を尽くしてきたインドラの落胆振りはたいそうなものでした

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しい別れが次々と襲ってきて

 

それは共に楽しい時を過ごしたがために、インドラをさらに辛く、悲しく、淋しくさせ

 

まだ若いインドラの心が持つのか

まじょは心配でなりませんでした

 

 

インドラは唯一死を認識できる猫でありましたから