シャクラの物語XV ~ 出会いと別れ 5 ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

風太がいなくなって以来

いつも一緒に遊んだ空き地には

風太の帰りを待つインドラの姿がありました

 

 

そうして夏になり

それは8月のお盆と呼ばれる行事の頃のことでありました

 

 

インドラがまじょを導きます

 

 

まじょが連れて行かれた先は

まじょの家のすぐ側の、長く空き家となっている場所で

まじょはインドラに導かれるままに荒れ果てた敷地内に足を踏み入れます

 

道路から入って家の横を向かうと、その先に崩れ落ちそうな鉄の階段があり

インドラはその階段へと続く敲きの突き当たり、階段の上で足を止めてしまいます

 

そこで振り返るインドラの悲しみに満ち溢れた表情は

まじょを強い不安を抱かせました

 

 

まじょが用心深く階段を降り始めると

インドラは踵を返し、どこかへ走り去ってしまいます

 

 

 

階段の最後はすっかり崩れており

それを降りきったところには

 

白く散らばったものがありました

 

それは猫のお骨でした

 

 

誰のお骨だかは知らないまま

不憫を想ったまじょはそれらを拾い集め始めます

 

夕暮れが迫っておりました

 

見える限りのお骨を拾ったところで

まじょは残るものは翌日に拾うことといたしました

 

 

家の前では哀しみの表情を浮かべたインドラが待っておりました

 

 

 

翌朝、まじょは再びそこへ向かい

雨風に曝されて灰色に変色し

元の色も模様もわからなくなってしてしまった残毛の下から残りのお骨を拾い集めます

 

これで最後と思われる尻尾の骨を拾い上げると

その先端には枯葉が巻かれておりました

 

 

枯葉を取り払おうとしたまじょの手が止まります

 

枯葉が包み込んでいたのは一束の尻尾先の毛でした

 

 

 

その特徴のある模様は

 

紛れもない風太のものでありました

 

枯葉にしっかりと包み込まれたそこだけは

まるで時が止まっているようでした

 

まじょの心が凍りつきます

 

 

 

この時も

家の入り口には、その目に涙を溜めてインドラが待っておりました

 

 

 

 

 

風太のお骨はまじょの家の庭に埋葬されました

 

埋葬の時、インドラはそこにおりました

そうして自らもその白い手を土で汚し、魔女と一緒に風太のための穴を掘るのです

 

その時のインドラの悲しみに満ちた目は

まじょの悲しみをさらに深くさせました

 

 

その日から毎日

インドラは風太のお墓を訪れてはそこで数時間を過ごすのです

 

 

来る日も

来る日も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インドラのおかげで、風太はやっとここに戻ることができました

 

それからの風太はこの場所で

たったひとりの友だちと信じた大好きなインドラと、静かな時を過ごすこととなりました