さようなら《たぬきち》 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

昨日はみなさまから《たぬきち》に優しいお言葉や

魔女にまで励ましをいただきました

 

『いいね』や『コメント欄』を、私は外し忘れていました

でもそれによって

のらちゃんの《たぬきち》がたくさんの人から冥福を祈っていただいたこと

言葉を掛けていただいたこと

《たぬきち》の代弁をいただいたこと

 

嬉しかったです

 

本来なら誰にも気づかれず

声も掛けられず

気遣われず

逝ってしまうのらちゃんなのに

 

《たぬきち》はみなさまの優しさに包まれて旅立つことができました

 

 

《たぬきち》、嬉しかったね

 

 

 

 

 

 

ちょうど一週間前の土曜日には大きめの缶詰を一缶平らげた《たぬきち》でしたが

一週間後には悲しい姿を見せてしまうこととなってしまい・・

 

 

 

今日は雨の中、《たぬきち》のお墓を掘りました

 

いろいろ考えて

魔女家の仏壇で知らない猫に囲まれても肩身が狭いんじゃないか

外暮らしだったから家の中では落ち着かないんじゃないか、と思い

 

《たぬきち》のお骨を庭に埋葬することにしようと思っています

 

《たぬきち》がよくいた場所

魔女、ドロドロになって掘ったよ

 

 

 

 

 

以前

《ちびにゃん》と呼んでいたのらちゃんがいて

 

その子は大きな長毛のキジのオスだったのですが

当時この辺りのちょっとお年寄りの人たちは野良猫にとても寛大で

《ちびにゃん》は数軒の家でご飯を貰い、幾つもの名前を持っていました

 

そのいずれも魔女がつけた名前とは違って、とても素敵なものでした

 

 

それでも《ちびにゃんは》決して魔女以外の人には触らせず

人が手を伸ばすと鼻にに皺を寄せて威嚇するのでした

 

《ちびにゃん》が8才くらいの頃だったか

ガリガリに痩せてうちに来たことがあって

 見てみたら腰の辺りが異常に濡れている

 

それは夥しい蚤に因るものでした

 

あわてて毛をめくると

そこには皮膚はまったく見えず、体中に無数の蚤がこびりついていました

 

私は台所洗剤を表面に浮かせたバケツを持って来て

櫛でもって片っ端から毛を梳き、夥しい数の蚤をバケツに移しましたが

それはキリがないほどで

1時間以上をかけても取りきれず

 

それでも蚤がまばらになったところで《ちびにゃん》に言いました

 

「明日の朝、必ずここに来なさい、必ずよ」

 

《ちびにゃん》は約束通り翌朝やってきました

魔女は昨日《ちびにゃん》が去った後、急いで動物病院でフロントライン買い、それを滴下しました

それでも蚤がいなくなるまで毎日毛を梳き続け

 

その後、《ちびにゃん》はみるみる元気になり

ご飯もいっぱい食べて元通りの大猫に戻りました

 

 

 

そうして

12歳になった《ちびにゃん》がアトリエの外に佇んでいた夕暮れ

 

戸を開けると・・

《ちびにゃん》はよろめきながら自らアトリエに入ってきて

壁際の床にうずくまりました

 

 

それから《ちびにゃん》は黙って私に抱かれました

 

生まれて初めて人の家に入り

生まれて初めて人に抱かれ

《ちびにゃん》は弱々しくも喉を鳴らしてくれました

 

 

それからリビングで数時間を抱いて過ごし

 

最期に 

 

ひとりになりたい・・

 

そう言ったので、 隣の仏間に移しました

 

それから直ぐに《ちびにゃん》は逝ってしまいました

 

 

 

その頃いた近所の人たちは年をとり

子供たちに引き取られて引っ越されたり、また、亡くなってしまわれた方もあり

 

その後、売られた一区画の土地には2軒から、3軒の家が建てられ

越してきた人たちは猫避けに必死となります

 

この辺りには以前のような寛容さはもはや無くなってしまいました

 

空いている土地もくまなく住宅に代わり

 

のらちゃんたちはすっかり生き難くなってしまって・・

 

《たぬきち》も苦労したでしょう

 

 

 

 

魔女家の庭に、《ちびにゃん》が眠っている場所があります

その近くに《たぬきち》のお骨を埋葬しようと思います

 

やはりひとりでは淋しいから

 

 

《たぬきち》

そこでいいですか?

 

 

 

穴を掘り終わって、雨が入らないようにビニールを掛けて

それから暫くすると空が晴れました

 

土を乾かしたくてビニールを取りました

 

 

ふと空を見上げると

晴れ上がった空の白い雲の中を走る《たぬきち》みたいなもうひとつの雲があって

 

急いで泥だらけ服を脱ぎ捨て、カメラを手にテラスに出たときはもう感じが変わってた

 

 

 

 

 

 

 

《たぬきち雲》は白い雲を抜けて青空に向かっていました

その先の青空の中には《インドラ》みたいな白い雲があって

 

「《たぬきち》、こっちだよー!」

 

って、大きく口を開けて言ってるみたいだった

 

 

 

 

 

 

《たぬきち雲》は《インドラ雲》に追いつき

ふたりは青空の中に消えてゆきました

 

 

 

 

 

 

《たぬきち》

楽になってよかったね

 

 

明日はお葬式だよ

 

 

 

 

 

 

               亡くなる10日前、《たぬきち》最後の写真です