長く忙しい一日だった
夕べも眠れず
今朝、件の女性にメールをした
《ふぁふぁ》を帰す前に連絡を下さい
《ふぁふぁ》は私が預かります
《ふぁふぁ》が暮らしていた駐車場で午後イチで落ち合う約束をした
魔女と家族①は時間より前にそこに行き、《たんぽぽ》と《とらたん》にご飯をあげた
約束の時間に少し遅れ、その人は車でやって来た
キャリーバッグごと受け取り、中を覗いてみるも、《ふぁふぁ》がこちらに大きな顔を向けているため
毛を刈られた体の部分がよく見えない
私の車に移動するまでの数十秒間が余程寒かったのか
車のシートに乗せた《ふぁふぁ》がガタガタと震えている、と家族①が心配した
《ふぁふぁ》は小さな声で鳴いていた
急いでドアを閉め、エンジンを掛けようとした時
《とらたん》がドアにしがみついた
立ち上がって車のドアに手をかけ、魔女を見詰める《とらたん》の悲しい目が辛かった
《たんぽぽ》も車の下に入ってしまい車が出せない
《ぶす》もじっとこちらを見つめている
ごめんね
ごめんね
だけど仕方がないんだよ
仲間の《ふぁふぁ》の命を守るためだから
《とらたん》、《たんぽぽ》、《ぶす》、わかってください
･････････････････････・・・・・・・・・・・・・・・
《ふぁふぁ》が驚いちゃうから
まじょねこ軍団が一同に暮らすリビングには連れて行けない
それで一先ず、最も日当たりの良いアトリエにいてもらうことにした
一番恐れたのは、この５日間の恐怖と不安で《ふぁふぁ》が人間不信に陥っているのではないかということ
そうだとしたら、魔女家にいるのも辛いだろう
だからといって、元の生活をさせられるのか
それはどのくらい毛を刈られたかによる
恐る恐るキャリーバッグの扉を開く
バッグから顔を出す《ふぁふぁ》を見て・・
え・・
え・・
思わず中を覗く
《ふぁふぁ》が後ずさりをする
《ふぁふぁ》・・ 名前を呼んでもこちらを見てくれない
魔女 「《ふぁふぁ》・・」
ふぁふぁ 「みないで！！」
そう叫ぶと《ふぁふぁ》は・・ 後ろを向いてしまった
魔女 「《ふぁふぁ》・・」
ふぁふぁ 「みないでっ！！！」
魔女 「どうしてそんなこと言うの」
ふぁふぁ 「ぼく、へんだもの！」
魔女 「どこも変じゃないよ、《ふぁふぁ》はいつだって可愛いよ」
ふぁふぁ 「ほんと？」
魔女 「ほんとうに可愛い《ふぁふぁ》だよ」
ふぁふぁ 「ぼく へんじゃない？」
魔女 「変じゃないし、いつだって魔女は《ふぁふぁ》が大好き」
ふぁふぁ 「よかったあ～」
魔女 「お腹減ったでしょ」
ふぁふぁ 「うん」
魔女 「ご飯にしようね」
どうしてこんなことを
外で暮らす猫にどうして・・
バカ動物病院
のらちゃんにトリミングしてどうすんだよ！！
去勢手術の後も抜けかけた毛玉をブラッシングしただけで、寒い冬のための暖房用に取らないでくれた、こちらの動物病院の先生のおかげで数日前までこんなだった《ふぁふぁ》 （左）
そのおかげで冬を乗り切っていた《ふぁふぁ》
それが今ではこんなにされてしまって
この姿で今まで通りに外で暮らさせたら、命が持たないです
こちらの先生が夕方駆けつけてくれた
先生は《ふぁふぁ》の姿に絶句して
ただ絶句して
どうして・・ どうして・・ 外猫をこんな姿に・・ と
また、爪を切られていることにもショックを受けてしまっていた （外猫の爪を切るのは致命傷なので）
《ふぁふぁちゃん》、ひどく、ひどく疲れてしまっているようで
今、いびきをかいて眠っています
先ほど先生からメールが届きました
帰り道で見たお月さまが
ふぁふぁちゃんの切られた爪のようでした
早く毛が生えるのを
お月さまにお願いしました
よろしくお願いいたします