ドジは続くよどこまでも ~おバカが止まらない女~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


昨日に引き続き、2月3日の出来事です



時間ほど前にここで


それでは

行ってきます


と、皆様に告げた女は・・


いまだテラスにおります



これはなんと言いましょうか


四苦八苦体験ツアー自宅編みたいな 

あ、地獄編の方がいい?


ま、ダンテでも芥川龍之介でもいいんですが   

芥川の方は地獄変か・・




なにはともあれ、お通夜・・ とっくに終わってます


家族、何時に帰って来るんだ


寒い・・

待てない



何を試してもダメなこんな時

人の思考はすごいことになる


今思えば、なんでそんなこと考えたんだろう、って思うんだけど

取り敢えずこの状況から抜け出したい、その一心からなんだろうね


いろんなことを試して喪服を汚しちゃった魔女

これ以上汚したら不味い、ってことと

この状況でこの喪服、邪魔! ってことが重なって


喪服を脱いできれいに畳んで、デンセンしちゃいけないからストッキングも脱いで

汚れないようにテラスのテーブルに置いて

私、ここから飛び降りる


そうして家族①のバイト先に行って家の鍵を貰う


ここに、飛び降りた場合の怪我や骨折等の懸念は全く加味されていない

さらに、下着姿で街中を歩く自分の姿も想像だにしていない

寧ろ裏口の外にブーツがあることを思い出し、ラッキー!とか思っていた


なにより、目的は家に(部屋に)入ること

ただそれのみ


今となって考えれば

下着姿にブーツを履く女は鍵を手にする前に逮捕されてるやん



そんな魔女の考えを押し留めたのが・・ 《インドラ》


《インドラ》はいち早く魔女の窮地を感知し

私たち(魔女と《チャンドラ》)を部屋に入れようと窓ガラスを引っ掻き始めた


それから窓の縁に手を掛け、必死に開けようとする

しかしどんなに頑張ってもロックされている窓はビクともせず


次に魔女が爪でもってテラス側からドアの鍵を開けようとすると (爪と鍵が一致するか!)

今度はドアの前に立って両手で内側からドアを押す


そういったことを何度も繰り返し

それでもダメだと思うと、閉まってしまったシャッターのところの窓を開け、シャッターを開けようと躍起になっているのがガチャガチャと金属を引っ掛かく音からわかる


そうしてまた魔女のいる窓のところまで来て

鳴きながらガラスを叩く


魔女は《インドラ》が叩いているガラス窓のロックの場所を叩いて《インドラ》に示す


最初はわからなかった《インドラ》だが

私が何回もロック部分を外側から引っ掻いたり、叩いたり、指差したりしているうちに気づいてくれた


《インドラ》がロック部分を手で引っ掻き始めた

そこを外してくれれば部屋に入れる


魔女は《インドラ》に 頑張って! 頑張って! と声を掛け続け

《インドラ》は肉球が真っ赤になるほど引っ掻いてレバーを降ろそうとした


だが・・ やはり猫にはそのレバーは固くて

どれだけ引っ掻いても殆ど動きはしなかった


それでも《インドラ》は手を動かし続け

終いにはその肉球が赤黒くなってきた


私は《インドラ》に、もうやめなさい、と声を掛けた


《インドラ》もまた手に力がなくなってきたのか、先ほどまでの勢いが失われてきて

悲しい目をして魔女の目の前に手を翳す《インドラ》の、その手をガラス越しに私の手をあてて


「《インドラ》、もうやめなさい」 と再び声をかけた


その時、《インドラ》の目から涙が零れた


《インドラ》はその場にうずくまり、両手で顔を覆って泣き出した


この時魔女は鍵も携帯ももうどうでもよく

ただ、カメラが欲しかった


本気の心配顔で

懸命に窓を開けようとする、ガラスを引っ掻く、ドアを押して魔女を助け出そうとする

そんな《インドラ》の健気な姿をカメラに収めたかった


それから《インドラ》は、気を取り直したようにリビングのドアのところに行き、今度はドアを開けようと必死になった


誰かに助けを求めるつもりなのだろうが・・  宛はあるのだろうか




時間はよくわからないが

お通夜がとっくに終わっていることだけは確かだ



室内では《凜》はおろおろし、《ひな》と《レオポン》と《バニャ1号》は目を丸くしてこちらを見ている


昔から魔女の窮地には身を呈して助けてくれた《ユリぼうず》は

歳のせいで耳も遠くなり、ぐっすりと眠っている


部屋の中は暖かそうで・・


ただ《インドラ》の鳴き声だけが響いていた



寒い

寒い


魔女と一緒に締め出された《チャンドラ》は私のそばで不安な声を出して鳴いている


目の前の魔女の机の上の電話が鳴り出した

僅か20cm先の電話が取れない


携帯に電話をしても魔女が出ないものだから

家族が家電に掛けてきて、「今夜は帰りが遅くなる」 と伝えようとしてるのかも知れない




やだーーー!!

 

遅くならないでーーー!!

  

とっとと帰って来いやーーー!!


バカーーー!!






寒い・・

寒いよ



冷たい風が吹いてきた



風のバカーー!!





・・運動をしよう


喪服で体操をする魔女を

まじょねこ軍団が室内から奇異な目で見ている



何時間こうしていたのか


止めなさい、と言っているのに、それでもロックを部分を引っ掻いていた《インドラ》が

突然リビングのドアに向かって走り、そこで様子を伺うようにしてしてから踵を返して私の所に戻って来て


「家族②が帰って来たよ!」 と伝えた



これで助かる・・


腰が抜けそうだった


それから少しして

リビングドアの格子ガラスから家族②の顔が見えた


必死でテラスからガラスを叩く


家族②はチラッとリビングを覗き・・

そのまま廊下の先のトイレに行きやがった




ばかやろーー!!


 

トイレが長かったらぶっ飛ばす!!





トイレは長くなかった


家族②が 「ただいま~」 と言いながらリビングに入って来た


間延びした 「ただいま~」 がやたらカンにさわる


魔女はガンガンカラスを叩いた


それに気づいた家族②

そんなところで何してんのさぁ、って顔が腹立たしい



 

 

「部屋に入れないの! テラスのドアの鍵開けて!!」



そうして・・


やっと・・

やっとだよ


何時間か振りに部屋に戻って

魔女はヘナヘナした


そうしてひとり言のようにつぶやく


「どうしてこんなことに・・」  



訳はわかっていながらもつぶやく魔女に


家族②が言い放ったひと言が私をブチ切れさせた


 


 「だって今日は節分じゃん・・」