奇跡の猫たち Ⅰ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


今年中に書いておきたいことがあって・・


そのことを書く前に・・



《バブ》が8月24日に姿を消しました


「元気になって帰って来るから・・」 と言い残して


けど、その後姿が最期になること

魔女は胸が張り裂けそうな思いで感じていた


後を追う足が先に進まなくなって

泣きながら痩せた後姿を見送るしかなかった



8月の初め

次第に痩せてゆく《バブ》を抱いて

病院に行こうと勧める私に

《バブ》は、頑として 「ここから絶対に離れない!」 と言い張った


腎不全であろうと思われた



《バブ》は家に閉じ込めることが出来なかった猫で

自由にあちこちに行きたがったわけではなく、扉を閉められることに異常な恐怖を感じるようになり

常に外に出ることばかりがその心を占めていた


私たちはテラスに柵を作ったり、金網を貼ったり、ネズミ返しまで作ってそれを防いだけれど

金網を破り、ネズミ返しを逆さになってまでよじ登り、屋根から脱走してしまった時は

もう諦めた


一日中外に出ることばかりを考えて暮らす一生は、決して幸せとはいえなかろうと考えたからだ


外に出た《バブ》はなんてことはない、廊下で暮らし始めた

常に猫用出入り口が開いていて自由に内外を行き来できるのが安心だったらしい


天気が良い日の昼間はお化け屋敷ですごすこともあった





《バブ》は魔女が廊下に出る度にしたたか甘えた


また、《ジンジン》が出て来れば駆け寄って、恒例の引きずりごっこが始まるのだった



廊下には既に先輩の《涼子》や《アゾ》がいて

《バブ》はそんな先輩に遠慮しながらも、切磋琢磨をく繰り返し、自分の居場所を確保していった


その後は戻って来た《パパ・ジョン ブリアン》や、《かって》とも付かず離れずの状態で上手く付き合った



今年の・・ あれは夏の初めからだったかな

トイレを気に入って住まいにしていたね







姿を消す前に2日間帰って来ず

いよいよ体調が悪くなったのはわかっていたけれど

《バブ》が死ぬほど嫌なこと、つまり自分のテリトリーから離れることがこの子に多大なストレスを与える事を知っていたので・・

《バブ》の思うようにさせてしまった


魔女は終日廊下で待ち続け、やっと姿を現したのが二日後

それが最後となった


《バブ》は私に 「ひどく調子が悪い、誰も来ない静かなところでひとりになりたい」 と言い

抱きしめる私を見上げて 「元気になったら戻って来る」 と辛そうな顔で言った


それから、差し出されたスープを少しだけ飲んで・・ 出て行った


こんな子だから、最後まで猫らしく生きたいのだろう

魔女はそう思って見送った


連れ帰りたい気持ちを必至に押さえつけ

角を曲がる《バブ》を見送ってから、魔女は思わず手で顔を覆っていた



元気になって帰って来てくれることを願ってきたが・・

多分《バブ》はもうこの世にいない



この少し前から

《バブ》とは最高のコンビだった《ジンジン》に体調不良の兆候が出始めていた



私は、初秋に《バブ》を

冬に《ジンジン》を・・  失った


悲しすぎる


けど、たくさんの家族がいれば

そのぶんの別れがあるのはわかっていたことで

それを覚悟で私たち家族は生きているのだから


仕方ない



《バブ》は頑固だったけど、ほんとうに可愛らしかった

いつも魔女の膝でぐにゃぐにゃと甘えていた


あの感触は今もここにあって

私には、いつもそうしていたように《バブ》を包み込むように両手を膝に置く癖がついてしまった



《バブ》を待ち続けて半月程経った頃

その夜もテラスから《バブ》がいるかも知れないお化け屋敷を見詰めていて

ふと顔をあげると、南東の空の低いところに瞬く小さな青い星を見つけた


その星は実際よく瞬いていて

私にはいつものように《バブ》が可愛らしい声でおしゃべりをしているように思えた


それからは毎晩その星に語りかけている



《バブー》のここでの生活は、駅前に捨てられたときより少しはマシでしたか?


私のしたこと、そしてしなかったことは間違いではなかったのかな・・




長くなってしまったので今日はここまでにしますが

次回は魔女や軍団にとって最悪だった今年が、実はどんなものだったのか・・

それを書きます