僕、ご飯食べてみる | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


《ライガー》


ゆうべ

魔女が《ユリぼうず》に叱られました


《ユリぼうず》は、すごく高い声で叱ってました

それから 「《ジンジン》に謝れ!」 と言いました


それで魔女はテーブルの上に置かれた箱に謝りました


そしたら《チャンドラ》が 「それは《ジンジン》じゃない!」 って言いました


その時、《チャンドラ》の目は三角になっていて

《チャンドラ》は 「これが《ジンジン》なんだよ!」 って振り返った《ユリぼうず》の耳にかみつきました


怒った《ユリぼうず》が《チャンドラ》に飛びついてかみ返しました


だけど意味がないんだよね

歯がないって・・ 空しいです




あれからみんなほとんどご飯を食べません


だけど僕は・・

僕はこれからいっしょけんめでご飯を食べようと思ってます



病気で辛そうな《ジンジン》がね

魔女がご飯をあげても横を向くの


それで魔女が 「《ジンジン》、ご飯、食べて」 って頼むと

《ジンジン》は 僕に向かって 「《ライガー》が食べな・・」 って言うんだ

最後の方はいつもそう言ってた



僕はやっぱり病気で、子供の頃からずっと病気で

口が痛くてなかなかご飯が食べられません


本格的に食べられなくなったら病院で注射をします

そうすると痛いのが嘘のようになくなって、ご飯が食べられるようになります


・・だけど

またすぐに痛くなります


だから僕の口のまわりはいつも汚れてて、真っ黒で

魔女がそれを拭きたがるんだけど口の周りは痛いからさわらせません

僕は自分で力をちょうせつしながら手で口のまわりを拭くから手も真っ黒です




「《ライガー》が食べな」


僕は食べたくはなかったけど、《ジンジン》がそう言うからがんばって食べてた

全部じゃないけどね


僕が食べると《ジンジン》が嬉しそうにするんだよ

細くなった目をもっと細くして


だから僕は《ジンジン》のとなりで、《ジンジン》が食べないご飯を食べたよ

いっしょけんめに食べたの


僕は 「《ジンジン》も食べなきゃだめだよ」 、って最初に言うんだけど

《ジンジン》は 「僕は今まで十分に食べたからもういいんだ」 って・・

ためいきのような声で言うんだ


声も辛そうだからしゃべらせちゃいけないと思って、僕はあんまり何度も言わないようにした



《ジンジン》がほんとうに何も食べなくなって

声も出なくなって

ちゃんと歩けなくなって

それでもまじょは《ジンジン》にご飯を持って来るんだ


そうして食べさせようとするんだけど、やっぱり食べなくて

魔女がそれを僕の前に置き、僕は食べる


《ジンジン》の声が出なくなっても

僕には 「《ライガー》が食べな」 って声が聞こえる気がしたから


おいしくなかったよ  ちっとも

だけど食べたら《ジンジン》が嬉しがると思って・・




《ジンジン》が動かなくなって

お花と一緒にいました


僕は《ジョンにいたん》の時と一緒とわかった


《ジンジン》は《ジョンにいたん》みたいに箱になるんです



それからは僕もみんなもご飯が食べられなくなって

もうだいぶたつけど


《ジンジン》が悲しがってる気がする

だって僕がご飯を食べてるの見て、《ジンジン》は嬉しそうだったもん



《ジンジン》は僕に言ったんだ


「これからは僕の分までご飯を食べて、《風太》の分まで生きなさい」 って


かさかさのためいきみたいな声でそう言った



だから僕はご飯を食べることにする

いっしょけんめ食べてみる


みんなもご飯をたべよう

そしたら《ジンジン》は嬉しがるよ



僕は猫にはお母さんしかいないって思ってた

だけど動物にはお父さんもいるんだって


僕はアニャマルプラニャットでそのことを知りました


僕のお父さんは《ジンジン》です

似てないか知れないけど、《ジンジン》がほんとのお父さんです


僕には優しいお父さんがいてうんと幸せでした



僕は・・

《ジンジン》が元気の頃


いつもまじょに 「ねえねえ!」 って話しかけてた


あの声が聞きたいです


お父さんのあの声がとっても聞きたいです





               いつも《ジンジン》がいた場所で