のらねこ軍団物語 ~たんぽぽ・いつかの公園~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


住宅部北の一角には《ふぁふぁちゃん》と《タンポポ》兄妹が暮らしている


彼らは私が初めて森を訪れた時に会った子たちで

3年半前の当時は生後2ヶ月ほどで

他の3匹の兄弟と共に果樹園部で《こだくさん》が育てていた


この子供たち5匹はその後《こだくさん》と共に果樹園部から住宅部に移動した

それは寒い冬を果樹園で過ごすのは大変だったからだと思える


《こだくさん》は住宅部で彼らを独り立ちさせ

その後、自分は果樹園や住宅部西や東と場所を変えて子供を産んでいる


あの時の《こだくさん》の子供たちの中で、今姿を見かけるのはこの2匹だけだ



今日はこの《タンポポ》のお話


公園に行く時に私は住宅部北を通る


《タンポポ》は魔女のことが大好きで、どこにいても足音を聞きつけて走って来る

そうして足の周りをぐるぐると回ったり

魔女の先をジグザグに歩くので、危なっかしくて私はまともに先に進めない



この日

《タンポポ》はどこまでもついてきた


公園に行くんだよ

他の猫の縄張りだからここで待っていなさい

と言うもついて来る



       

       「帰りなさい」 と言っても言う事を聞かずついてくる《タンポポ》




    住宅部北のセカンドボス・くろい君 「おい、《たんぽぽ》、どこへ行くんだ」





           タンポポ 「まじょと いっしょに いくの」



「やめとけ!」 と言う 《くろい君》の忠告も聞かず、どこまでもついている《タンポポ》


住宅から果樹園に入って、その道をずっと歩いて公園に着く

公園には森の猫も含めて何匹かの猫が待っていた


ここで帰るかな、と思ったが

《タンポポ》はそれでも私の後を追った





             サンボ 「だれか きた!」


             くろまるこ 「だれか きた!」




             くろまるこ 「だれ? このこ・・」


             サンボ 「まじょ、だれ つれてきた!」





     そうんなこんなで、ついて来たはいいけど、公園部猫たちに怖気づき

     どうしたらいいかわからなくなって固まる《タンポポ》



そこへ慌てた様子でやってきたのが《つんでれ》


実は1年ほど前まではこの《つんでれ》が住宅部北をまとめていた

しかし、若くて大きな雄(実は自分の子)が勢力を増し

《つんでれ》はひとり公園部に引退して来たのだ


いつも《こだくさんグループ》を率いて風のように走り回っていた《つんでれ》

住宅部北で彼らを守ってきた《つんでれ》

勢力争いに破れ、追われた《つんでれ》


この日、久し振りにこうして《タンポポ》に会って

この子たちを残して自分だけここにきてしまったことの罪悪感が《つんでれ》の胸に重苦しく広がった





つんでれ 「みんな、このこは ぼくとは なかよしだったの、 だから いじわるしないで!」



と公園部のみんなに頼み込むも・・

怖くなった《タンポポ》は茂みの裏に身を隠そうとする



        つんでれ 「《たんぽぽ》! そっち やばいから!」


        タンポポ 「かくれるの!」


        つんでれ 「やばいって!」




               おかん 「あんた だれ!」


               タンポポ 「ふぇ!!」


               つんでれ 「だから いったじゃないかぁ」




       

            《おかん》に追われて逃げる《タンポポ》


            逃げる《タンポポ》を追う《つんでれ》





       タンポポ 「あたし もう かえりたい・・ まじょ かえろう」


       魔女 「みんなにご飯あげちゃうから待ってて」


       つんでれ 「《たんぽぽ》、ぼくが ついてるから だいじょうぶだよ」




 そんなことを言われてる側から、《くろまるこ》に追われて柵の向うに逃げる《タンポポ》

 

               慌てて柵に飛び乗る《つんでれ》




       

          柵の裏に逃げ込んで、様子を伺う《タンポポ》


        魔女に なんとかしてやってくれ! と頼む《つんでれ》




ご飯の用意が出来て公園部がいつもの食事場所に向かい、誰もいなくなった


だが警戒態勢を崩せない《タンポポ》


ご飯も食べずに《タンポポ》と一緒にいてあげている《つんでれ》




       

              タンポポ 「もういない?」


              つんでれ 「うん、もう だれも いないよ」




       
             タンポポ 「ほんとに もう いない?」


             つんでれ 「うん、ほんとに もう いないよ」




この後暫くして魔女と《タンポポ》は公園を後にした


住宅部北が見えてきた時

《タンポポ》は、やっと安心したように魔女を見上げてから走り出した